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建設会社

大気社の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

大気社は、ビル・工場向け空調工事および自動車メーカー向け塗装設備を主力とする建設会社。1913年にドイツ系商社・レイボルド商館が空調会社として改組して発足。戦前からビル・工場向け空調工事で事業拡大を果たし、大手紡績メーカー向け工場空調において独占的地位を築いた。戦後には自動車メーカー向け塗装ブースでも高シェアを確立、1970年代にはアメリカ・中東・タイなどに海外展開して日本を代表する空調会社へと躍進。現在では海外売上高比率が37.5%と建築業界トップクラスの水準。自動車メーカー向け塗装ブースでは世界シェア2位。

POINT

・ビル・工場向け空調工事のサブコン大手、自動車工場向け塗装設備で世界大手
・売上高・利益いずれも安定的、利益率はそこそこだが財務健全
・平均年収1,000万円を超える年も多々、福利厚生も良い

業績動向

✔売上高と営業利益

大気社の売上高は、2,000億~2,300億円ほどの水準で長期的に安定*1。営業利益も80億~150億円ほどで横ばいが続いている。
*1:当社は建設会社ゆえに受注工事高・完成工事高の2指標がある。受注は景気動向・顧客動向などに応じて年度ごとの変動が激しいが、完成工事高(≒売上高)はある程度は安定している背景がある。

✔セグメント別の状況

大気社は環境システム事業(ビル空調設備・産業空調設備の設計・管理・施工、アフターサービスなど)、塗装システム事業(自動車メーカー向け塗装設備の設計・管理・施工、アフターサービスなど)、の2事業を有する。
当社はビル・産業空調と塗装設備が主力事業であるが、売上高・利益いずれもビル・産業空調を主力とする環境システム事業がほとんどを占める。直近の2022年には塗装システム事業は赤字転落しており、環境システム事業が全社利益を支えている。

✔最終利益と利益率

大気社の純利益は長期的に70億〜90億円ほどで安定的。営業利益率も長期的に4%〜6%ほどで推移しており、大手ゼネコンよりもやや低めの利益率である。

✔自己資本比率と純資産

大気社の自己資本比率は長期的に50%前後の高水準で安定しており、財務体質は健全。純資産は安定した利益をベースに堅調な増加傾向にあり、2022年に純資産1,320億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

大気社の平均年収は年度によりまちまちだが、長期的に890万∼1,090万円ほどの水準で推移している*2。総合職の場合、30歳で850万〜950万円、課長職レベルで年収1,250万~1,550万円ほどが目安。
*2:当社はいわゆるサブコンに該当するが、給与水準は相当に高い。この要因は、①大手デベロッパー・大手メーカーから好採算案件の受注を勝ち取っている点、②残業・出張に伴う手当が厚い点、など。

✔従業員数と勤続年数

大気社の単体従業員数は2020年頃から微増傾向にあり、直近では1,611名の組織体制。平均勤続年数は採用強化により微減傾向にあるが、2018年までは平均勤続年数18年と建築業界トップクラスの定着率であった。

総合評価

企業格付け:A

■業績動向
安定的。売上高・利益いずれも長期的に安定しており、景気動向にも業績を左右されにくい。2023年は工事進捗が順調であることに加えて高採算案件を複数こなし、過去最高となる売上高2,945億円・純利益133億円を見込む。手持ち受注高も堅調に推移しており、当面は業績好調で推移しそう。

■財務体質
安定的。手元の現預金は直近で450億〜500億円と潤沢、そのうえ有利子負債は30億円ほどに留まり、負債に依存しない事業運営を確立。自己資本比率も50%以上の水準で推移しており、大手ゼネコンを凌駕する財務健全性を誇る。

■ビジネス動向
今後の方針として「業容拡大よりも収益拡大・生産性向上」「コア事業の更なる進化」「新規事業の開拓」を掲げる。昨今のカーボンニュートラルへの社会的関心の増大を受けて、空調設備省エネ化やCO2排出が少ない塗装技術の確立を模索。新規事業としては植物性代替肉やCO2直接開発技術などを選定。

就職格付け:AA

■給与水準
建築業界トップクラス。平均年収は長期的に890万∼1,090万円で推移しており、高位安定。流石にスーパーゼネコンにはやや及ばないが、サブコンとしては最上位の給与水準である。2024年には更なる賃上げを予定しており、定期昇給と合わせた年収ベースの引上率は約8.3%を見込む。

■福利厚生
良い。東京・名古屋に若手社員向けの独身寮があり家賃は水道光熱費込みで1.6万円。東京・名古屋以外の配属時には借上げ社宅制度で1万円強で入居できる。平均年収が高いうえ住宅コストが格安で済むため、実質的な生活水準は見かけの年収以上である。中堅社員になると独身寮・借上げ社宅はなくなるが、家賃補助が月額3万円まで支給される。

■キャリア
営業・施工管理・研究開発・事務が主要職種。入社後は30歳前後で節目となる昇格試験があり、昇格すればリーダー職となる。が、管理職ポストはそれほど多くはない為、一般社員のまま定年まで過ごすケースもある。現社長は環境システム事業部の出身。

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