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JR西日本の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

西日本旅客鉄道(JR西日本)は、近畿・中国・北陸地方を中心とする在来線網ならびに新幹線を運営している大手鉄道会社。1949年に設立された日本国有鉄道を源流とし、1987年に国鉄分割民営化により発足。大阪駅を中心とする近畿圏近郊路線を重要な収益源としており、関西圏に林立する大手私鉄と競合。山陽新幹線・北陸新幹線の収益性は悪くないが、地方部には多くの赤字路線を抱える状況。高速バス・フェリー・百貨店・不動産賃借・小売店なども展開しており、事業多角化を進めている。

POINT

1.西日本エリアの在来線・新幹線を統括する大手鉄道会社
2.売上高・利益は安定的だがCOVID-19による打撃から回復途上
3.平均年収566万円と大手鉄道会社の割に給与水準は凡庸

業績動向

✔売上高と営業利益

JR西日本の売上高は1.5兆円前後の水準で安定推移してきたが、2020年に0.92兆円まで激減して現在は回復途上*1。営業利益は1,500~2,000億円ほどで安定していたが、こちらも2020年を境に急減。
*1:JR西日本はCOVID-19感染拡大により大打撃を被った1社。外出自粛により行楽需要が激減したうえ、企業の出張自粛により東海道新幹線の乗客数も激減。COVID-19感染を恐れて公共交通機関の利用が忌避された為に業績への打撃甚大。

✔セグメント別の状況

JR西日本は運輸事業(新幹線・在来線・宮島フェリー)、流通事業(JR西日本伊勢丹・物販・飲食業)、不動産事業(駅ビル賃貸・オフィスビルなど)、その他事業(ホテル業・広告業・電気工事・清掃・旅行代理店・建築など)の4事業を有する。
JR西日本は運輸事業をコアとするものの売上高に占める割合は50%未満、流通・不動産・ホテルなどの事業多角化が進んだ企業である。COVID-19以降は鉄道売上高が急減しており運輸事業の地位が相対的に低下。他事業が運輸事業・流通事業の赤字を補填する事業運営を強いられている状況。

✔最終利益と利益率

JR西日本の純利益は概ね1,000億前後の水準で安定推移してきたが、2019年を境に下落。営業利益率は10%程度の水準*2で安定推移していたが、COVID-19を境に一変。
*2:JR西日本は京阪神地域の通勤需要により黒字の在来線も多数あるが、関西圏は大手私鉄との競争が激しい事情も。新幹線は山陽新幹線であっても利用客数は東海道新幹線の精々半数程度。JR東海と比較すると高収益をだしにくい地盤である。

✔自己資本比率と純資産

JR西日本の自己資本比率は概ね30%台で推移してきたが、2020年以降は業績悪化により20%台まで後退。自己資本比率はやや低めの印象だが、これは鉄道会社に特有の事情による*3。純資産は2019年まで右肩上がりで増加していたが、2020年以降は業績悪化で一時後退。
*3:鉄道会社は鉄道車輛や線路の維持管理に膨大な設備投資資金を要する特性があり、自己資本比率は他業界と比べて低めとなる特徴がある。ただし、安定したキャッシュフローが得られる業態であるため自己資本比率がやや低めであったとしても大きな問題とはならない。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

JR西日本の平均年収は650万円前後で推移していたが、2021年にはCOVID-19による業績悪化の影響で500万円台に後退。大卒総合職ならば30歳頃に年収500~650万円ほど*3。平均年齢は38.1歳と大手企業としてはやや若め。
*3:JR東海の採用枠には、総合職・プロフェッショナル職の2種類がある。各職種ごとに職務領域が異なり、待遇にも大きな違いがある。   

✔従業員数と勤続年数

JR東海の従業員数は4.5万人前後の水準で安定的、JR東海の3万人規模よりも所帯は大きい。平均勤続年数は15.4年と意外と大手企業の標準的水準に留まるが、プロフェッショナル職も含めた平均勤続年数である点も影響している。

総合評価

企業格付け:B

JR大手3社の一角として山陽・北陸新幹線を預かる大手鉄道会社。鉄道会社の例に漏れず業績は安定的であり、COVID-19以前は1.5兆円前後で極めて安定していた。業績は2019年比では大きく回復、営業黒字まで回復したが依然として全盛期には及ばず。リモートワークが普及してしまったことで通勤需要がCOVID-19以前にまで戻る可能性はほぼ期待できない状況。不動産・流通などの他事業もあるため当面安泰だが、稼ぎ頭の鉄道事業の将来が明るくない点は辛い。山陽新幹線も開業40年が経過したことで老朽化も進展、維持コストも重い。

就職格付け:CC

関西圏のインフラ企業の雄ではあるが、大手私鉄と路線網が競合するため競争は激しい。大抵、大手鉄道会社は地元での企業イメージが良い場合が多いが、JR西日本に関しては福知山線脱線事故という史上最悪レベルの事故により今だ企業イメージは微妙であり、大阪ガスや阪急阪神ホールディングスなど地元企業の雄と比べると数歩劣る。給与水準は微妙であり、平均年収650万円レベルかつCOVID-19影響で平均年収550万円レベルまで後退、均勤続年数も15.4年と凡庸。COVID-19に直面した時にはボーナス額が1.5ヵ月にまで急減、リーマンショック直後にも2.5ヵ月にまで削減と、給与カットにも容赦がない(元々の給与水準が高くないため、ボーナスが1~2ヵ月レベルというのは非常に少なくなる)。世間における安定企業・優良企業のイメージと比べると、平均年収・勤続年数いずれも拍子抜けする点が多い。山陽新幹線という日本にとって不可欠なインフラ網を有する為、会社として経営危機に陥る可能性は低そうな点は一応褒められる。

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