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製薬メーカー

アステラス製薬の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

アステラス製薬は、がん治療剤・白血病治療剤・貧血治療剤・免疫抑制剤などを主力とする大手製薬メーカー。2005年に藤沢薬品工業と山之内製薬が合併して誕生。日系製薬メーカーとしては国内3位の売上高を誇り、グローバル市場でも上位20社に数えられる大手。泌尿器疾患と移植領域では世界市場においても優位性を確立しており、世界約70ヵ国以上で事業展開している。最主力製品は前立腺がん治療薬「イクスタンジ」であり、単一製品で6,000億円以上を売り上げる。

POINT

1.日系製薬メーカーにおける最大手の一角、泌尿器疾患・移植領域に強い
2.売上高・利益は安定的だが特定医薬品に業績を依存、新薬開発計画は混乱ぎみ
3.平均年収1,064万円、福利厚生も極めて充実しており住宅補助が手厚い

業績動向

✔売上高と営業利益

アステラス製薬の売上高は2021年まで1.3兆円レベルで安定していたが、2022年には売上高1.5兆円まで増加*1。営業利益は2019年から失速して営業利益1,300億前後での低空飛行が続いている*2。
*1:2022年は為替レートの円安推移が売上高の追い風となり、為替効果で1,644億円の増加効果に。
*2:2019年以降のアステラス製薬は新薬の開発計画の中止・変更による減損損失が続いており営業利益が低迷。既存薬の販売は絶好調であるものの、新薬開発に苦戦が続く。

✔セグメント別の状況

アステラス製薬はイクスタンジ(前立腺がん治療薬)、プログラフ(免疫抑制剤)、ベタニス(過活動膀胱治療剤)、ゾスパタ(FLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病治療剤)、パドセブ(局所進行性または転移性尿路上皮がん治療剤)、ベシケア(過活動膀胱治療剤)、その他の7事業を有する。
アステラス製薬は売上高の約43%を前立腺がん治療薬「イクスタンジ」に依存、そのため2027年に同薬の特許切れが迫ることが切実な課題。製薬業界では従来の治療方法を覆す革命的薬品を生みだす薬品を”ブロックバスター”と呼ぶが、同薬はその典型。

✔最終利益と利益率

アステラス製薬の純利益は安定的に確保されているが、2019年頃から1,000億円前後の水準へダウン*3。営業利益率は好調時には15%を優に超えるが、2020年以降はやや低空飛行気味。
*3:2019年以降の純利益の停滞は上述した新薬の開発計画の中止・変更による減損損失が原因。

✔自己資本比率と純資産

アステラス製薬の自己資本比率は2016年の70.1%をピークに減少気味だが、それでも自己資本比率60%を優に上回る高位推移が続いている。純資産は2019年から微増傾向に転換、直近の2022年には1.51兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

アステラス製薬の平均年収は1,000万円を優に上回る推移が長年に渡って定着している。平均年齢は2018年の43.5歳をピークに若返り傾向へ転換。

✔従業員数と勤続年数

アステラス製薬の従業員数は長年に渡って微減傾向が続いており、直近の2022年には3,943人まで減少。平均勤続年数は2018年をピークに減少傾向だが、従業員の若返りが同時に進んでいる為、特段の問題はない減少であろう。

総合評価

企業格付け:AA

日系製薬メーカーでは武田薬品工業・大塚製薬に続く業界3位の地位を確立、2014年には武田薬品工業を時価総額で追い抜いて日系製薬メーカー首位に立ったことも。業績は売上高・利益いずれも安定的。2019年以降は新薬の開発計画の乱れによって利益は振るわないが、最主力製品の前立腺がん治療薬「イクスタンジ」の販売は依然好調。財務体質も自己資本比率60%以上と高水準をしっかりと維持し続けており、保守的。最大の課題は売上高の約40%を稼ぎだす前立腺がん治療薬「イクスタンジ」の特許切れが2027年に迫る点。本来であれば次の売上高の柱となる新薬の開発を進めたい所だが、開発計画の中止・変更が相次いでおり暗雲が立ち込める。過去10年は業績好調が続いてきたが、次の屋台骨となる新薬の開発に成功するかが次の10年の明暗を分けるだろう。

就職格付け:AA

売上高の約80%以上を海外で稼ぐグローバル製薬メーカーであり、泌尿器疾患と移植領域においては世界的存在。給与水準は平均年収1,000万円を優に超える水準が長年に渡って定着、30代で年収1,000万円にしっかり到達する。日系製薬メーカーの例に漏れず年収に占める賞与比率が高い為に、業績悪化時には給与を削る余地が残されている点には注意。福利厚生は極めて充実しており、若い社員は借上げ社宅制度により家賃負担はほぼなし。結婚後にも借上げ社宅・家賃補助が続くため、額面年収の100万円以上は生活にゆとりがもてる。主力拠点は茨城県・静岡県・富山県に集中しているため、生活コストの安い地方に根を下ろして過ごすことができる。高給企業かつ地方勤務のため、地方生活にさえ慣れてしまえば人生の満足度は相当に高いだろう。地方とは言いつつも富山を除けば、東京へのアクセスがそこまで悪くないのも長所。

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