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電力

【勝ち組?】J-POWER電源開発の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

電源開発(愛称:J-POWER)は、日本全国において発電事業・電気小売事業を展開する大手電力会社。終戦直後の電力不足を受けて1952年に電源開発促進法によって設立、1950年代から水力発電所・火力発電所を続々と開発して電力不足の解消に貢献。現在では日本国内に60拠点以上の発電所を有しており、大手電力会社に匹敵する電力供給網を形成。とりわけ風力発電・水力発電においては国内トップの発電能力を有する。海外事業にも熱心であり、1960年代から現在に至るまで発展途上国への発電所開発を支援。

POINT

・電力会社・卸電力市場向け販売に特化した元国策企業の電力会社
・売上高はやや減少するも営業利益率は高い、財務体質も業界上位クラス
・総合職・30歳で年収650万~700万円ほどだが、僻地転勤の覚悟は必要

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:69(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。給与・待遇は大手企業の中でも上位クラス、満足度の高い人生を安定して歩むことができる可能性が高い。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職の採用数は年間90人~100人ほど、大手電力会社と比べると門戸はやや狭い。一般知名度は高くないため極端な高倍率にはなりにくいが、電力業界を本気で目指す志望者が多いため競争が激しい。
採用大学:【国公立】京都大学・大阪大学・神戸大学・千葉大学・熊本大学・岐阜大学・大阪公立大学・電気通信大学・豊橋技術科学大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・上智大学・同志社大学・法政大学・日本大学・東京理科大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

電源開発の売上高は2022年に過去最高となる1.8兆円規模に急増している*1。2023年からは売上高1.2兆~1.3兆円までやや後退したが、それでも2021年以前と比べれば高水準を維持。営業利益も2022年に過去最高となる1,839億円に急増して過去最高を更新している*2。
*1:2022年はロシアによるウクライナ侵攻で燃料油価格が急騰。燃料価格の上下変動を電気料金に転嫁する燃料費調整額が急増したことで当社の売上高・営業利益が急増した経緯がある。
*2:2022年に営業利益が急増した理由は、①卸電力市場の価格高騰による発電事業粗利の増加、②資源価格の高騰によるオーストラリア探鉱権益の利益急増、など。

✔セグメント別の状況

電源開発は、電気事業(火力発電所・水力発電所による発電、卸電力取引市場からの調達電力の販売、送変電設備による電力託送など)、送配電事業(発電所受託運営、電力設備設計・施工・補修、炭鉱開発・石炭調達、バイオマス燃料製造など)、海外事業(海外発電事業、発電エンジニアリング・コンサルティングなど)、その他(廃棄物発電・情報通信・石炭販売など)、の4事業を有する。
当社のコア事業は電力事業であり、国内における発電・電力託送が売上高の約71%を占めている。日本全国98ヵ所に火力・水力・風力発電施設を保有しており、地方電力会社・新電力会社に電力を販売している(参考リンク)。海外事業は売上高では約18%に過ぎないが、利益では約24%を占める。

✔最終利益と利益率

電源開発の純利益は2020年のみ223億円まで減少したが、同年を除けば420億~1,130億円ほどで推移している*3。営業利益率は8%~10%ほどで推移しており、大手電力会社としてはトップクラスの利益率を安定性に確保できていると評価できる。

✔自己資本比率と純資産

電源開発の自己資本比率は緩やかな増加傾向が続いており、2024年には自己資本比率36.4%に到達している。大手電力会社としては中部電力に並んでトップクラスの自己資本比率を誇る*3。
*3:経済産業省の有識者審議会は一般電気事業の適切な自己資本比率を30%と掲げており、電源開発は中部電力と並んで同水準をクリアする数少ない大手電力会社である。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

電源開発の平均年収は750万~800万円ほどで安定的。2024年には平均年収1,045万円に到達しているが、これは平均年収の計算対象に管理職層を追加したことが主要因。大卒総合職なら30歳で年収650万~700万円ほど、課長職レベルで年収1,000万~1,200万円ほど。大手電力会社と遜色ない給与水準である。

✔従業員数と勤続年数

電源開発の従業員数は2020年から1,720人~1,860人レベルまで急減したが、これは送電事業の分社化による影響*4。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は7,080人ほど。平均勤続年数は19年前後で安定しており、従業員の定着は極めてよい。
*4:送配電インフラの透明化を目的とした政府方針に従い、送配電事業を電源開発送変電ネットワークとして分社化(参考:資源エネルギー庁)。

総合評価

企業格付け:A

■業績動向
安定的かつ直近は業績好調。平常時は売上高7,000億~9000億円で安定しているうえ、2022年には売上高1.8兆円まで倍増。炭鉱権益が世界的な資源高によって利益を伸ばしたことによる一過性の急増とはいえ、目覚ましい伸びっぷりである。同年以降は売上高はやや減少したが、それでも1兆円レベルを維持している状況。営業利益率は8%~10%で安定しており、利益創出力においても優れる。

■財務体質
業界トップクラスに優良。大手電力会社で自己資本比率30%以上を確保できているのは、当社と中部電力・沖縄電力のみ。他の大手電力会社は一般消費者向けの広告宣伝・営業活動にコストを要するが、当社は発電事業が主力であるため余計な販売コストが少ない特徴も。

■ビジネス動向
2021年に長期ビジョン「BLUE MISSION 2050」を発表。今後は「国内外における再エネ発電の加速」と「既存発電所への新技術導入」を主力としつつ、2050年までに発電事業の実質CO2排出量ゼロを目指すと宣言。2008年から工事が長期化している大間原子力発電所の稼働開始は2030年以降にずれこむ見込み。

就職格付け:A

■給与水準
平均年収1,045万円(2024年)と業界トップクラスだが、これは管理職を含めた平均年収であるため、他社と比較する場合には2023年以前の平均年収800万円レベルで考えたい。さすがに業界上位3社に給与水準では敵わず、業界4位の東北電力に並ぶ水準である。大卒総合職で能力があれば、40歳前後には課長級に昇進して年収1,000万円は超える。大卒・院卒の昇進スピードが速い制度設計であるが、高専卒・高卒であっても年収800万円には横並びで到達可能。

■福利厚生
各拠点に社宅・独身寮を完備しており費用も格安(ほとんど住宅費用がかからないレベル)。ただし、家賃補助制度はないために、住宅費ゼロに近い水準で社宅・寮にずっと住み続けるか、自己負担100%で自由に家を選ぶかという究極の選択が求められる。

■キャリア
入社後は発電所・事業所の勤務となるが、日本全国に拠点が分散しているため転勤範囲が広大。辺境に位置する発電所が多数あるため僻地勤務も覚悟が必要。家族帯同での転勤を前提にする場合には夫婦共働きは難しいため、世帯年収という点では不利。

■社会的名声
地盤エリアを持たないうえ一般消費者向けの電力小売には進出していないため、一般的知名度は極めて低い。わかる人には当然わかる大企業ではあるものの、大手電力会社が地方社会において得ている圧倒的な知名度・名声と比べると口惜しさを感じる。

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出典:電源開発株式会社(有価証券報告書)