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機械メーカー

日本車輌製造の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

日本車輌製造は、鉄道車両・建設機械・特装車などを製造・販売する輸送機器メーカー。1896年に日本初の民間資本による車両メーカーとして創業。創業直後は大八車などを製作していたが、1918年には自社設計の蒸気機関車を完成させた。1927年には日本初となる地下鉄電車を製造し、鉄道車両メーカーとしての基礎を固めた。現代においては新幹線車両製造数で国内首位、バルクローリーや大型杭打機などでも国内トップシェアを独走。橋梁建設も手掛けており、全国3,000基以上の架橋実績がある。2008年にはJR東海が発行済み株式数の約50.1%を取得、同社の連結子会社入りを果たした。

POINT

1.JR東海が筆頭株主の鉄道車両メーカー、建機や橋梁なども展開
2.売上高・利益は業績悪化から回復、財務体質は自己資本比率41%と良好
3.平均年収620万円レベルで安定的、福利厚生はそこそこ

業績動向

✔売上高と営業利益

日本車輌製造の売上高は2013年の1,243億円をピークにやや後退、最近は900億円レベルでの推移が続いている*1。営業利益は2015年頃までは赤字が続いた*2が、2017年以降は営業利益40億~90億円ほど確保できている。
*1:2010年代前半まではアメリカ・カナダ・ベネズエラ・台湾など海外向け鉄道車両の積極受注により売上高を拡大したことで売上高1,000億円超えを達成。しかし、後述する業績悪化の元凶となったことで2010年代後半からは海外事業を縮小したため売上高は減少。
*2:2012年にカリフォルニア州交通局などから鉄道車両130両を受注したが、開発・製造が難航。2014年~2016年にかけて業績悪化に陥った。最終的に製造自体を断念、2018年にはアメリから撤退。

✔セグメント別の状況

日本車輌製造は鉄道車両事業(電車・気動車などの製造販売)、輸送用機器・鉄構事業(貨車・タンクローリ・大型陸上車両などの製造販売、道路橋・鉄道橋の製造架設)、建設機械事業(杭打機・全回転チュービング装置などの製造販売)、エンジニアリング事業(鉄道事業者向け機械設備・営農プラントなど)、その他事業の5事業を有する。
日本車輌製造は鉄道車両メーカーとしてのイメージが強いが、売上高に占める鉄道車両事業の割合は約54%ほど。橋梁・タンクローリ・杭打機など、鉄道車両以外の分野の売上高もかなりの存在感。とりわけ建設機械事業は利益率が高く、全社利益への貢献度が鉄道車両事業に近い。

✔最終利益と利益率

日本車輌製造の純利益は2017年まで海外事業の失敗による損失計上が相次いだが、2018年以降は利益を着実に確保している。営業利益率は2017年以降は4%~7%ほどで推移している。

✔自己資本比率と純資産

日本車輌製造の自己資本比率は2017年までは低下傾向が続いていたが、同年以降は回復傾向へ転換。直近の2022年には41%と健全な水準を確保。純資産も2017年以降は増加傾向が続いており、直近の2022年には純資産511億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日本車輌製造の平均年収は600~640万円前後で推移しており、中堅メーカーの標準的な給与水準。大卒総合職なら30歳で年収450~550万円、課長職レベルで700~850万円ほど。平均年齢は38.9歳と輸送機器メーカーとしてはやや若め。

✔従業員数と勤続年数

日本車輌製造の従業員数は緩やかな増加傾向が続いており、2021年以降は2,200人規模で推移。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2,321人ほど。平均勤続年数は14年前後の水準であり、長くも短くもない標準的な水準。

総合評価

企業格付け:CCC

JR東海グループの鉄道車両メーカーであり、新幹線車両の製造実績では国内首位級。国内におけるライバルは日立製作所・川崎車両・総合車両製作所・近畿車両などが挙げられる。かつて2010年にアメリカ・イリノイ州に鉄道車両工場を新設して海外市場への積極攻勢を仕掛けたものの、カリフォルニア州などから受注した新型鉄道車両の開発・製造に失敗。仲介役であった住友商事などに解決金372億円を支払って開発自体を断念する屈辱的な事態に陥った。2018年にはアメリカの新設工場も売却して、国内市場へと再び注力する道を選択。こうした混乱が落ち着いた2018年以降になってようやく業績回復した状況、売上高こそ海外市場からの撤退で減少したものの、利益を安定的に確保できる体質へと立ち直った。財務体質も一時は自己資本比率16.4%まで低下したが、直近の2022年には41%まで回復。

就職格付け:CC

日系鉄道車両メーカーとしては最も歴史が古い企業であり、日本初の地下鉄電車やモノレールなどを製造してきた業界の名門。JR東海グループの連結子会社として同社と蜜月の関係であるが、JRグループ全体との距離が近いわけではない。JR東日本は完全子会社の総合車両製作所と蜜月関係にあり、JR西日本は資本業務提携関係にある近畿車輛をパートナーとしている。これ以外にも、鉄道車両で世界シェア4位の日立製作所や、川崎重工業を後ろ盾とする川崎車両もライバルであり、日本国内だけでも競争環境は意外と激しい。給与水準は平均年収は600~640万円前後であり、年功序列を重視した給与制度となっている。福利厚生は中堅メーカー並みの制度が整っており、名古屋市内・豊川市内に社員寮・社宅が整備されている。社員寮は格安で入居できるため生活コストは節約できるが、築年数が古めであるため期待しすぎは禁物。有給休暇が初年度から20日付与される点は有難いか。

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