カテゴリー
日用品メーカー

レナウンの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

レナウンは、衣料品ブランド「ダーバン」「アクアスキュータム」「アーノルドパーマー」などを展開していたアパレル会社。1907年に佐々木八十八が衣料品販売会社として創業。1922年には「レナウン」を商標登録。戦後にはテレビCMの活用で全国的知名度を獲得。レディース・ファミリー向け衣料品で急成長を遂げ、1990年代には世界最大の売上高を誇る衣料品メーカーへと躍進。が、2000年代にはファストファッションの躍進により業績悪化。2010年には中国系繊維会社・山東如意の出資により同社へ傘下入り。その後も業績回復は果たせず、2019年のCOVID-19感染拡大で資金繰りが行き詰まり、経営破綻。

POINT

・かつてアパレル業界で世界1位に君臨、2020年に経営破綻
・売上高は減少傾向で赤字体質、財務体質は悪くなかったが現金枯渇
・破綻直前まで従業員の雇用・給与を守り、従業員の定着も良かった

業績動向

✔売上高と営業利益

レナウンの売上高は1990年の2,317億円をピークに長期的な減少傾向が継続*1、2019年には売上高503億円まで低落*2。営業利益は2017年までは損益ギリギリを彷徨っていたが、2018年以降は赤字幅が拡大。
*1:売上高の減少が続いた理由は、①ユニクロなどのファストファッションにファミリー顧客を奪われた点、②メイン販路であった百貨店業界の衰退、③1980年代から1990年代に大ヒットした基幹ブランドの陳腐化、など。
*2:2019年に売上高が急減した理由は、①消費税増税による消費者意識の悪化で高級衣料品需要が冷え込んだ点、②記録的な暖冬によってコート類などの高単価な防寒着が販売不振となった点、など。

✔セグメント別の状況

レナウンは、衣服等繊維製品関連事業(衣料品ブランド「ダーバン」「アクアスキュータム」「アーノルドパーマー」などの製造販売)のみの単一事業会社である。
当社は中高価格帯ブランドを主力とする衣料品専業メーカーであり、事業多角化はまったく進めていなかった。そのうえ売上高の半分以上を百貨店業界に依存しており、COVID-19感染拡大時の百貨店全面休業が事業継続における致命的な打撃となった経緯がある。

✔最終利益と利益率

レナウンの純利益はは損益ギリギリを彷徨っていたが、2019年に急悪化して純損失▲67.4億円に拡大*3。営業利益率も長期的に0%前後で推移し続けており、利益確保が困難な状態であった。
*3:2019年に純損失が急拡大した理由は、①親会社・山東如意の関連会社からの支払いが滞ったことで貸倒引当金57億円を計上した点、②業績不振に伴う店舗・生産設備の減損損失を計上した点、など。

✔自己資本比率と純資産

レナウンの自己資本比率は2016年頃から悪化傾向にあったものの、資金繰りの行き詰まりによる経営破綻の直前でも47.4%は確保できていた*4。純資産は2017年まで250億円ほどはあったが、同年以降は純損失の拡大により減少傾向に転換。
*4:負債に依存しすぎず自己資本比率を高めに維持していたとしても、現金が枯渇して資金繰りに行き詰まると経営破綻となる。そのため、手元資金を厚めに保有することが企業存続にとっては重要である。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

レナウンの平均年収は2019年頃まで480万~550万円ほどで安定しており、業績不振に苦しみつつもアパレル同業大手並みの待遇を提供していた。総合職の場合、30歳で年収400万〜490万円、課長職では620万~700万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

レナウンの単体従業員数は540人〜560人ほどで安定しており、業績不振に苦しみつつも従業員の雇用は守っていた。平均勤続年数は20年前後の高水準で安定しており、1990年代の全盛期に入社した従業員が経営破綻の直前まで数多く残っていた。

総合評価

企業格付け:F

■業績動向
経営破綻。1990年代の成功体験が災いしてビジネスモデルからの転換が遅れ、販路・顧客基盤の陳腐化が進行。売上高の減少に歯止めを掛けられず、利益も低迷。2020年のCOVID-19感染拡大による百貨店全面休業により売上高の半分以上を喪失する致命打を受けた。

■財務体質
経営破綻。破綻直前にも自己資本比率は40%ほどは確保できており、平常時なら突然破綻するような状態ではなかった。が、COVID-19感染拡大で売上が立たなくなり、親会社・山東如意の関連会社からの支払いも停止。現金が枯渇して資金繰りに窮したことが致命傷に。

■ビジネス動向
経営破綻後、主力ブランド「ダーバン」「アクアスキュータム」は同業大手の小泉アパレルが取得。「アーノルドパーマー」は米国本社の意向で一時的に撤退となったが、2021年に別会社経由で日本再進出を果たした。肌着を手がけていたレナウンインクスは繊維メーカーのアツギが取得しており、現在でも同社名で事業を継続している。

就職格付け:F

■給与水準
事業継続していない企業であるため割愛。

■福利厚生
事業継続していない企業であるため割愛。

■キャリア
事業継続していない企業であるため割愛。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!