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かんぽ生命保険の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

かんぽ生命保険は、日本郵政グループに属する大手生命保険会社。1916年に逓信省が創設した簡易生命保険を源流とし、2007年に郵政民営化法に基づき設立された。同じく郵政民営化にあたって設立された日本郵政の傘下にあり、日本郵便・ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険で日本郵政グループ3社を形成する。国内屈指の大手生命保険会社であり、総資産は日本生命に次ぐ規模。かつて日本全国に保険加入者向けの宿泊施設「かんぽの宿」を展開していた。

POINT

1.総資産で国内2位の規模を誇る生命保険会社
2.業績は明らかな衰退傾向、不適切販売問題で衰退が加速
3.平均年収は650万程度、金融業としては物足りない水準

業績動向

✔経常収益と経常利益

かんぽ生命保険の経常利益は右肩下がりの減少傾向*1にあり、明らかな衰退傾向にある。経常利益にも減少傾向が波及してはいるが、直近では3,561億円規模にやや回復。
*1:かんぽ生命保険の加入者層の高齢化で顧客が減少していたことに加え、2019年に判明した不適切販売問題によって18万件以上の不正契約が判明。高齢者からの信頼を逆手に取った欺瞞的な営業手法が発覚したことで更なる客離れが加速した。

✔セグメント別の状況

かんぽ生命保険は生命保険事業(個人保険・財形保険・個人年金保険・再保険、資産運用業務など)のみの単一事業会社である。
かんぽ生命保険は新規事業への進出が法律で制限されており、日本郵政によるかんぽ生命保険の株式保有割合が50%以上の場合は金融庁長官・総務大臣の認可が必要。株式保有割合が下がればこの制限は緩和されるが、当面は新規業務への進出が難しい。

✔最終利益と利益率

かんぽ生命保険の純利益は、経常収益の衰退とは対照的に増加傾向にあるが、これは業界特有の一過的事情*2で長期的には減少傾向に転じると推定。自己資本利益率は概ね4~6%レベルで推移しており、直近では6.53%とやや好調。
*2:生命保険の販売委託先へ支払う手数料は初年度が最も高額で2年目以降は一気に下がる。かんぽ生命保険は不適切販売問題で新規契約が取れなくなり、手数料コストが下がって利益増加した格好。長期的には新規契約が減ったことが将来の業績低迷に繋がるリスクが大きいため利益増加は一過性の可能性が高い。

✔自己資本比率と純資産

かんぽ生命保険の自己資本比率は3.6%と低めだが、銀行業であれば健全な水準。保険業は顧客から保険料を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がるため自己資本比率が低くなりやすい。純資産は緩やかな増加傾向が続いており、直近では2.42兆円規模。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

かんぽ生命保険の平均年収は直近で677万円と金融業としては凡庸な水準だが、これは①ボーナスが郵政グループ一律であること、②多くの一般職が在籍していること、③民営化以前の賃金制度が色濃く残っていることが要因。平均年齢は緩やかな増加傾向にあり、2020年に40歳を突破。

✔従業員数と勤続年数

かんぽ生命保険の従業員数は横ばいを維持しており、8,000年前後で推移している。平均勤続年数は15.7年と保険会社としては長めではあるが、同グループのゆうちょ銀行が20年を上回っている点と比較すると短くも感じる。

総合評価

企業格付け:C

かつて国内首位の資産規模を誇ったが、高齢化の進展により過去の顧客層を失い、経常収益は右肩下がり。業績低迷を挽回するべく、高齢者を相手に不適切販売を行った結果、社会問題となり肝心の高齢者層の客離れが更に加速してしまった。1996年時点では8,432万件あった契約者数は2020年末には2,483万件まで激減。ネット保険の普及や若者の保険離れにより、将来的な挽回も見通せない状況が続く。不適切販売問題が一服して、構造改革派の経営陣へと交代。再生に向けた出発点には立ったものの、復活への道のりは遠い状況に置かれている。

就職格付け:D

日本郵政グループの企業ブランドこそあるものの、不適切販売問題によるイメージダウンが厳しい。郵便局へ絶大な信頼を寄せていた高齢者に、顧客が不利となる契約を強引に締結していた悪質性・非道徳性は社会問題となり、企業イメージは最悪の状況。年収面においても平均年収650万円と、金融業としては凡庸な水準と言わざるを得ない。強いて言えば、平均勤続年数が15年以上ある点は(保険業として見れば)長所ではあるが、他の日本郵政グループと比べるとかなり短いレベルに留まる。

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