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外食会社

くら寿司の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

くら寿司は、世界4ヵ国で回転寿司チェーン「くら寿司」を展開する大手外食会社。1977年に個人寿司店として大阪府堺市で創業、システム投資・機械化投資によって効率的な店舗オペレーションを早期から実現。現在ではスシローに続いて業界2位の店舗数を誇り、台湾・米国・中国へと進出。現地の株式市場へ株式上場も進めており、グローバル企業化に邁進。

POINT

・回転寿司分野で業界2位の大手、海外展開は業界トップのスピード感
・売上高は成長基調だが利益は苦しい、財務体質はそこそこ健全
・平均年収463万円で平均勤続年数6.8年、週刊文集に告発記事が掲載

業績動向

✔売上高と営業利益

くら寿司の売上高は右肩上がりでの増加しており、直近の2023年には過去最高となる売上高2,144億円を達成*1。が、営業利益は2018年をピークに低迷しており、直近4年間は損益ギリギリで推移。
*1:くら寿司の売上高が増加している理由は、①過去8年間に渡る出店攻勢で約200店舗を増やした点、②100円寿司を廃止して最低価格を110円に引き上げた点、③人気アニメ作品とのコラボ効果、など。

✔セグメント別の状況

くら寿司は、日本事業(日本国内における店舗運営)、北米事業(アメリカにおける店舗運営)、アジア事業(台湾・上海における店舗運営)、の3事業を有する。
くら寿司は外食大手の中でも海外展開に極めて熱心であり、アメリカ46店舗・台湾50店舗・上海3店舗を展開。売上高は日本事業が約82%を占めるが、利益面ではアジア事業が国内事業と同レベルにまで貢献。

✔最終利益と利益率

くら寿司の純利益は2018年までは35億円~50億円ほどで安定していたが、同年以降は低迷*2。営業利益率も2018年から低迷しており、同年以降は低空飛行が続く。
*2:利益が低迷する理由は、①世界的な原材料・人件費高騰によるコスト増加、②歴史的な円安による海鮮品価格の高騰、などに起因。

✔自己資本比率と純資産

くら寿司の自己資本比率は2018年まで65%前後の高水準で推移してきたが、同年以降は右肩下がりで低下*3。とはいえ、直近の2022年は自己資本比率41.6%と良好な水準。純資産は増加傾向が続いており、直近では純資産706億円ほど。
*3:くら寿司は2020年からIFRS国際会計基準16号「リース」を適用。会計基準の変更によって貸借対照表におけるリース債務が急増したことで自己資本比率が低下した。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

くら寿司の平均年収は長期的に440万~460万円ほどで推移しており、外食大手の中ではかなり低め。総合職で入社すると、早ければ入社2年目で店長に昇格して450万円~500万円ほどになる。平均年齢が30歳前後と極めて若いため平均年収は低くなりやすい事情はあるか。

✔従業員数と勤続年数

くら寿司の単体従業員数は増加傾向が続いており、直近の2022年には1,617人に到達。直営店舗数が多いために、従業員数はかなり多め。平均勤続年数は直近で6.8年に留まり、他の外食大手と比べて勤続年数が特に短い。

総合評価

企業格付け:D

■業績動向
売上高は右肩上がりで伸びるも、利益がついてこない状況。世界的な人件費・原材料費の高騰が逆風となっており、当面の事業環境は厳しい見込み。2022年には同業他社で寿司ペロ悪戯事件が発生、被害者であるはずの回転寿司業界への不信感が高まる不運も。が、当社はもともと抗菌寿司カバーを採用していたこともあって相対的に影響は軽微であった。

■財務体質
やや低下気味だが、良好。IFRS国際会計基準の変更によって貸借対照表に表れていなかったリース債務が可視化されたことで見た目の自己資本比率は低下傾向。外食業界トップレベルとまでは言えないが、規模拡大を急ぎつつも一定の財務健全性はしっかりと維持している。

■ビジネス動向
国内店舗数はスシローに続く2番手だが、海外店舗数においては同社を圧倒して先行。国内店舗数は人口減少もあって成長が頭打ちとなるため、海外展開で更なる成長を目指す。日本食ブームもあって海外展開の素地は整っており、どこまで現地に受け入れられるかを試す状況。

就職格付け:EE

■給与水準
平均年収は463万円と外食大手のなかでは低めの水準。従業員の平均勤続年数が短いことで従業員の年齢構成が若いことも理由。完全実力主義を標榜しており、店長クラス以上は店舗業績に応じて給与水準が変動。年功序列による温情昇給は一切ない。

■福利厚生
社是の実力主義により、店長以上になると固定残業制(45時間/月)でボーナスなしが基本。総合職でも転勤を最小限に留める配慮があり単身赴任者は社員数の1%前後。が、平均勤続年数は6.8年に留まる。2023年は新卒だけで100人~200人を採用しており、超大量採用も特徴。

■キャリア
入社後は店舗に配属され、店舗オペレーションの基礎を学ぶ。総合職なら3年目以降に店長へと順次昇進して、一店舗の責任者に。その後は、本社部署へ異動してスーパーバイザーやスペシャリストへと昇進してマネジメント側へと進むのがロールモデル。

■週刊文集での告発
2022年に週刊文春で告発記事が相次いで公開されて社会問題化。従業員の自殺問題店長が自腹でアルバイトを雇うなどの報道が世間を騒がせた。会社側は因果関係を真っ向から否定しており、因果関係も立証されていないため真相は不明。

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