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建設会社

大成建設の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

大成建設はトンネル・ダム・橋梁・超高層ビル・商業施設などの大規模土木・建設工事を主力とする大手総合建設会社。建設業界における最大手企業群である大手スーパーゼネコン5社の一角であり、売上高では第3位の地位を占める。1887年に渋沢栄一・大倉喜八郎らが設立した日本土木会社を前身とし、1892年には大倉喜八郎が単独経営する大倉土木組として設立。終戦直後の1946年には現社名の大成建設へと社名変更。国内においては新国立競技場や新阿蘇大橋などを始めとして、大型橋梁・ダム・トンネル・高層ビルなどの施工実績を多数保有、海外においてもボスポラス海峡横断鉄道トンネルやアルマスタワーなどの超大規模プロジェクトを完遂してきた実績を有する。

POINT

1.大手スーパーゼネコン5社の一角、売上高では鹿島・大林組に続く規模
2.売上高は横這いで利益は低下傾向、財務体質は優良
3.平均年収950~1,050万円だが、残業代・単身赴任手当が底上げ要素

業績動向

✔売上高と営業利益

大成建設の売上高は1.4兆~1.7兆円のレンジで推移しており、売上高は安定的*1。営業利益は2020年まで1,100億~1,800億円ほどで推移していたが、2021年から営業利益1,000億円を割り込んで縮小*2。
*1:大成建設の売上高が過去最高を記録したのは1993年に記録した売上高2.35兆円。建築バブル全盛期と比べると流石に売上高はピークアウトしている。
*2:大成建設の営業利益が縮小した原因は、①東京オリンピック終了後の低採算大型工事の増加、②世界的な原材料価格の高騰による建設コスト高騰の価格転嫁の遅れ。東京オリンピック特需の収束直後の建設業界全体で受注を競う状況に陥り、採算の良い工事が減った状況での建設コスト上昇が打撃に。

✔セグメント別の状況

大成建設は土木事業(トンネル・橋梁・道路・沿岸構造物などの土木工作物の建設工事全般)、建築事業(ビル・商業施設・物流施設工場・ホテルなどの建設工事全般)、開発事業(不動産の売買・賃貸・管理・斡旋など)、その他事業の4事業を有する。
大成建設の主力事業は売上高の約67%を占める建築事業であるが、直近では建築事業は赤字転落しているため全社利益への貢献を果たしていない状況。土木事業・開発事業が営業利益を確保いて建築事業の赤字を埋め合わせることで、全社利益を黒字としている。

✔最終利益と利益率

大成建設の純利益は2020年までは700億~1,200億円レベルで安定していたが、2019年以降は純利益の減少傾向が続いている。営業利益率は平常時であれば7~11%ほどの水準を安定的に確保しているが、2021年以降は営業利益率も低迷。

✔自己資本比率と純資産

大成建設の自己資本比率は2020年まで上昇傾向が続いたが、2021年以降は横這い傾向へと転換。とはいえ、直近の自己資本比率は41.1%と高めであり、財務体質は健全。純資産は2021年まで右肩上がりの推移が続き、直近の2022年には純資産8,339億円ほど。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

大成建設の平均年収は950~1050万円前後で極めて安定的に推移しており、直近の2022年の平均年収は922万円。大卒総合職なら30歳前後で年収750~800万円ほどが目安。長時間勤務・単身赴任が多い業界であるため、手当による年収底上げが大きい。

✔従業員数と勤続年数

大成建設の単体従業員数は長年に渡って横ばい推移が続いており、おおよそ8,500人規模の組織*3。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.44万人ほど。平均勤続年数は直近で18.1年とかなり長めであり、建築事業のタフなイメージに反して従業員の定着は良い。

総合評価

企業格付け:A

超高層ビル・大規模プロジェクトの設計~施工までを遂行する能力を有する大手スーパーゼネコン5社のうちの1社。スーパーゼネコンとして建設・土木工事を中心としつつも、大成有楽不動産・大成建設ハウジングなどを通して、一般消費者向けの不動産ビジネスも展開している。業績は2020年ごろを境に失速感が強く、とりわけ利益の縮小が目立つ状況。東京オリンピックによる建設特需と好景気を追い風として、2017年には過去最高となる純利益1,267億円を記録したものの、特需剥落後は利益水準が低下。世界的な原材料価格の高騰をうけて建設資材費は高騰一途を辿っているうえ、建設業界は職人不足による人件費の上昇も著しい状況。2022年には建築事業が営業赤字に転落、土木事業・開発事業の利益によって埋め合わせたが、2023年第1四半期には建築事業の赤字幅が更に拡大しており、最悪期は未だに脱していない。

就職格付け:A

かつては大倉喜八郎が創業したオーナー企業であったが、現在においては非同族企業。大成建設以外の大手スーパーゼネコン4社はいずれも同族企業であるため、非同族企業という観点では唯一無二の存在である。社員の自主性を重んじる社風であり、現場独立採算制を採用。各現場・作業所が自ら工事計画・資材調達・施工管理までを一貫して進めていくため、各現場が自主独立して工事を進めていく特徴がある。給与水準は平均年収1,000万円前後と建設業界トップクラス、30歳前後で年収750~850万円ほど。ただし、建設業界特有の長時間労働・単身赴任による手当によって給与水準が底上げされている点は否めない。福利厚生は大手企業なりの制度は整っているが、特筆に値するほどの制度はない。単身赴任手当として10万円/月を上限として、家族と会うための帰省費用を補助されるほど。建設業界は将来的にも外資系企業と直接競合するリスクが低いうえに将来的にも必ず存在し続ける業界である点は心強いため、学生時代にスポーツなどを通してタフな職務環境に耐えるだけのメンタル・体力を養っておきたい。

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