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レゾナックホールディングスの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

レゾナックホールディングスは、半導体材料・電子材料・石油化学品などを展開する大手化学メーカー。昭和電工が2019年に日立化成を買収、2023年に同社と経営統合して誕生。旧昭和電工は1926年に肥料メーカーとして創業。1931年に日本企業として初めて無機肥料量産化に成功して食糧供給改善に貢献。1950年代には石油化学・樹脂など事業多角化を推進、1980年代からは電子・半導体分野への進出を加速。現在では電子材料・樹脂・石油化学・自動車部品などを幅広く展開、半導体後工程材料で世界シェア1位。

POINT

・半導体・電子材料に強い化学メーカー、昭和電工と日立化成が合併して誕生
・売上高・利益いずれも不安定、財務体質も巨額買収で悪化
・平均年収788万円と化学メーカー中堅上位、福利厚生は住宅補助が手厚い

業績動向

✔売上高と営業利益

レゾナックホールディングスの売上高は2020年の日立化成との合併により急増、直近2年は1.4兆円ほどで推移。営業利益は安定しておらず、2018年に1,800億円を記録したが、同年以降は減少が続く*1。
*1:2018年の利益急増は、黒鉛電極の急激な価格高騰が主要因。同年の営業利益のうち黒鉛電極事業が約1,300億円を占める異常事態であった。あくまでも特殊要因による利益急増とみておきたい。

✔セグメント別の状況

レゾナックホールディングスは、半導体・電子材料事業(高純度ガス・エポキシ封止材・感光フィルム・SiCウエーハ・化合物半導体など)、モビリティ事業(自動車向け樹脂成型部品・リチウムイオン電池材料など)、イノベーション材料事業(機能性樹脂・コーティング材料・セラミックスなど)、ケミカル事業(石油化学品・基礎化学品・化学品など)、その他事業(蓄電デバイスシステムなど)、の4事業を有する。
レゾナックは半導体材料・電子材料メーカーとして著名だが、売上高の約40%を占めるケミカル事業も大きな存在感がある。半導体・電子材料事業は全社利益の約55%を占めており、利益貢献が大きい。モビリティ事業は赤字転落しており、工場統廃合などの構造改革を急ぐ状況。

✔最終利益と利益率

レゾナックホールディングスの純利益は年度により好不調が別れる。2017年には純利益1,115億円を記録したが、利益の安定感はなく2023年は純損失に転落見込み*2。営業利益率も乱高下しており、年度毎の市場環境に利益額を大きく左右される。
*2:2023年は最終赤字400億円以上に悪化する見込み。赤字要因は、①世界的な原材料価格高騰によるコスト増の価格転嫁の遅れ、②半導体需要の拡大が一服したことでの販売数量減少、③積極投資を進めたデータセンター向けHDDの想定外の販売不振、など。

✔自己資本比率と純資産

レゾナックホールディングスの自己資本比率は2020年に急落しており、直近は26.3%とかなりの低水準*3。純資産は2021年まで右肩上がりで増加していたが、直近の2022年には腰折れ。
*3:旧昭和電工は日立化成の買収に総額9,640億円を投入。巨額買収のために有利子負債を増やしており、買収後には1兆円以上の有利子負債を抱えるに至った。現在でも多くの負債が残っているため、自己資本比率が低迷。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

レゾナックホールディングスの平均年収は長期的に700万~780万円ほどで推移。総合職の場合、30歳で年収630万~700万円、課長職レベルで年収950万~1050万円が目安。平均年齢は直近で41.2歳と、大企業の標準的水準。

✔従業員数と勤続年数

レゾナックホールディングスの単体従業員数は微減傾向が続いており、直近では3,300人に前後で推移*4。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2.58万人ほど。平均勤続年数は直近で17.1年と大手メーカーなりの長さ。
*4:日立化成の買収後にも従業員数に大きな変動がないが、これは同社の従業員は持株会社の傘下の事業会社に属しているため。

総合評価

企業格付け:CCC

■業績動向
不安定かつ不調。売上高・利益いずれも市場環境に大きく左右されるため安定感はない。2018年には黒鉛電極バブルによって大きな利益を稼いだが、直近では半導体市場の景気悪化によって、稼ぎ頭の半導体・電子材料事業の利益率が悪化。純損失400億円以上を計上する見落としであり、業績悪化と言わざるを得ない状況。

■財務体質
厳しい。日立化成の買収で多額の有利子負債を背負ったうえ、市場環境の悪化で業績も冴えない。そもそも日立化成は旧昭和電工の約2倍もの時価総額・従業員数を抱えており、身の丈にあわない巨額買収であった。経営陣は買収シナジーによる成長ストーリーを語るが、自己資本比率20%台まで後退した現実はなかなか重いものがある。

■ビジネス動向
業績低迷を受けて、構造改革を急ぐ。具体的には、①政策保有株式・土地資産の売却、②不採算事業の構造改革、③日立化成との統合シナジー追及、など。巨額買収の名残で、有利子負債の利息額は年間100億円を優に上回っており、利払い負担も重い。資産のスリム化・売却によって効率化を急ぐ。

就職格付け:CCC

■給与水準
平均年収700万円以上で安定しており、大手化学メーカーとして標準的な水準。総合職ならば30代で年収700万円には到達でき、課長職レベルで勤続を重ねれば年収1,000万円にも届く。業績不安定だが、多少の業績悪化ならば平均年収が大きく落ち込むこともない。

■福利厚生
良好。各事業所に30歳まで入居できる独身寮・借上げ社宅が整備されており、生活コストを節約できる。家賃補助制度では40歳まで家賃額の半額が支給されるため恩恵大。が、勤務地が国内25拠点に渡るうえ、福島県から大分県まで広く散在。遠距離転勤・僻地勤務リスクは心しておく必要がある。

■キャリア
事務系・技術系の2職種体制。事業領域が多岐に渡るため各領域のプロフェッショナルになることが期待されるが、社内公募制度により職種転換も可能。30代前半の主任昇格まで横並びだが、主任以降は実力次第。かつては年功序列色が強かったが、現経営体制下では成果主義の比率を高めつつある。

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