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小売流通会社

ビックカメラの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

ビックカメラは、家電量販店「ビックカメラ」「コジマ」「ソフマップ」などを展開する大手小売企業。1968年に写真現像店として群馬県高崎市で創業。1970年代には東京都へと進出、都市部のターミナル駅前に大型店舗を構えるレールサイド戦略によって躍進を果たした。2006年には同業のソフマップを連結子会社化し、2012年には郊外型店舗に強いコジマを連結子会社化、現在では都市部と郊外いずれも得意とする家電量販店グループを形成。BSデジタル放送をおこなう日本BS放送の筆頭株主でもある。

POINT

・家電業界2位の巨大グループ、都市型店舗・郊外型店舗いずれも強いバランス型
・売上高・利益は安定的、財務体質は業界下位レベル
・平均年収482万円で住宅補助も基本なし、独身寮も首都圏のみ

業績動向

✔売上高と営業利益

ビックカメラの売上高は7,700億~8,400億円レベルで安定的。営業利益も120億~270億円ほどで概ね安定。2020年のみCOVID-19特需により売上高8,900億円まで一時急増*1したが、直近2年で元に戻っている。
*1:2020年の業績好調は、COVID-19感染拡大期における巣篭もり需要が主要因。外出自粛の長期化によって家庭消費の矛先が家電製品に向いたことが業績の追い風となった。政府から支給された特別定額給付金の使い道に家電製品が多かったことも一因。

✔セグメント別の状況

ビックカメラは、ビックカメラ事業(都市型家電量販店「ビックカメラ」運営)、コジマ事業(郊外型家電量販店「コジマ」運営)、その他事業(ソフマップ・じゃんぱら・ビック酒販・日本BS放送など)、その他事業、の5事業を有する。
都市部は「ビックカメラ」店舗、郊外は「コジマ」店舗でブランドを使い分ける他、コア層向けに「ソフマップ」「じゃんぱら」なども展開。いずれもビックカメラ傘下でありつつも別企業として存続しており、個性ある店舗展開を実現している。

✔最終利益と利益率

ビックカメラの純利益は2018年の純利益171億円をピークに減少傾向。同業他社が利益を伸ばした2020年の巣篭もり特需でも利益は伸びなかった。営業利益率は長期的に1%~3%ほどで推移しており、家電量販店とさては高くも低くもない。

✔自己資本比率と純資産

ビックカメラの自己資本比率は長期的に28%~35%の水準で推移。大手家電量販店のなかでは自己資本比率がもっとも低い。純資産は2021年まで増加していたが、直近は横ばい。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ビックカメラの平均年収は長期的に430万~480万円で推移。総合職の場合で30歳450万~490万円、課長クラスで年収550万~700万円が目安。戦略企画を担う部門は平均年収700万円を上回るが、別会社として分離させているうえ中途入社組が多い。

✔従業員数と勤続年数

ビックカメラの単体従業員数は4,200人~4,400人で長期的に推移。事業会社も含めた連結従業員数は1.02万人ほど。平均勤続年数は直近で12.3年と、小売業界大手としては標準的な水準。

総合評価

企業格付け:DD

■業績動向
長期的には業績は安定的、景気後退局面も含めて業績が乱高下することは滅多にない。が、直近3年はCOVID-19による目まぐるしい環境変化に翻弄されて減益傾向。2020年には外出自粛によりビックカメラの都市型店舗が業績を落とし、2023年にアフターコロナを迎えると都心への人流回帰でコジマが業績を落とした。都市部に展開するビックカメラと郊外に展開するコジマは、良く言えば相互補完の関係でありつつも悪くいえば中途半端な関係。

■財務体質
大手家電量販店としては下位。自己資本比率は30%レベルで推移しており、有利子負債は直近で1,200億円を超える。2012年にコジマを買収するために有利子負債を増やして以来、負債は高止まり傾向。当時はコジマも業績悪化で多額の有利子負債を抱えていた為、買収によって負債規模も広がった経緯がある。

■ビジネス動向
再成長に向けた重要課題として「Eコマース強化(ビックカメラ.com・コジマネットなど)」を掲げる。Eコマースを利用する顧客はリピーター比率が高いため、どこまでEコマースを浸透させられるかが今後の焦点。そのためにEコマースの対応商品数を増やしており、直近の品ぞろえは330万品目以上に到達。Eコマースで先行するヨドバシカメラの追い上げを急ぐ。

就職格付け:EE

■給与水準
平均年収482万円と業界中位級。大卒総合職の場合は昇進が早いものの、それでも30歳で年収450万円強ほど。2022年には新しい給与制度が発表され、管理職に昇進しなくても昇給できる制度設計へと変更された。コジマ・ソフマップは同グループではあるが、給与テーブルが別となるため注意。

■福利厚生
住宅手当・家賃補助制度はなし。若手社員には独身寮があるが、首都圏勤務の社員だけが対象(その他地域の社員は独身寮対象外)。会社都合の地方転勤の場合には、借上げ社宅が与えられるが徐々に社員本人の負担額が上がっていく制度。会社都合の転勤が長期化するほど従業員の負担が増していくのは謎の制度設計である。

■キャリア
入社後は店舗に配属され、一般消費者向けの営業活動にまずは従事する。数年間で複数の売り場(テレビ・冷蔵庫・オーディオなどの商品ジャンル別の売り場)を経験したうえで、自分の担当とする売り場を決める。その後は、マネジメントもしくは営業スペシャリストを目指す2コースに分かれる。

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