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三菱食品の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

三菱食品は、加工食品・冷凍食品・酒類・菓子類などの卸売を手掛ける三菱グループの大手食品商社。2011年に菱食・明治屋商事・サンエス・フードサービスネットワークが合併して誕生。食品卸売業界では国内シェア首位を誇り、マーケティング・商品開発・製造支援・サプライチェーン構築までを幅広く手掛ける。国内外の食品メーカー約6,500社と日本全国の小売店までを繋ぐ、食品メーカーと小売店のハブ機能を担っている。三菱商事の連結子会社であり、三菱商事が発行済み株式数の約50%を保有。

POINT

1.三菱商事の連結子会社の大手食品商社、食品卸売業界で首位
2.売上高・利益いずれも安定的だが利益率が低い、財務体質は問題なし
3.平均年収600万円台で意外と普通、給与の低さを手厚い住宅補助で補う

業績動向

✔売上高と営業利益

三菱食品の売上高は2020年まで2.4兆~2.6兆円で推移していたが、同年以降は2.0兆円レベルへ低下*1。営業利益は150億~230億円で極めて安定的に推移している。
*1:三菱食品の売上高が2021年に急落したのは、会計基準の変更が主要因であり事業不調によるものではない。2020年3月31日から収益認識に関する会計基準が新たに適用され、同基準に従ったことが変化点となっている(参考リンク)。

✔セグメント別の状況

三菱食品は、加工食品事業(麺・乾物・飲料・調味料・嗜好品などの卸売)、低温食品事業(冷凍・チルド食品などの卸売)、酒類事業(酒類の卸売など)、菓子事業(菓子類の卸売)、その他事業(物流事業など)、の5事業を有する。
三菱食品の売上高は加工食品・低温食品・酒類事業が約25%~35%をバランスよく占めており、菓子事業が補完的な立場を占める。利益面では低温食品事業が全社利益のほぼ半分を支えており、稼ぎ頭の事業となっている。共働き夫婦・単身者の増加によって低温食品ニーズは底堅いか。

✔最終利益と利益率

三菱食品は景気後退局面にも純利益を確保できる安定性に強みがあり、リーマンショック直後やCOVID-19感染拡大期も含めて安定的に利益を確保できている*2。営業利益率は1%弱での推移が長く、商社として考えても利益率は低い。
*2:どのような経済不況・景気後退局面であっても人間には必ず食事が必要である為、食品卸売のニーズは底堅いと言える。

✔自己資本比率と純資産

三菱食品の自己資本比率は概ね25%前後の低水準で長年推移しているが、これは商社特有の事情によるため財務体質への心配は不要*3。純資産も2021年に下落したとはいえ長期的には増加傾向が続いている。
*3:メーカーと小売店の間に介在する商社は、商品の出荷~着荷までの期間において商品を一時的に保有する。巨額の買掛金を負債として背負うために自己資本比率が表面上は低く見える。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三菱食品の平均年収は長年に渡って640万~690万円ほどの水準で極めて安定的。年功序列色が強い給与制度を採用しており、大卒総合職は30代で年収500万~650万円ほど。課長職レベルで年収700万~790万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

三菱食品の単体従業員数は2018年に一時増加したが、同年以降は緩やかな減少が継続。直近では4,000人規模の組織となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は4,900人ほど。平均勤続年数は直近で19.4年とかなり長く、従業員の定着は良い。

総合評価

企業格付け:B

食品卸売業界におけるトップ企業であり、業界3強とされる日本アクセス・国分グループ本社と比べても規模感は頭一つ抜けている。同じく三菱商事グループに属するローソンが最大手の顧客であるが、イオングループ・イトーヨーカドー・Amazonなどとの取引シェアも大きい。業績は大いに安定的であり、売上高・利益いずれも大きな変化がない横這いの推移が続く。厳密に言えば、COVID-19感染拡大後に外出自粛の影響でやや売上高を落としたが、それでも前年比2.9%の減少幅に留まっており、極めて景気動向に左右されにくい企業体質。財務体質も安定的であり、見かけ上の自己資本比率こそ低めであるが内実に不安はない。利益率が低い点がネックであり、営業利益率は長年に渡って1%前後の低水準で停滞。2021年に策定した「中期経営計画2023」ではデジタル活用によって更なる高効率なマーケティング・サプライチェーン構築を目指しているが、成果は得られるのだろうか(参考リンク)。

就職格付け:C

あくまで食品商社であるため一般社会における知名度は高くはないが、食品メーカーが製造した食品が店頭に並ぶまでを支えている重要企業。三菱食品が流通を手掛ける商品としては、①大手~中堅食品メーカーが製造する食品、②かむかむレモン・からだシフト・ララキットなどの自社ブランド、③リンツ・ハリボー・バリラ・へングステンベルグなどの海外食品、がある。”三菱商事グループの食品商社”というイメージと比べると、平均年収は普通であり長年に渡って600万円台が定着。年功序列色が強いために若手社員の昇給スピードは緩慢であり、給与水準は勤続10年目まで微妙な昇給幅が続く。その代わりに福利厚生はかなり充実しており、家賃補助制度では最大7万円/月が支給される他、社宅であれは3割負担。名目上は34歳までが住宅補助の期限であるが、一度でも転勤すれば10年間の補助が追加される恩恵もある。総じて、「基本給の安さを福利厚生で補う」制度設計である。平均勤続年数が19.4年とやたらに長いため、給与水準について従業員はそれなりに納得している模様。

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