カテゴリー
素材メーカー

三井金属鉱業の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

三井金属鉱業は、金属精錬・素材・自動車部品を主力とする三井グループの素材メーカー。1874年に神岡鉱山の経営権を獲得した三井組が創業、戦前から亜鉛・鉛・石炭などを生産。戦後には自動車部品・電池材料・銅箔・伸銅など事業多角化を進めたことで、資源・素材メーカーとして躍進。が、公害・イタイイタイ病を発生させ訴訟問題へと発展(2013年に最終解決)。現在では、半導体パッケージ基板向け極薄銅箔で世界シェア90%以上を掌握する他、酸化セリウム系研磨材・酸化インジウムスズなどでも世界シェア首位。

POINT

・三井Gの資源・素材メーカー、機能材料・金属・自動車部品へ経営資源を集中
・売上高は横ばいで利益は不安定、財務体質は改善傾向
・平均年収778万円で業績にも左右されにくい、福利厚生も良好

業績動向

✔売上高と営業利益

三井金属鉱業の売上高は2020年まで4,300億~5,300億円で推移していたが、2021年以降は急増。2022年には売上高6,519億円に到達。営業利益は年度により好不調が明確に分かれるが、2021年には過去最高となる607億円に達している*1。
*1:2020年に利益急増した要因は、①世界的な資源価格高騰によって銅・ニッケル価格が上昇したこと、②資源価格高騰により在庫品の利鞘が拡大したこと、③為替レートの円安推移による為替効果、など。

✔セグメント別の状況

三井金属鉱業は、機能材料事業(銅箔・電池材料・金属粉・セラミックス製品)、金属事業(亜鉛・鉛・銅・金・銀)、モビリティ事業(排ガス浄化触媒・自動車用ドアロック・ダイカスト製品など)、その他事業(伸銅品・パーライト製品・プラントエンジニアリングなど)、の4事業を有する。
1950年代から事業多角化を進めてきたことで、現在では機能材料事業・金属事業・モビリティ事業をコアとするバランス型の事業展開が実現。資源価格に業績を左右されやすい金属事業に依存しすぎないことで、極端な業績変動を回避している。

✔最終利益と利益率

三井金属鉱業の純利益は年度により好不調が明確に分かれる。2016年・2020年・2021年には純利益が急増したが、直近の2022年は純利益85億円まで急減*2。営業利益率も2%~9%で安定しない推移。
*2:2022年に純利益が急減した理由は、①亜鉛・鉛の価格下落や金・銀の販売量減少に直面した点。②機能材料事業において中国の景気悪化に直面した点、③電気自動車の需要鈍化によってリチウムイオン電池用マンガン酸リチウムの販売減少が起こった点、に起因。

✔自己資本比率と純資産

三井金属鉱業の自己資本比率は長期的に30%前後で推移しているが、2020年以降は増加傾向に転換。直近の2022年には自己資本比率40%を突破。純資産は1,700億円前後の推移が続いていたが、2020年からは増加傾向にある。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三井金属鉱業の平均年収は長期的に710万~780万円ほどで安定的。業績は上下変動が激しいものの、従業員の給与水準にはほぼ影響がない。総合職の場合、30歳で年収650万~700万円、課長職レベルで年収1,000万~1,100万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

三井金属鉱業の単体従業員数は右肩上がりでの増加傾向が続いており、直近の2022年には2,252人に到達。平均勤続年数は下落傾向が続いているが、採用強化によって社員数を急増させている影響による下落であるため問題はない。

総合評価

企業格付け:CC

■業績動向
良くも悪くも資源価格に業績を左右されやすく安定しない。2020年から資源高を追い風に急激な増加を遂げたが、2022年には早々に失速。売上高・利益いずれも過去20年以上に渡って同じレンジで推移し続けており、成長性は希薄。時価総額は2006年には4,719億円にも達したが、直近では2,400億円強に留まる。

■財務体質
改善傾向。2008年に巨額損失を計上した際に自己資本比率23%まで低下したが、長期的に財務体質を徐々に改善。2020年以降の利益急増によって自己資本比率40%まで向上を果たした。資源価格に業績を左右されやすい事業特性であるため、現状の財務体質を維持することが望ましいか。

■ビジネス動向
2000年代から業績負担となっていたチリの銅鉱山事業から完全撤退。カセロネス鉱山の権益をJX金属へ譲渡、コジャワシ銅鉱山の権益を三井物産へと譲渡。操業不安定・生産効率低下によって業績の重荷となっていた銅鉱山事業から撤退して、機能材料・金属・自動車部品への集中を高める。素材メーカーへの集中を決意したと評価できよう。

就職格付け:B

■給与水準
安定的。業績は安定しないが従業員の給与水準は守る傾向があり、平均年収700万円以上で安定。大卒総合職であれば30代で年収700万円に到達する他、課長職レベルに昇進すれば年収1,000万円は超える。本社総合職採用は給与・昇進が恵まれており、将来の幹部候補として早期育成される。

■福利厚生
良好。地方事業所には独身寮が整備されており1万円/月で入寮できる他、家賃補助制度では家賃額の最大80%(上限4万円/月)が補助される。女性向けの福利厚生には特に力を入れており、①出産・育児・配偶者転勤による退職なら5年以内に復職できる制度、②配偶者転勤を理由に最大3年間休職できる制度、などが整備されている。

■キャリア
入社後は事業部・職種別にキャリアが分かれる。技術系であれば探鉱系・開発系・生産系に配属され、事務系は経理・総務・人事などに配属。2022年には成果・実力主義と脱年功序列を掲げて新人事制度を導入、優秀であれば30代で課長級に昇進できる。主力事業所が埼玉県・福岡県に立地する他、岡山県・広島県などにも拠点が分散しているため、転勤リスクはそれなりに高い。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!