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自動車部品メーカー

住友ゴム工業の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

住友ゴム工業は、自動車用タイヤ・建機用タイヤ・スポーツ用品・産業ゴムなどを展開とする自動車部品メーカー。1909年に英・ダンロップ日本工場として設立。設立から50年以上に渡って外資企業であったが、1960年代に住友商事住友電気工業が資本参加したことで現社名の住友ゴム工業へと改名。現在ではダンロップ・ファルケンの2ブランドで世界展開しており、自動車用タイヤにおいて世界シェア5位を確立。2015年に米グッドイヤーと提携解消したことで”ダンロップ”ブランドの商標使用権に制約。

POINT

1.住友Gの大手タイヤメーカー、2ブランド体制で世界シェア5位を確立
2.売上高は横ばいだが利益の減少が止まらない、財務体質は良好
3.総合職は30代で年収620万~700万円、福利厚生はタイヤ業界首位で社員思い

業績動向

✔売上高と営業利益

住友ゴム工業の売上高は長期的に7,500憶~8,900億円レベルで推移してきたが、2022年には売上高1兆円を突破して過去最高を更新。営業利益は2015年頃から右肩下がりの減少が続いており、減益トレンドから抜け出せない状況*1。
*1:住友ゴム工業の利益が2015年から減少し続けているのは、同年に米・グッドイヤーとのアライアンス関係を解消したことが主要因。欧米市場において認知度が高い”ダンロップ”ブランドを一部を除いて使用できなくなり、収益性が大きく悪化した。

✔セグメント別の状況

住友ゴム工業は、タイヤ事業(自動車用タイヤ・産業車両用タイヤ・建機用タイヤ・バンク修理材など)、スポーツ事業(ゴルフクラブ・ゴルフボール・テニス用品・フィットネスなど)、産業品他事業(制振ダンパー・ゴム手袋・防舷材・床材など)、の3事業を有する。
大手タイヤメーカーでありながら、スポーツ事業にも熱心に取り組んでいる点が特徴的。最近ではタイヤ事業の利益率が悪化している為、全社利益の約40%をスポーツ事業が稼ぐ構造。スポーツ用品によってブランドイメージ・認知度を高め、タイヤ販売に繋げている。

✔最終利益と利益率

住友ゴム工業の純利益は2015年頃から右肩下がりで推移しており、2019年以降は90億~290億円ほど。全盛期の2014年には営業利益862億円を稼いでいたが、見る影もない状況。営業利益率も右肩下がりで低迷しており、直近では営業利益率1%台まで低下。

✔自己資本比率と純資産

住友ゴム工業の自己資本比率は長期的に44%~47%前後の水準で推移しており、健全な財務体質を有している。純資産は長年に渡って4,000億円レベルで推移していたが、2021年以降はやや増加傾向。直近では5,639億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

住友ゴム工業の平均年収は640万~670万円レベルで極めて安定的に推移している。ただし、この平均年収は現業職正社員の年収も母数に含んでいる。総合職であれば30代中盤で620~700万に到達、課長職レベルで年収890万~1,050万円レベル。

✔従業員数と勤続年数

住友ゴム工業の単体従業員数は2018年頃から増加傾向にあり、直近では7,700人規模の組織体制。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は4万人ほど。平均勤続年数は直近で14.9年と大手メーカーの標準的な水準。

総合評価

企業格付け:CC

日系タイヤメーカーとしてはブリヂストンに続く業界2位の規模を誇る大手タイヤメーカー。…だが、最近では業界3位の横浜タイヤが利益において凌駕しており、売上高においても猛追される苦しい状況。業績は2015年頃から悪化トレンドが続いており、とりわけ利益率の低下が止まらない状況。すべての元凶は2015年に米・グッドイヤーとアライアンス契約を解消した点にあり、この解消時に住友ゴム工業は欧米市場における”ダンロップ”ブランドの使用権の殆どを喪失した。同年以降、欧州市場には”ファルケン”ブランドで攻勢をかけているが、欧米市場において認知度が高かった”ダンロップ”が使えなくなった痛手を埋めるには心細い限り。”ファルケン”の認知度向上に向けたマーケティングにも費用が必要であり、利益率も低迷せざるを得ない。他方で、欧米市場以外では引き続き”ダンロップ”ブランドが使用できるため、日本・アジア市場では”ダンロップ”へのテコ入れも必要。2018年にはダンロップスポーツを完全子会社化、”ダンロップ”スポーツ用品事業を通してブランドイメージを底上げする取り組みを開始。…要するに、世界各地で2ブランドを別々に用いるが故の非効率性が大いなる災厄となっており、歴史的経緯から発生したブランド戦略の迷走が業績の下押し圧力となっている苦しい状況なのである。

就職格付け:CCC

兵庫県神戸市に本社を置く大手タイヤメーカー、同業のTOYO TIREと同じく兵庫県地盤の企業である。住友電気工業が発行済み株式数の約28%を保有する筆頭株主であり、同社の関連会社という立ち位置でもある。給与水準は大手タイヤメーカー並みの水準であるが、総合職の給与水準はやや高め。総合職であれば30代中盤で620~700万に到達するため、関西圏の最大手メーカーに続くレベルの給与を得られるポテンシャルがある。福利厚生もかなり充実しており、家賃補助制度では最大6万円/月が支給される。業界首位のブリヂストンの家賃補助制度が最大2万円/月であることを思うと、大盤振る舞いの感すらある。そのうえ扶養者には配偶者手当1.8万円/月・子ども手当6,000円/月も支給される。2023年には独身寮を廃止したが、なんと代替策として借上げ社宅制度を大幅拡充。余計な人間関係をカットした上で好きな住居を選べるので改善といって良いだろう。総じて社員思いの会社であるが、唯一の欠点は事業所・工場が日本全国に立地している点。北は北海道・南は宮崎県にまで拠点が散在しているため、転勤リスクだけは覚悟しておく必要があるだろう。

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