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アルコニックスの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

アルコニックスは、アルミ・銅・ニッケル・レアメタルなどの輸出入・金属加工などを展開する非鉄金属系の専門商社。1981年に当時の大手商社であった日商岩井(現・双日)が設立した日商岩井非鉄販売を源流とする。2001年にはMBOにより日商岩井グループから完全離脱、2005年には現社名のアルコニックスに改名。かつては非鉄金属の流通に特化した企業であったが、2009年には非鉄金属の製造・加工領域へと進出。商社機能で稼いだ資本を製造企業のM&Aに投下することで企業規模を拡大。現在では、非鉄金属素材の卸売~加工までを一気通貫で提供できる”非鉄金属の総合ソリューションプロバイダー”を自負。

POINT

1.日商岩井から独立した非鉄金属系の専門商社、独自路線を歩む
2.売上高・利益いずれも好調、財務体質は普通だが利益体質は安定的
3.平均年収825万円だが好調時には900万円を越える、福利厚生は薄め

業績動向

✔売上高と営業利益

アルコニックスの売上高は2018年に過去最高となる2,574億円を記録、同年以降は停滞気味の推移にも見えるが会計基準の変更が主要因であり依然として好調*1。営業利益は2021年に過去最高となる110億円に到達、業績は好調*2。
*1:2019年以降の売上高の停滞は会計基準の変更が主要因でありアルコニックスの不調によるものではない。2020年3月31日から収益認識に関する会計基準が新たに適用され、同基準に従ったことが変化点(参考リンク)。
*2:2021年以降は半導体・電子材料分野における需要拡大により増益。電池材料・レアメタル・チタン・メッキ材料などが好調。

✔セグメント別の状況

アルコニックスは電子機能材事業(電子部品・半導体・チタン・タングステン・モリブデン・レアアースの製造販売)、アルミ銅事業(アルミ圧延品・伸銅品・バルブ部品などの輸出入・国内取引、アルミ・銅スクラップのリサイクル取扱い)、装置材料事業(M&Aによりグループに加えた製造子会社群による製品群、メッキ材料・溶接材料・非破壊検査装置・ブレーキ摩擦材など)、金属加工事業(半導体製造装置・自動車・航空宇宙分野向け精密加工部品など)の4事業を有する。
アルコニックスの事業セグメントは、商社流通機能(電子機能材事業・アルミ銅事業)と製造機能(装置材料事業・金属加工事業)とに二分される。アルコニックスは2009年に製造機能へと進出したが、現在では売上高・利益いずれにおいても製造機能が約40%を占めるに至っている。

✔最終利益と利益率

アルコニックスの純利益は30億~75億円ほどのレンジで安定的に推移しており、景気後退局面も含めて着実に利益を確保できている。営業利益率は2020年まで2%程度に過ぎなかったが、2021年以降は利益率が高まりつつある。

✔自己資本比率と純資産

アルコニックスの自己資本比率は長年に渡って25~35%程のレンジで推移している。大手企業としては標準的な自己資本比率である。純資産は長期的に増加傾向が続いているが、2021年以降は増加スピードが加速。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

アルコニックスの平均年収は2019年まで900万円前後で推移していたが、2020年以降は800万円台後半へやや後退。専門商社としては中堅程度の給与水準。大卒総合職は30歳前後で年収700万円ほど、課長職レベルで年収1,000~1,200万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

アルコニックスの従業員数は2018年頃から増加傾向にあるが、直近でも単体従業員数は190人と極めて少数精鋭の組織。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3,185人ほど。平均勤続年数は11年ほどに留まっており、やや短め。

総合評価

企業格付け:BBB

日商岩井(現・双日)から分離独立した非鉄金属系の専門商社。現在では資本関係においてもなんら関係を残しておらず、完全に独立系専門商社。商社機能で稼得した資金を製造企業のM&Aに投じる独特の戦略で知られる。業績は2018年をピークに売上高が減少しているが、これは会計基準の変更による影響が大。会計基準の変更の影響を除けば、売上高・利益いずれも堅調な推移が続いている。財務体質は自己資本比率30%台と普通だが、景気後退局面も含めて純利益をしっかりと確保できる程には利益体質が固いため問題はないだろう。将来性という観点においても、非鉄金属は半導体・電気自動車・デジタル機器などの製造に不可欠であるため、当面は安泰であろう。

就職格付け:BB

非鉄金属の専門商社というマイナーゆえに一般知名度は極めて低い。給与水準は850万円ほどと大手メーカーに勝るとも劣らないが、専門商社としては中堅ほどの立ち位置。2018年頃には平均年収900万円を上回る時期もあったが、最近では平均年収800万円ほどへと後退。福利厚生はそこまで充実しているとはいいがたく、家賃補助・住宅手当などはなし。借上げ社宅制度はあるものの若手の、他に特筆すべき点はない。総合商社志望の名門大学生にとってはよく知られた存在であることから、採用実績校には東京一工・旧帝早慶レベルが多数。商社を絶対的に志望するのであれば隠れ優良企業とは言えるだろうが、①給与水準は大手メーカーでも得られるレベルである点、②福利厚生はそこまで手厚くない点、③一般知名度が極めて低いことから企業ブランドは高いとは言えない点、ことは理解しておきたい。

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