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物流会社

三菱倉庫の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

三菱倉庫は、三菱グループに属する倉庫業・物流業・不動産業を主力とする大手物流会社。1887年に三菱為替店の倉庫業務を継承して創業、1918年に現社名の三菱倉庫へ社名変更。顧客から預かった物品を必要な時に必要なだけ供給する倉庫業を中心としつつ、物流ルート策定・税関申請・貨物輸送などロジスティクス全般に事業展開。三菱グループでも最古参の企業という歴史的経緯から優良不動産を多数保有、横浜ベイクォーターや日本橋ダイヤビルディングなど延べ50棟以上を保有。

POINT

1.三菱G最古の企業の1社に数えられる物流企業、倉庫業界で首位級の一角
2.売上高・利益は安定的かつ直近はCOVID-19影響で絶好調、財務も堅い
3.平均年収793万円と物流業では最上位級、入社難易度は高い

業績動向

✔売上高と営業利益

三菱倉庫の売上高は2020年まで2000億円レベルで安定していたが、2022年には売上高3,006億円まで増加*1。営業利益は2021年から増加傾向にあり、直近の2022年は営業利益230億円に到達。
*1:2021年以降の三菱倉庫は世界的なサプライチェーン混乱による恩恵を享受。物流の混乱を受けて製品貯蔵の需要が急増、海上運賃・航空運賃の高騰による増収増益効果も。歴史的に得意とする医薬品輸送にCOVID-19ワクチン輸送の特需も。

✔セグメント別の状況

三菱倉庫は物流事業(倉庫保管・荷役・陸上運送・港湾荷役・国際運送など)、不動産事業(ダイヤビルディング・横浜ベイクォーター・神戸ハーバーランドumieモザイクなど)、の2事業を有する。
三菱倉庫は売上高の約90%を物流業で稼ぐが、利益では不動産事業が約43%を支えている。三菱倉庫がかつて倉庫を構えていた不動産を活用、オフィスビル・商業施設などを多数展開している。都市部の優良不動産から得られる安定収益が業績をしっかりと下支えしている。

✔最終利益と利益率

三菱倉庫の純利益は安定的に確保されているが、2020年に急増して純利益392億円に到達*2。同年以降も増加基調が続いている。営業利益率は5~7%と大手企業としては標準的な水準だが、物流業としてはそこそこ高めの水準かつ安定性が高い。*2:2020年の純利益には名古屋駅周辺に保有していた不動産をリニア中央新幹線の新駅開発用地としてJR東海に売却した特別利益366億円が計上されており一過性の要素が強い(参考リンク)。

✔自己資本比率と純資産

三菱倉庫の自己資本比率60%を優に上回る高位推移が続いており、財務の健全性はかなり高め。純資産は緩やかな増加傾向が長期的に継続、2022年には純資産3,544億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三菱倉庫の平均年収800万円弱の水準が長年に渡って継続。物流業・倉庫業としてはかなり高めの水準。平均年齢は40歳前後の水準で安定的であり、大手企業としては標準的な水準。

✔従業員数と勤続年数

三菱倉庫の従業員数は緩やかな増加傾向が続いており、直近の2022年には1,014人に到達。平均勤続年数は2014年をピークに減少傾向が続いており、直近の2022年には15.7年に低落。

総合評価

企業格付け:BBB

三井倉庫・住友倉庫と共に倉庫業界のリーディングカンパニーとして知られる。三菱グループ最古参の企業の一角であり、本社があった江戸橋倉庫ビルは1930年代の建築物として東京都歴史的建造物として指定されている。業績は売上高・利益いずれも安定的だが、これは歴史的経緯から保有する多数の優良不動産による業績貢献に支えられている。財務体質も自己資本比率60%以上で極めて健全。強いて言えば、売上高2,000億円&従業員数1,000人規模と企業規模は中堅メーカーにも及ばない小規模である点には注意。業界トップ3社に数えられる名門企業とはいえ、倉庫業界の市場規模自体がせいぜい3兆円規模に過ぎないのである。直近の業績はCOVID-19影響で絶好調だが、世界的なサプライチェーン混乱が終息した後の業績がどうなるかは要警戒。

就職格付け:BBB

財閥系倉庫という立ち位置からニッチながらも底堅い人気を誇る企業。低年収・長時間労働の企業が多いことで知られる物流業界において数少ない安定&ホワイト企業であり、物流・ロジスティクスに関心がある求職者からは憧れの存在。そのうえ不動産部門も強いため、不動産デベロッパー志望者からも選択肢になりうる。給与水準は平均年収800万円前後と大手メーカー同格。福利厚生は家賃補助制度・独身寮など大手企業なりの制度が整備されている。独身寮はかなり手厚く、ほぼ無償で居住できるうえに光熱費も会社負担。ただし、会社規模が従業員1,000人規模と小さいため、入社はかなり狭き門。新卒採用でも年間20名程度と非常に限られるため、入社難易度は相当に高いと覚悟は必要。

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