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花王の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

花王は、洗剤・石鹸・入浴剤・トイレタリー・飲料・化学製品などを製造する大手消費財化学メーカー。1887年に長瀬富郎が開業した商店を源流としており、1890年に石鹸分野へ進出。戦前から現在まで一貫して洗剤・トイレタリー分野をけん引してきたリーディングカンパニー。1960年代から海外展開を進めており、現在では世界29ヵ国に進出。洗剤分野で国内シェア首位、化粧品分野で国内シェア2位。かつては電子部品分野や医薬品分野にも進出していたが、2000年代に撤退して得意分野への集中を強めている。

POINT

1.洗剤・石鹸などの消費財化学分野で国内断トツ首位、業界の巨人
2.売上高・利益は概ね安定的だが、2019年以降は不調。財務は優良。
3.平均年収787万円だが業績好調時は800万円を超える、住宅補助も手厚い

業績動向

✔売上高と営業利益

花王の売上高は1.5兆円レベルで安定推移してきたが、2020年・2021年はやや低迷*1。営業利益は2019年まで好調で推移していたが、同年以降は右肩下がりでの減少傾向。
*1:2020年・2021年の花王はCOVID-19の感染拡大により化粧品事業の売上高が低迷。マスクにより化粧品需要が縮小したうえ、外国人観光客によるインバウンド消費も消失。花王はメイクアップ化粧品の比率が高い為、マスク着用率の急増による打撃が大きかった。
*2:2020年・2021年は利益率が高い化粧品関係の販売急減で営業利益が減少。2022年には未曽有の原材料高騰ペースにコストダウン・価格改定が追い付かずに減益に沈んだ。

✔セグメント別の状況

花王はハイジーン&リビングケア事業(衣料用用洗剤・台所用洗剤・掃除用製品・サニタリー製品など)、ヘルス&ビューティケア事業(石鹸・洗顔料・シャンプー・入浴剤・歯磨き粉など)、ライフケア事業(業務用衛星製品・健康飲料など)、化粧品事業(カウンセリング化粧品・セルフ化粧品など)、ケミカル他事業(油脂製品・機能材料・産業用薬剤・インク・半導体製造用薬剤)、の5事業を有する。
花王は特定事業に売上高・利益を依存しないバランスのとれた事業構造を有する。強いて言えば、売上高ではハイジーン&リビングケア事業の洗剤・サニタリー製品などが最多、利益ではヘルス&ビューティーケア事業の石鹸・洗顔料などが最多となっている。

✔最終利益と利益率

花王の純利益は2018年に記録した純利益1,537億円をピークに減少傾向が続いている。営業利益率も2019年の14%をピークに利益率低下が続くが、直近でも7.1%とまずまずの利益率は維持している。

✔自己資本比率と純資産

花王の自己資本比率は55%程度の水準での推移が続いており、直近は56.3%と大手化学メーカーとしてはかなり高めの水準。安定的な利益体質も加味すれば、倒産リスクとは無縁であろう。純資産は緩やかな増加傾向、2022年には9,954億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

花王の平均年収は概ね800万円前後の水準で推移しているが、2019年以降は利益率低下で780万円ほどまで後退。大卒総合職なら35歳前後で年収800~950万円程度。課長職に昇進すれば年収950~1,100万円程度。

✔従業員数と勤続年数

花王の従業員数は3.3万人ほどの水準で安定的に推移しているが、2022年は3.5万人まで増加。平均勤続年数は17.6年と大手化学メーカーとしてはやや長めの水準。

総合評価

企業格付け:AA

日系消費財化学メーカーで断トツ首位、売上高ではユニ・チャームの約2倍かつライオンの約4倍の規模を誇る業界の巨人。しかして、世界首位のP&Gに対しては売上高は4分の1に過ぎず、国内首位と言えどもグローバルでの存在感は大きくはない。業績は2019年をピークに下落傾向だが、これは外部環境の逆風に起因。2020年~2021年はCOVID-19による打撃、2022年は世界的な原材料高騰による利益率低迷、と原因は明らか。既にCOVID-19による影響は一服、原材料高騰も価格転嫁が進めば業績も回復しそう。財務体質は自己資本比率55%前後と堅実、黒字確保という観点では安定的であるため、倒産リスクは懸念する必要がない。

就職格付け:AAA

日本人ならば当社製品に触れずに生きることが難しいほど生活に浸透した大手消費財化学メーカー。身近な製品を扱えるうえCM展開も熱心なことから企業イメージも良いため、就職人気企業最上位ランク常連。給与水準は平均年収800万円前後と大手化学メーカー並み、入社難易度ほど傑出してはいない印象。グローバル展開も大手化学メーカーの方が先行する為、海外志向が強い場合にはより海外売上高比率の高い化学メーカーの方が好ましい可能性もある。福利厚生はかなり充実しており、新入社員には借上げ社宅を手配。家賃補助は3万円~6万円とかなり高め、対象期間もかなり長めで条件に合致さえすれば40歳まで受給できる。

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