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北陸電力の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

北陸電力は、北陸地方全域において発電事業・電気小売事業を展開する地方電力会社。1899年に地元名士が共同出資して設立した富山電燈を源流とし、1951年に北陸電力として再編。富山県にルーツを持つ企業であるが故に、現在も富山県富山市に本社を置く。北陸地方の水資源を活かした水力発電に強みを持ち、電源構成に占める水力発電の割合は約26%と高い。1993年には志賀原子力発電所を開業したが、1999年には臨界事故が発生。東日本大震災以降は原子力発電所は長期点検状態にあり、稼働していない。

POINT

1.北陸エリア全域への電力供給を担う地方電力会社、富山本社
2.売上高は過去最高を記録するも利益率は低迷、財務体質も悪化傾向
3.平均年収718万円と北陸地方では最高峰の待遇、福利厚生もそこそこ充実

業績動向

✔売上高と営業利益

北陸電力の売上高は2021年まで5,000~6,000億円レベルで安定していたが、2022年には売上高8,176億円に急増して過去最高を更新*1。営業利益は2016年から低空飛行が続いており、2022年には営業赤字738億円を計上*2。
*1:2022年にはロシアによるウクライナ侵攻で燃料油価格が急騰。燃料価格の上下変動を電気料金に転嫁する燃料費調整額が急増したことで売上高が急増した経緯。
*2:最近の北陸電力は利益率が低迷気味。主要因は、①石炭価格高騰による発電コスト増加、②気象原因による水力発電量の減少、③電力小売全面自由化による競争激化、など。

✔セグメント別の状況

北陸電力は発電・販売事業(国内における発電・小売り電気事業など)、送配電事業(北陸エリア全域における一般送配電)、その他事業(建設・不動産・農業・情報通信など)の3事業を有する。
北陸電力は売上高の約80%を発電・販売事業で稼ぐが、直近では資源価格高騰による発電コストの急増で同事業は赤字運営の状態。そのため、送配電事業とその他事業によって利益確保することで発電・販売事業の逆鞘状態を緩和して凌いでいる。

✔最終利益と利益率

北陸電力の純利益は年度により好不調が分かれるが、2022年には純損失884億円を計上しており業績低迷*3。営業利益率も低空飛行が続いており、2022年は営業利益率が-9.03%と非常に厳しい状態。
*3:2022年に純損失が急増したのは石炭価格の高騰による打撃が大きい。北陸電力は電源構成の約40%を石炭発電に依存する為、石炭価格が高騰すると発電コスト悪化に苦しむ。2024年には低品位石炭も活用してコスト抑制に繋げようと計画している。

✔自己資本比率と純資産

北陸電力の自己資本比率は長年に渡って20%前後での推移が続いていたが、2022年には自己資本比率12.9%まで急落。大手企業としては低い自己資本比率であり、大手電力会社としても自己資本比率が低い状態*4。
*4:経済産業省の有識者審議会は一般電気事業の適切な自己資本比率を30%と掲げるが、北陸電力の自己資本比率はこれを大幅に下回っている状況。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

北陸電力の平均年収は700万円前後での推移が続いており、直近の2022年には平均年収718万円に到達。北陸エリアの企業としてはトップクラスの平均年収。平均年齢は緩やかな増加傾向、直近の2022年には43.1歳に到達。

✔従業員数と勤続年数

北陸電力のの従業員数は2020年の分社化によって急減少。5,325人(2019年)から2,761人(2021年)まで減少した*5。平均勤続年数は20年前後の高水準で安定推移している。
*5:送配電インフラの透明化を目的とした政府方針に従い、送配電事業を北陸電力送配電として分社化(参考:資源エネルギー庁)。

総合評価

企業格付け:BBB

明治時代に富山で創業して以来、120年以上の長きに渡って北陸エリアへの電気供給を担い続けてきた北陸屈指の名門企業。業績は東日本大震災以降は冴えず、過去最高となる純利益251億円(2005年)から大幅に沈んだ状態が続いている状況。諸悪の根源は原子力発電へのシフトに失敗した点に尽きる。1993年に志賀原子力発電所を稼働させ、2000年代初頭には火力発電所を続々と廃止。脱火力発電を実現しようと志すも、2011年の福島第一原子力発電所事故により事業環境が一変。過去10年以上に渡って志賀原子力発電所の長期停止が続いているが故に高額な維持コストだけが流出する状況。財務体質も自己資本比率12.9%に沈んでいる。とはいえ希望の兆しも見えつつあり、経済産業省が2023年6月からの電気料金値上げを認可したことで北陸電力の利益体質の改善が期待されつつある。

就職格付け:BBB

大手電力会社としては売上高1兆円未満と下位級であるものの、北陸エリアにおいては地元屈指の名門企業であり憧れの存在。北陸財界を100年以上に渡って牽引してきた地元経済の最重要企業の一角でもある。給与水準は平均年収700万円前後と大手電力会社には及ばないものの、北陸エリアでは最高峰の平均年収。平均年収こそ大手電力会社には及ばなくとも、北陸エリアは土地・物価が安価であるため相対的な社員の生活水準は寧ろ大手電力会社以上かもしれない。福利厚生も充実。電力会社の例に漏れず、寮・社宅は完備されているため住宅コストをしっかり押さえられる。平均勤続年数は20年オーバーであり社員の定着も極めて良好。北陸地方においては地元から絶大な信頼を寄せられる企業であり、北陸地方の出身者であれば両親・親族から心からの祝福を得られるだろう。

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