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富士フイルムホールディングスの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

富士フイルムホールディングスは、医療機器・医薬品・電子材料・複合機などを製造・販売する総合化学・電気メーカー。1934年に大日本セルロイドの写真フィルム部が分離独立して創業、戦前から国産写真フィルムの製造を手掛けた。1962年には英ゼロックスと富士ゼロックスを設立して複写機事業にも進出。2000年代にデジタルカメラが登場すると写真フィルム事業から早々に脱却、化学・医療メーカーへと転換を果たした。現在では有機ELディスプレイ材料・医療用画像情報システムなどで世界シェア首位級。

POINT

1.写真フィルム事業から業態転換、医療・化学分野で事業多角化
2.売上高・利益いずれも2019年から成長基調、財務体質は極めて優良
3.給与水準は30歳700~850万ほど、入社4年目で裁量労働制へ移行

業績動向

✔売上高と営業利益

富士フイルムホールディングスの売上高は長年に渡って2.2兆~2.5兆円レベルで推移していたが、直近の2022年には売上高2.86兆円に到達して過去最高を更新*1。営業利益は安定的かつ2020年以降は増加傾向にある*2。
*1:2022年はすべての事業において増収。①医療機器の販売好調、②先端半導体の需要増加による電子材料・高機能材料の販売増加、③COVID-19影響の一服によるデジタル複合機の需要回復、④新発売した新型デジタルカメラのヒット、などが主要因。
*2:2020年以降の営業利益の伸長は、①世界的なCOVID-19感染拡大による医療機器・医療システムの販売好調、②半導体需要増加・価格高騰による電子材料・機能材料の利益拡大、などが主要因。

✔セグメント別の状況

富士フイルムホールディングスはヘルスケア事業(医療機器、医薬品、化粧品・サプリメント、医薬品製造・開発・受託など)、マテリアルズ事業(電子材料・ディスプレイ材料・ファインケミカル・インクジェット機材など)、ビジネスイノベーション事業(デジタル複合機・ソリューションサービスなど)、イメージング事業(デジタルカメラ・光学デバイス・写真フィルムなど)、の4事業を有する。
富士フイルムホールディングスの事業構造は4事業がいずれも売上高・利益において拮抗するバランス型。強いて言えば、ヘルスケア事業が売上高・利益において最大であるが、それぞれ30%前後を占めるに過ぎない。特定事業に依存しないことで、業績の安定性を実現している。

✔最終利益と利益率

富士フイルムホールディングスの純利益は2019年まで1,000億円台で推移していたが、2020年以降は右肩上がりで増加。2022年には純利益2,194億円に到達して過去最高を更新。営業利益率は7~9%レベルで推移しており、大手メーカーとしてはそこそこ高めの水準。

✔自己資本比率と純資産

富士フイルムホールディングスの自己資本比率は長年に渡って高水準での推移が続いており、直近の2022年には66.8%に到達。安定した利益体質に加えて財務基盤も極めて堅い。純資産は2019年から増加傾向、直近の2022年には純資産2.79兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

富士フイルムホールディングスの平均年収は1,000万円前後の高水準だが、これは持株会社の811名のみの平均年収。大卒総合職の給与体系は30歳で700~850万、課長クラスで1,050万~1,100万円ほどが目安。最速でも課長への昇進は30代中盤となるため、年収1,000万円を超えるのは30代後半以降。

✔従業員数と勤続年数

富士フイルムホールディングスの従業員数は811人に過ぎず、従業員の大半は持株会社の傘下に置かれる事業会社に所属。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は7.38万人ほど。平均勤続年数は20.2年前後と長いが、持株会社の従業員のみの平均勤続年数なのであまり参考にならない。

総合評価

企業格付け:AAA

かつて写真フィルムで米コダックに続いて世界2位のシェアを誇った業界最大手。デジタルカメラの実用化によって写真フィルム業界が壊滅することを早々に察知、写真フィルム技術をベースとして医療・化学分野への業態転換に成功した奇跡の企業。世界1位の米コダックが変化に適応できず経営破綻する末路を辿った点も対照的であり、理想的な業態転換の成功事例として語り継がれる企業である。業績は長らく安定的であったが、2019年移行は売上高・利益いずれも成長基調。医療分野・化学分野で安定的に利益を稼いでいる為、業績の安定感も高い。財務体質においても自己資本比率66.8%と極めて優良であり、利益体質の安定性も加味すれば倒産リスクはまずないレベル。

就職格付け:AA

大手メーカーとして最高峰の人気を誇る企業のうちの1社。就職人気の理由は、①写真フィルムからの業態転換に成功した華々しい歴史、②ヘルスケア・化学領域における高い技術力と業績好調、③平均年収1,000万円を越える給与水準の高さ。しかしながら、平均年収1,000万円以上というのは持株会社の従業員811人のみから算定された平均年収であり、実際の給与水準は30歳で700~850万、課長クラスで1,050万~1,100万円ほどが目安。他の大手メーカーと給与水準での大差はないため、期待しすぎは禁物。入社4年目には大半が裁量労働制へ移行される点にも注意が必要。仕事量が少ない部署に配属された場合には自由が利く反面、高負荷な部署で残業を重ねても給与に反映されないのは辛い。福利厚生はそこそこ充実しているが、家賃補助制度・独身寮・社宅いずれも大手メーカーと同水準で特筆すべきものはない。業績・財務は非常に安定しているため、倒産リスクとは無縁の安定性が魅力ではあるが、超高給ホワイト企業という世間のイメージはやや過大評価な点には注意したい。

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