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双日の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

双日は、石炭・資源・化学品・食料・自動車・航空機・生活用品などを幅広く展開する総合商社。2003年に日商岩井とニチメンが合併して誕生した総合商社であり、戦前に日本最大の総合商社として君臨した鈴木商店の流れを汲む名門商社である。資源・鉄鋼・食糧ビジネスは勿論、自動車・航空機トレーディングや原子力燃料までを手掛ける。航空機分野では国内シェア首位を誇る他、中東アジアでは発電事業にも参画。国内外400社以上のグループを形成し、事業範囲は極めて広範に渡る。

POINT

1.総合商社で第7位の中堅上位、航空分野に強いほか資源分野が業績好調
2.売上高・利益いずれも好調で過去最高益を更新、財務体質も問題ない
3.総合職なら30代で年収1,000万円に到達、福利厚生はそこそこ

業績動向

✔売上高と営業利益

双日の売上高は長年に渡って1.6兆~1.8兆円レベルで安定していたが、2021年から売上高が増加して直近では2兆円を突破*1。営業利益も270億~670億円で推移してきたが、2021年以降は900億~1,100億円まで増益しており業績好調。
*1:2021年以降の業績好調の主要因は、①世界的な資源価格高騰による石炭・鉄鋼価格の上昇、②メタノール・合成樹脂の需要増加、③海外市場における自動車需要の好調、など。

✔セグメント別の状況

双日は、自動車事業(完成車販売・サービスなど)、航空産業・交通事業(民間機・防衛機器代理店、船舶販売)、インフラ・ヘルスケア事業(再エネ・電力・原子力燃料・都市開発・医療)、金属・資源事業(石炭・鉄鉱石・合金・炭素製品など)、化学事業(化学品・樹脂・レアアースなど)、生活産業・アグリ事業(穀物・小麦粉・油脂など)、リテール事業(コンビニ・外食・農産物・衣料品・マンションなど)、その他事業(産業機械・船舶機械・物流・保険など)、の8事業を有する。
双日は多種多様な事業展開が特徴であるが、稼ぎ頭は金属・資源事業と化学事業。2021年以降は世界的な資源・原材料価格の高騰によって、同2事業で売上高の約51%・利益の約70%を稼ぎだしている。

✔最終利益と利益率

双日の純利益は300億~700億円前後の水準で推移してきたが、2021年からは純利益800億~1,100億円まで増加*2。営業利益率は長期的に1%~3%ほどで推移していたが、直近2年間は4%を上回っている。
*2:双日の純利益は2021年・2022年は過去最高圏にあり、2003年の双日発足から過去最高を連続更新。かつてバブル崩壊で経営危機に瀕した日商岩井・ニチメンが合併を選んだ当時とは隔世の感。

✔自己資本比率と純資産

双日の自己資本比率は長年に渡って25%~30%レベルで推移している。商社は自己資本比率が高まりにくい事業構造であるため一見すると低く見えるが、財務の健全性に問題はない*3。純資産は右肩上がりで増加しており、直近の2022年には8,766億円に到達。
*3:総合商社は規模・信用を活かして多額の資金を調達して事業に投資するビジネスモデル。常に新たな事業への投資を模索しているため、自己資本比率は高まりにくい業態。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

双日の平均年収は長年に渡って1,000万~1,200万円で安定的。財閥系の大手総合商社には及ばないものの、大手専門商社は上回る給与水準となっている。大卒総合職は30歳で年収900万~950万円ほど、30代前半で1,000万円は超える。課長職レベルで年収1,500万~1,700万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

双日の単体従業員数は長期的な増加傾向が続いており、2020年には2,000人規模に到達。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2万人を超える。平均勤続年数は直近で15.4年と大手企業の標準的な水準。

総合評価

企業格付け:AA

戦前日本において国内総生産の約10%を単独1社で支配した大手総合商社・鈴木商店の流れを汲む総合商社。現代においては、財閥系大手総合商社には遠く及ばないが、総合商社としての業容は復活させることに成功。資源・非資源分野いずれも幅広い事業展開をグローバルに進めている。2021年から業績は絶好調であり、売上高2兆円・純利益1,100億円に到達。世界的な資源・原材料価格の高騰によって、金属・資源事業と化学事業が大幅増益を達成している。財務体質においても自己資本比率30%以上にも到達しており、財務健全性はしっかりと確保。さすがに財閥系大手総合商社に業績・財務では遠く及ばないが、業績悪化に苦しんでいた30年前と比べれば隔世の感がある。現在の中期経営計画では約3,000億円を積極投資することを宣言しており、①インフラ・ヘルスケア分野、②新興国や肥料分野などの成長市場分野、③リサイクル・新素材分野、への投資を急ぐ。

就職格付け:AA

財閥系5大商社・豊田通商に続く業界7位に位置する総合商社。グループ会社にはメタルワン・さくらインターネット・ヤマザキビスケット・ロイヤルホストなどの著名企業も多数。給与水準はかなり恵まれており、大卒総合職であれば30代で年収1,000万円は優に上回る。30代中盤で課長代理職へと昇格すれば年収1,300万円に到達するほか、課長職へ昇進すれば年収1,500万円は優に超える。最近では実力主義色も強まっており30代での課長職昇格も見られるため、実力次第では若くして大きく稼ぐこともできる。海外駐在となれば年収は更に伸びる為、20代で年収1,200万円に到達することも珍しくはない。福利厚生は大手企業なりの制度は整うが、家賃補助制度はない点が痛い。代わりに若手社員は独身寮に入寮することで住宅コストを浮かせるが、この独身寮はタテ・ヨコの関係を構築することが求められる(参考リンク)。「釣り好きの先輩・後輩が釣ってきた魚をみんなで料理して酒を飲む」ような人間関係を構築することが楽しい性格であればよいが、濃厚な人間関係が苦手な場合には辛い(そもそも濃厚な人間関係を好まない人間が総合商社に向くのかという論議はあるが)。総じて、給与水準・福利厚生いずれも世間の多くの企業よりは上であるが、財閥系大手総合商社に期待される水準よりは下といったところ。家賃補助制度がない点だけがやや残念。

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