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外食会社

モスフードサービスの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

モスフードサービスは、世界9ヵ国で「モスバーガー」「モスバーガー&カフェ」「マザーリーフ」などを展開するフランチャイズチェーン。日本にマクドナルドが進出した翌年の1972年に櫻田慧が東京都板橋区で創業。創業当時からマクドナルドとの差別化のため、高価格・高品質路線を徹底。現在では国内2位のハンバーガーチェーンとして国内1,287店舗を展開するほか、海外でも457店舗を展開。とりわけ台湾ではマクドナルドと互角級のブランド力を構築しており、大きな存在感を放っている。

POINT

・世界9ヵ国で事業展開する日本発祥のハンバーガーチェーン、台湾で大成功
・売上高は成長基調だが利益低迷が継続、財務体質は優良
・平均年収639万円と外食業界トップ級、福利厚生も業界屈指の充実ぶり

業績動向

✔売上高と営業利益

モスフードサービスの売上高は2018年に減少*1したが、同年以降は緩やかな成長基調が継続。直近の2022年には過去最高となる売上高850億円を達成*2。営業利益は2017年頃までは好調であったが、同年以降は振るわない状況。
*1:2018年の売上高の減少は長野県のモスバーガー店舗での集団食中毒事故が主要因。高品質なブランドイメージが大きく既存したことで客離れを起こした経緯がある。
*2:売上高が継続的に増加している理由は、①原材料・人件費高騰をうけた値上げ対応、②単価が高いセットメニューや夜モスの強化、③高付加価値な季節メニューの強化、などがある。

✔セグメント別の状況

モスフードサービスは、国内モスバーガー事業(日本国内におけるモスバーガー直営店運営・フランチャイジーなど)、海外事業(台湾・シンガポール・香港・タイ・中国・オーストラリア・韓国・フィリピンなど)、その他飲食事業(マザーリーフ・山と海と太陽・ミアクッチーナなど)、その他事業(食品衛生検査・保険代理店・グループ内アウトソーシングなど)、の4事業を有する。
モスグループ1,785店舗のうち直営店は43店舗に過ぎないため、当社の売上高はフランチャイズ店への卸売とロイヤルティ収入が主。海外売上高比率は約20%にも及ぶが、これらはフランチャイズ展開であるため売上高としての貢献度は大きくはない。

✔最終利益と利益率

モスフードサービスの純利益は2017年頃から低迷が続いており、2021年を除けば▲10億円~10億円ほど*3。営業利益率も2021年を除いた直近5年間は0%~2%に留まっており、低空飛行が続く。
*3:利益低迷の主要因は、①店頭で高品質なハンバーガーを製造するための人件費の増加、②国産野菜の原材料価格の高騰による打撃、③マクドナルドの集客拡大による相対的不利、など。

✔自己資本比率と純資産

モスフードサービスの自己資本比率はやや低下傾向にあるものの、直近でも自己資本比率64%を確保しており財務体質は大いに健全。純資産は横ばいが続いており、長期的に400億円台で推移。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

モスフードサービスの平均年収は長期的に610万~650万円ほどの水準で安定的。直営店舗が43店舗と極めて少なく、正社員のほとんどが総合職であるため平均年収は高い。総合職であれば30歳で470万円~550万円ほど、課長職レベルであれば750万~950万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

モスフードサービスの単体従業員数は500人前後の水準で安定的、直近では526人。平均勤続年数は直近で16.1年と外食業界ではトップクラスに従業員の定着が良い。

総合評価

企業格付け:DD

■業績動向
可もなく不可もなく。売上高は増加傾向が続いているが、利益が振るわない。売上高の増加も値上げ効果によるものが大きく、本業好調とは言い難い。高品質を重んじる当社のビジネスモデルは昨今の人件費・原材料費の高騰に弱く、利益拡大が難しい状況が当面は続くだろうか。

■財務体質
外食業界では上位級の一角。自己資本比率は64%と高水準を維持しており極めて優良。手元の現預金は190億円がある一方で有利子負債は35億円に過ぎないため、財務安定性は数字以上。直営店舗を絞り込むことで、固定資産・設備投資も少なく済ませている。

■ビジネス動向
2022年に新たな中期経営計画を策定。2024年度に売上高1,000億円・純利益35億円を目標として掲げ、国内モスバーガー事業への積極投資を宣言した。が、急ピッチで進展する人件費・原材料費の高騰に対しての決め手に欠ける状況が続いており、先行きは不明。

就職格付け:CCC

■給与水準
平均年収は日本マクドナルドに勝るとも劣らず、直近の2022年の平均年収は637万円と外食業界では最上位級。課長職レベルになれば年収700万円は超える。当社は持株会社制ではなく従業員500人以上の平均年収であるから、実際の給与水準は外食業界トップ5社に入るだろう。

■福利厚生
外食業界トップ級。借上げ社宅制度では家賃の半分を支給するほか、家賃補助制度もあり(日本マクドナルドはいずれもない)。育児のための休業・時短勤務も整備されており、通勤ラッシュを避けるためだけに30分の勤務時間短縮が可能という制度も。

■キャリア
入社後は直営店に配属されるが、数年後には本社部門へ異動して商品開発・マーケティング・フランチャイズ店舗支援・新規事業開発などに携わるのがロールモデル。店舗オペレーションだけではなく潰しが効く幅広い経験を積めるため、外食業界でありながら転職もしやすい。

■日本マクドナルドとの比較
世間一般では日本マクドナルドに圧倒されて影が薄い存在と認知されがち。が、総合職の給与水準・福利厚生では同社を上回る制度が完成されているのが実態。平均勤続年数でも当社が上回っており、世間体抜きの従業員の幸福度・定着の良さは当社が回ると推定される。

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