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三菱鉛筆の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

三菱鉛筆は、ボールペン・サインペン・シャープペン・鉛筆などを展開する文房具メーカー。1887年に眞崎仁六が鉛筆製造所として創業。1903年には量産型鉛筆3種類が逓信省御用品として採用されたことを機に、現社名の三菱鉛筆へと社名変更。そのため、過去・現在まで三菱グループとは一切の資本関係がないものの「三菱」ブランドを使用している(当社の方が「三菱」を名乗ったのは先)。世界100ヶ国以上に製品を輸出しており、海外売上高比率は45%にも達する。

POINT

・三菱グループではない独立系の文房具メーカー、売上高の約半分がボールペン
・売上高・利益いずれも安定的で高利益率、財務体質も大いに健全
・平均年収761万円で業界トップクラス、同族経営が70年以上に渡って継続

業績動向

✔売上高と営業利益

三菱鉛筆の売上高は600億円〜670億円ほどで推移している。2020年のみ552億円まで低下したが、2022年には690億円まで増加*1。営業利益は2017年には118億円に達したが、同年以降は100億円を割り込んでいる。
*1:2022年の業績好調は、①国内外におけるサインペン・ジェットストリーム製品群の販売好調、②為替レートの円安推移による為替効果、が主要因。

✔セグメント別の状況

三菱鉛筆は、筆記具事業(鉛筆・ボールペン・シャープペン・印章・事務用品・化粧品など)、その他事業(粘着テープ・手工芸品など)、の2事業を有する。
社名に「鉛筆」を冠するものの、売上高においてはボールペン・サインペンが2大柱。最主力は油性ボールペン「ジェットストリーム」であり、年間1億本以上を販売。サインペンの「ポスカ」や「プロッキー」も高いブランド力がある。完全子会社のユニコスモを通じて化粧品製造も手掛ける。

✔最終利益と利益率

三菱鉛筆の純利益は40億〜70億円ほどで概ね安定的。2017年には純利益83億円まで増加したが、同年以降はやや下落して推移。営業利益率は2020年を除けば10%以上で推移しており、文房具メーカーとしてはトップレベルの利益率。

✔自己資本比率と純資産

三菱鉛筆の自己資本比率は長期的に70%以上で推移し続けており、負債に依存しない事業運営を志向している。純資産は長期的に増加傾向にあり、直近では1,050億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三菱鉛筆の平均年収は長期的に720万〜770万円前後で推移しており、文具メーカーとしてはトップクラスの給与水準。総合職の場合、30歳で550万〜650万円ほど、課長職レベルで950万〜1,100万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

三菱鉛筆の単体従業員数は500人前後で推移。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2,700人ほど。平均勤続年数は直近で18.2年とかなり長く、従業員の定着は良好。

総合評価

企業格付け:B

■業績動向
安定的。売上高・利益いずれも一定レンジで推移しており、景気動向に業績が左右され難い。利益額だけでみれば2017年の純利益83億円からはピークアウトした推移が続いているが、直近では純利益69億円まで回復。営業利益率10%以上を長年に渡って維持しており、低利益率なイメージが強い文房具メーカーにあって高利益率を叩き出している。

■財務体質
極めて健全。自己資本比率70%以上を長年に渡って維持しており、有利子負債に依存しない経営。有利子負債は40億円に過ぎず、そのうえ手元の現預金は480億円にも達する。負債額を大きく上回る手元資金を確保していることから、実質無借金経営とされる。

■ビジネス動向
長期ビジョン「ありたい姿2036」を策定。目標値として2036年に売上高1,500億円と野心的な目標を掲げており、向こう10年強で売上高2倍以上を目指す。国内売上高は現状維持とし、海外売上高を倍増させる想定。グローバル市場におけるプレゼンス向上に向けて、世界的ブランドへの躍進を見据えた戦略的マーケティングにも本腰。

就職格付け:CCC

■給与水準
平均年収761万円と業界上位級。文房具メーカーとしてトップクラスの利益率ゆえ、従業員の給与水準も高い。年功序列色が強いため抜擢人事による年収アップは望み薄だが、勤続年数を重ねれば相当の待遇を得られるのは強み。課長職レベルなら年収1,000万円に到達できる。

■福利厚生
良好。若手社員かつ通勤距離が2時間を上回る社員なら借り上げ社宅が与えられる。非若手社員・実家が近い社員への家賃補助は手薄だが、もともとの給与水準が高めであるため文句は言えない。年次有給休暇とは別に毎年3日のリフレッシュ休暇が付与され、旅行や休息に充てることができる。

■キャリア
企画開発職・研究開発職・デザイン職の3職種制。企画開発職の場合には営業部署にまずは経験を積んだ後、経営企画・商品企画・生産管理などへ異動する。研究開発職の場合には研究センターか生産技術に配属されて、各分野のプロフェッショナルを目指す。年功序列色が強いため、きっちり仕事をこなせるタイプならば管理職へ昇進できる可能性が高い。

■70年以上の同族経営
現会長・社長は親子関係。創業社長である眞崎家から近藤家が社長を継いだが、1945年からは約70年に渡って数原家が4代に渡って会長・社長職を世襲。企業オーナーでも大株主でもない一族による世襲制は珍しい。サラリーマン入社からの叩き上げて社長に就任できる可能性は薄い。

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