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半導体製造装置メーカー

東京エレクトロンの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

東京エレクトロンは国内首位かつ世界最大級の半導体製造装置メーカー。1963年に設立された当初はIC製造装置の輸入を主力事業としていたが、1980年代には電子部品検査装置の自社製造を開始。1990年代に日系半導体メーカーが世界シェア首位にまで登りつめる躍進を舞台裏から支えた。2000年代以降に日系半導体メーカーが衰退した後も、世界の半導体メーカーに半導体製造装置を納入。現代においては蘭ASMLと米アプライドマテリアルズに並ぶ、世界首位級の半導体製造装置メーカーとして君臨。

POINT

1.世界首位級かつ国内首位の半導体製造装置メーカー、独自技術多数
2.業績急拡大で売上高2兆円を突破、成長基調が続く
3.平均年収1398万円と傑出しているが、不況時の給与減少には注意

業績動向

✔売上高と営業利益

東京エレクトロンの売上高は過去8年間で急増して2021年には2兆円を突破*1。営業利益は年度によって好不調が分かれるものの長期的に増益傾向が継続、2021年には6,177億円に到達して過去最高を更新。
*1:半導体産業は好況と不況が顕著に分かれる市況産業であり、過去においても好不況を繰り返してきた歴史を持つ。東京エレクトロンなどの半導体製造装置メーカーもまた、半導体産業の好況期には業績が急騰するものの、不況期には激減するサイクルを繰り返す特徴がある。

✔セグメント別の状況

東京エレクトロンは半導体製造装置事業(ウェーハ処理工程用コータ・デベロッパ、エッチング装置、成膜装置、洗浄装置、ウェーハプローバなど)、FPD製造装置事業(フラットパネルディスプレイ用コータ・デベロッパ、有機ELディスプレイ用インクジェット描画装置など)、の2事業を有する。
東京エレクトロンは半導体製造装置とFPD製造装置を二大事業としているが、実際には売上高の97%が半導体製造装置。半導体製造装置事業の売上の約半分がエッチング装置とコータ・デベロッパが占めており、最主力製品である。

✔最終利益と利益率

東京エレクトロンの純利益は2020年まで800億~2,400億円ほどで推移していたが、2020年以降は4,000億円以上にまで急増*2。営業利益率は27.9%と高めであるが、半導体業界としては傑出した水準ではない。
*2:COVID-19後における半導体不足を発端に、2020年頃から半導体業界は好況期に突入。世界的に半導体分野への投資が相次いだことで、当社の事業環境が急改善した経緯がある。

✔自己資本比率と純資産

東京エレクトロンの自己資本比率は直近で68.7%と高めの水準である。高い利益率による過去の利益剰余金の蓄積に加えて、極端な好況と不況を繰り返す半導体産業特有の事情から、不況期に備えて財務基盤を堅実に保つ戦略をとっている事業がある。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

東京エレクトロンの平均年収は直近で1,398万円と、大いに高めの水準。大卒総合職なら30歳前半で年収1,000万円は優に超えられる。ただし賞与の占める割合も大きい点には注意が必要であり、半導体産業が不況期に突入すると平均年収1,000万円を割り込むこともある。

✔従業員数と勤続年数

東京エレクトロンの単体従業員数は緩やかな増加傾向にあり、直近では1,900人ほどの組織規模。昨今の半導体産業の活況により、人員体制を強化している。平均勤続年数は16.4年前後と大手メーカーの標準的な水準。

総合評価

企業格付け:AA

■業績動向
2020年以降の半導体業界の好況によって、急激な業績拡大が続いている状況。COVID-19以降の半導体不足を経ての旺盛な設備投資に加えて、米中対立などの地政学・政治的要因による追い風も大きい。2022年には売上高2.21兆円・純利益6,177億円に到達し、名実ともに日本の半導体製造装置業界におけるトップ企業である。

■財務体質
良好。自己資本比率は70%以上を長期的に維持し続けており、直近の手元資金は4,700億円以上を確保している。半導体業界はシリコンサイクルと呼ばれる好況期・不況期を歴史的に繰り返してきた業界であるため、万が一にも不況期が再び到来したときに備えた財務規律を重視している。

■ビジネス動向
日本の半導体製造装置産業のリーダー的存在。時価総額は日本企業の上位10社に食い入る。とりわけ、半導体製造の前工程であるシリコンへの膜形成や電子回路の焼き付けなどの工程に強く、あらゆるIT機器に搭載される半導体が同社製品を経由して製造されている。昨今では韓国など新興国の半導体製造装置メーカーも出現しつつあるが、長い歴史を持つ同社の実績は大きく、当面は世界シェア首位級を維持できる見通し。

就職格付け:AA

■給与水準
直近では平均年収1,398万円と大いに良好な給与水準を確保しており、大卒総合職なら30代で年収1,000万円は優に到達可能。課長職レベルともなれば年収1,500万~1,800万円にも到達することができ、サラリーマンとしては最上位級の収入を得られる。ただし賞与比率が高い給与制度であるため、半導体業界が不況期に突入すると収入も大きく落ち込むことへの理解は必須。

■福利厚生
良好。給与水準が高いうえに独身寮・家賃補助制度も整備されており、生活コストを抑制することができる。有給休暇の取得率も70%以上と高めであり、有給休暇とは別に誕生日休暇として年1回の特別休暇も与えられる。山梨県の1拠点を除けば、拠点の多くが都市部に所在しているため僻地勤務のリスクが低いことも特筆に値する。

■キャリア
総合職・一般職の2職種制。文系出身者は営業・管理領域を中心に経験を重ねる一方、理系出身者はエレキ・ソフト・プロセス・フィールドなどの領域別にエンジニアリングスキルを高める。グローバルで画一化されたジョブ型人事制度を導入しており、年功序列よりも個々人の能力・職責に応じたキャリアパスに重きを置く。個々人の希望に応じて、管理職だけではなく高度専門職を目指す道もある。

■社会的名声・知名度
最大のネックは知名度の低さか。一定以上のリテラシーがある層ならば誰もが知る有名企業であるが、一般知名度は低い。半導体製造装置という一般人には接点の少ない業態ゆえに仕方がないが、業績絶好調の好待遇企業であるにも関わらず、友人・親戚などにサッパリ伝わらないのはやや惜しい。

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