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企業レポート

東京海上日動火災保険の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

東京海上日動火災保険は、損害保険事業を主力とする大手金融グループ。1879年に日本初の保険会社として発足、社名に三菱を冠していないが三菱グループの構成企業の1社である。東京海上日動火災保険・日新火災海上保険・イーデザイン損害保険・東京海上日動あんしん生命保険、などのブランドを持つ巨大保険グループであり、国内三大損保の一角を占める。

POINT

1.損害保険業界の始祖、現在までリーディングカンパニーの地位を占有
2.経常収益は緩やかな拡大基調、直近では5兆円を優に超える規模
3.総合職なら30代で年収1000万円越えは堅いが、新車購入圧や頻繁な転勤は課題

業績動向

✔売上高と経常利益

東京海上ホールディングスの経常収益は過去10年間に渡って緩やかな成長が続いており、2016年には経常収益5兆円を突破*1。経常利益は伸び悩んでいたが、直近は好調で2021年は過去最高益を更新*2。
*1:2015年に米HCCインシュアランスを買収したことで経常収益が上積みされた事情もある(参考資料)。
*2:COVID-19感染拡大による外出自粛で事故が激減、保険金の支払いが少なかったことで利益拡大。

✔セグメント別の状況

東京海上ホールディングスは国内損害保険事業(火災・海上・傷害・自動車保険)、国内生命保険事業(個人保険・個人年金保険・団体保険・団体年金保険)、海外保険事業(火災・海上・傷害・自動車保険)の3事業を有する。
国内三大損保の中では海外進出が進んでいる方だが、それでも利益に占める海外比率は約33%程度。国内市場の縮小による先細りを警戒して海外進出を急いでいる状況。

✔最終利益と利益率

東京海上ホールディングスは純利益を概ね3000億円レベルで安定的に確保している*3。利益水準はROE7%水準で安定しているが、事業環境により上下変動する
*3:大きな自然災害があった場合には巨額の保険金支払いが発生して利益水準が急落しやすい傾向がある点には注意(近年では阪神淡路大震災や東日本大震災など)。

✔自己資本比率と純資産

東京海上ホールディングスの自己資本比率は14.8%と低めだが、損害保険会社であれば健全な水準。損害保険会社は顧客から保険料を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がるため自己資本比率が低くなりやすい。
純資産が2019年から増加傾向だが、これは①COVID-19感染拡大による業績好転、②金融マーケットの好況で東京海上ホールディングスが保有する有価証券評価額の上昇が主な理由である。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

東京海上ホールディングスの平均年収は直近で1412万円と高水準だが、これは持株会社の577名のみの平均年収。東京海上日動火災保険の平均年収は800~950万円程度と推定されるが、総合職であれば30代までに年収1000万円を越える。

✔従業員数と勤続年数

東京海上ホールディングスの連結従業員数は業績成長に比例して増加傾向にある。平均勤続年数は19年前後の水準だが、これは持株会社の577名のみの平均勤続年数である点には注意が必要。

総合評価

企業格付け:AA

日本の損害保険業界のリーディングカンパニー。日本に初めて保険の概念を持ち込んだ「保険業界の始祖」ともいえる存在だが、現代に至るまで業界トップランナーとしての地位を維持し続けている。直近の業績も経常収益5兆円を優に超えており、巨大金融グループとしての存在感は盤石。国内市場は少子高齢化・都市集中化によって最主力商品の自動車保険の先細り傾向が明確であるため、これを海外進出によって克服したい考え。リーマンショック以降の金融不況で窮地に陥った米損害保険会社を複数買収して傘下に収め、海外進出を更に加速させた手腕も評価できる。

就職格付け:AA/A

■総合職SPEC=AA
新卒初任給は総合職と同額だが、配属先にアクチュアリー・グローバル・金融IT部門などの花形部門を確約。東京都内の事業所がメインの部門を確約されるため、大手損保就職のリスクである「営業ドサ周りと転勤リスク」を抑制できる点は魅力。採用数が少ないブレイン採用であるため、学生時代に専門性・語学スキルを磨く必要があるが、高年収とネームバリューとキャリアパスをすべて抑えられるため国内トップクラスの就職先として評価される。とはいえ、大手証券会社ブレイン採用や外資系金融・コンサルは初任給600万円以上でのオファーも珍しくないため、その点では見劣りも。

■総合職=A
就職先のネームバリューが抜群でありながら、年収1000万円を手堅く狙えるため人気の就職先。総合職の採用人数は300名規模でメガバンクほど大量採用ではないことから人気も高い。とはいえ、国内外200拠点以上での定期的な転勤があるため共働きには向かず、損保業界には「新車の購入・数年おきの買替」の文化もあるため、30代で年収1000万円を越えても思ったほどリッチな暮らしにはならないリスクも大。2026年までに社員の同意がない転勤を廃止すると発表しているが、出世を目指す社員が会社の意向を拒否できるかは依然不透明。

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