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小売流通会社

ケーズホールディングスの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

ケーズホールディングスは、家電量販店「ケーズデンキ」を展開する大手小売企業。1947年に茨城県水戸市でラジオ修理店として創業。1950年代から家電量販店へと業態を転換して「カトーデンキ」として事業拡大。POSレジを1980年代から導入して効率的オペレーションを構築。1997年には「ケーズデンキ」へと商号変更、全国各地の家電量販店を次々と傘下入りさせて全国区へと躍進。現在ではヤマダ電気・ビックカメラに続く業界3位であり、全国550店舗を展開。東北・北関東エリアに強い。

POINT

・家電業界で売上高3位だが財務体質・利益率トップ、社是はがんばらない経営
・売上高・利益は2020年まで右肩上がり、直近3年間は横ばい傾向
・平均年収536万円で業界トップ、創業社長の方針で福利厚生も極めて手厚い

業績動向

✔売上高と営業利益

ケーズホールディングスの売上高は2020年まで右肩上がりで増加*1していたが、直近2年は横ばい。営業利益も2020年まで右肩上がりで増加していたが、同年以降は減少気味。
*1:2020年の業績好調は、COVID-19感染拡大期における巣篭もり需要が主要因。外出自粛の長期化によって家庭消費の矛先が家電製品に向いたことが業績の追い風となった。政府から支給された特別定額給付金の使い道に家電製品が多かったことも一因。

✔セグメント別の状況

ケーズホールディングスは、家電量販店事業(家電量販店「ケーズデンキ」による家電製品の販売)のみの単一事業会社である
当社は「がんばらない経営」を掲げており、事業多角化は目指さない方針。そのため、祖業の家電量販店に特化した事業展開を続けている。現在の売上高のうち最大を占めるのは家電製品であるが、次点でパソコン・スマートフォンなどの情報機器が続いている。

✔最終利益と利益率

ケーズホールディングスの純利益は200億円前後で概ね安定的。2020年に387億円まで増加したが、2022年には元の水準にまで戻った*2。営業利益率は長期的に4%〜5%で推移しており、家電量販店大手3社の中では利益率トップ。
*2:2020年はCOVID-19による巣籠もり特需で大きく業績を伸ばした。が、2021年には特需剥落したうえ、世界的なエネルギー高騰によって店舗の電気代・人件費高騰も痛手になって利益を落とした。

✔自己資本比率と純資産

ケーズホールディングスの自己資本比率は2017年に急伸*3。同年以降は60%以上で推移しており、財務健全性も家電量販店大手3社ではトップ。純資産は長期的に増加傾向にあり、直近では2,803億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ケーズホールディングスの平均年収は2017年以降は520万〜550万円前後で推移しており、家電量販店大手3社ではトップの給与水準。当社は持株会社制であるが、持株会社に一般社員2,000人以上が属しているため、実質的な給与水準を反映していると見てよい。

✔従業員数と勤続年数

ケーズホールディングスの単体従業員数は2,200人前後の水準で長期的に安定。平均勤続年数は直近で15.5年と大手メーカー並みの長さであり、家電量販店大手3社では断トツで首位。

総合評価

企業格付け:C

■業績動向
安定。直近8年間は売上高は6,500億〜7,000億円ほどで推移しており、好景気・不景気いずれに左右されにくい。2020年にはCOVID-19感染拡大期の外出自粛によって巣籠り特需が発生。外出自粛で浮いた行楽費が家電消費に向かったことで急激な増益を享受。しかし、COVID-19感染収束が進むにつれて、もともとの利益水準へと戻りつつある。

■財務体質
家電量販店大手3社中トップ。自己資本比率は60%を上回っており極めて健全。2010年頃には積極拡大によって有利子負債1,000億円ほどを抱えた時期もあったが、現在では有利子負債を大きく削減している。

■ビジネス動向
社是として「がんばらない経営」を掲げる。楽をする意味ではなく、無理な拡大路線・事業多角化・押し売りなどの「がんばり」は長期的に会社の成長を阻害すると謳う。実際、家電量販店上位3社でまったく事業多角化していないのは当社のみだが、無駄を嫌う効率的な経営手法によって利益率は業界トップ。

就職格付け:C

■給与水準
家電量販店としては最優良。創業社長の指針により「人への投資」を重んじる。平均年収は540万円を上回っており、中堅メーカーほどの給与水準。大卒総合職なら入社5年〜8年目に主任に昇格すれば年収450万〜500万円に。高卒でも入社10年ほどで主任に昇格でき、実質同年齢で主任クラスになれる。

■福利厚生
極めて優良。公式サイトには、社宅・育児休暇・従業員割引などの大企業なりの制度は当然、ストックオプション・人間ドック・不妊治療支援まで並ぶ。小売業界では類を見ない水準にあり、家電量販店業界では断トツ。その甲斐もあって、平均勤続年数は15年と同業他者を圧倒。

■キャリア
入社後は店舗に配属され、まずは一般消費者・法人向け営業として活躍。早ければ入社後5年目には主任に昇格するが、店長以上にはマネジメントの才覚も求められる。半期ごとに評価が明確に示されるため、面談でのフィードバックを踏まえながら仕事をすることでキャリアアップしやすい。

■従業員第一主義
企業理念として「お客さま第一主義のための従業員第一主義」を掲げる。家電量販店は店員の接客力がサービスレベルを左右するとし、接客の最前線に立つ従業員への投資を重要視。「がんばらない経営」によって高い利益率を目指すと共に、利益を従業員の給与・福利厚生に積極還元することでの成長を目指す。

■従業員との共同設立
1980年の会社設立時に「全員経営体制」を目指して創業社長と従業員が半分ずつ出資する形をとることで、従業員にも株式を与えた。当時100万円を出資した従業員の場合、今でも株式を保有していれば現在価値は14億円ほどに相当する。ジャパニーズドリームである。

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