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外食会社

サイゼリヤの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

サイゼリヤは、世界6ヵ国でイタリア料理レストラン「サイゼリヤ」を展開する大手外食会社。1967年に東京理科大学を卒業した正垣泰彦が洋食店として創業。創業間もない時期から市場規模が大きい低価格路線に商機を見出して多店舗展開を進め、現在ではイタリア料理店として世界首位の店舗数まで拡大。科学的アプローチによる合理化経営に特徴があり、食材生産・加工・物流・店舗運営の全プロセスの自前化に積極的。国内・海外の約1,500店舗をすべて直営展開している。

POINT

・イタリア料理店として世界1位の店舗数を誇る、徹底的な合理主義で有名
・売上高は成長基調だが利益は苦しい、財務体質は大いに優良
・平均年収660万円と外食業界トップ級、料理は安価でも給与は渋らない

業績動向

✔売上高と営業利益

サイゼリヤの売上高は2019年・2020年に急落*1したが、2021年以降は成長基調へ転換。直近の2022年には過去最高となる売上高1,832億円を達成*2。営業利益は2019年~2021年まで低迷していたが、2022年には72.2億円まで回復。
*1:2019年・2020年はCOVID-19感染拡大による業績悪化に直面。多人数来店を前提とするビジネスモデルゆえに客離れを起こしたうえ、全店舗が直営店であったために影響が深刻化した。
*2:世界的な原材料高・人件費高騰によって、外食各社が値上げ対応を進める中でも、当社は低価格路線を堅持。従来以上に価格競争力が高まったことで来客数が増加、売上高を大きく伸ばした。

✔セグメント別の状況

サイゼリヤは、日本事業(日本国内におけるサイゼリヤ店舗運営・食材加工など)、豪州事業(オーストラリアでの食材生産・加工)、アジア事業(中国・台湾・香港・シンガポールでのサイゼリヤ店舗運営など)、の3事業を有する。
サイゼリヤは日本国内・アジアにおいて約1,500店舗を展開。直近では日本事業が人件費高騰により赤字転落しているため、アジア事業が全社利益を支えている状況。ハンバーグ・ミラノ風ドリアを高品質・安価に提供するため、2002年にはオーストラリアに自社工場を設立。

✔最終利益と利益率

サイゼリヤの純利益は2019年・2020年を除けば、長期的に50億円~70億円ほどで安定的*3。営業利益率は2018年まで5%~7%で安定していたが、同年以降は低空飛行が続く。
*3:世界的な原材料高・人件費高騰に直面しているなかでも値上げ対応なしに従来同等の利益をキッチリと確保しているという見方もできるだろう。

✔自己資本比率と純資産

サイゼリヤの自己資本比率はCOVID-19による業績悪化でやや低下したものの、直近でも自己資本比率63.5%を確保しており財務体質は大いに健全。純資産は緩やかな増加傾向が続いており、直近では純資産900億円ほど。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

サイゼリヤの平均年収は長期的に600万~660万円ほどの水準で安定的。COVID-19で業績悪化に直面した時期のみ平均年収551万円に低下したが、最近は回復。総合職であれば30歳前後で店長クラスに昇格して500万円~650万円ほどに達する。課長職レベルであれば750万~850万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

サイゼリヤの単体従業員数は2,100人前後の水準で安定的。全店舗を直営展開するため、従業員数はかなり多めである。平均勤続年数は直近で14.8年となっており、従業員の定着のよさにおいては業界上位級。

総合評価

企業格付け:CCC

■業績動向
やや苦しい。売上高は過去最高を更新して絶好調だが、利益がついてこない状況。世界的な人件費・原材料費の高騰が続くものの、社是からして値上げ対応はしづらい。企業努力によって何とか利益を確保している状況であるため、今後どこまで物価上昇が続くかが焦点。

■財務体質
優良。2018年までは自己資本比率は75%以上・実質無借金経営の超優良企業であったが、COVID-19以降はやや自己資本比率が低下した状態に。とはいえ依然として自己資本比率63%もあるうえ、手元資金についても約680億円を確保。依然として外食業界トップクラスの健全性を確保し続けている。

■ビジネス動向
食材調達・加工の効率化のみならず、店舗オペレーション革新に挑戦中。最近では、①299円などの端数価格を1円だけ値上げすることでレジでの釣銭受渡を劇的に削減、②客自身がオーダー用紙への記入をすることで伝達ミスを防止しつつ対応時間を削減、などに成功。終わりのない業務効率化に取り組み続けている。

就職格付け:CC

■給与水準
直近の平均年収は660万円となっており、業界上位級。総合職であれば30歳前後で年収500万円は超えるため、中堅メーカーは上回るほどの給与はある。当社は持株会社制ではなく従業員2,000人以上の平均年収であるから、実際の給与水準は外食業界トップ5社には入る。

■福利厚生
総合職は国内外への全国転勤が前提となるが、独身寮・借上げ社宅によって住宅コストは抑制可能(自己負担2万円/月のみ)。転居制限制度という珍しい制度があり、申請すると36か月間は転居を伴う異動が免除される。食事補助制度では、サイゼリヤでの食事が50%引きとなるため勤務日の食費はかなり浮かせられる。

■キャリア
入社後は直営店に配属され、店舗オペレーションの基礎を学んだのち、2~3年目以降に店長へと昇進。店舗運営者としてヒト・モノ・カネの管理をマスターする。その後は、本社部門やスーパーバイザーへと昇進してマネジメント側へと進むことも可能。科学的アプローチを重視する社風であるため、外食業界にありがちな根性論的な雰囲気はまったくない。

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