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電力会社

J-POWER電源開発の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

電源開発(愛称:J-POWER)は、日本全国において発電事業・電気小売事業を展開する大手電力会社。終戦直後の電力不足を受けて1952年に電源開発促進法によって設立、1950年代から水力発電所・火力発電所を続々と開発して電力不足の解消に貢献。現在では日本国内に60拠点以上の発電所を有しており、大手電力会社に匹敵する電力供給網を形成。とりわけ風力発電・水力発電においては国内トップの発電能力を有する。海外事業にも熱心であり、1960年代から現在に至るまで発展途上国への発電所開発を支援。

POINT

1.電力会社・卸電力市場向け販売に特化した元国策企業の大手電力会社
2.売上高・営業利益は過去最高を更新、財務体質は業界トップクラス
3.平均年収793万円と大手電力会社に匹敵、転勤の覚悟は必要

業績動向

✔売上高と営業利益

電源開発の売上高は2021年まで0.7~0.9兆円レベルで安定していたが、2022年には売上高1.8兆円規模に急増して過去最高を更新*1。営業利益も2021年まで700億円前後での推移が定着していたが、2022年には営業利益1,839億円に急増して過去最高を更新*2。
*1:2022年にはロシアによるウクライナ侵攻で燃料油価格が急騰。燃料価格の上下変動を電気料金に転嫁する燃料費調整額が急増したことで売上高が急増した経緯。
*2:2022年は卸電力市場の価格高騰により発電事業粗利が増加した他、資源価格の世界的な高騰により電源開発が保有するオーストラリア探鉱権益の利益が急増。

✔セグメント別の状況

電源開発は電気事業(火力発電所・水力発電所による発電、卸電力取引市場からの調達電力の販売、送変電設備による電力託送など)、送配電事業(発電所受託運営、電力設備設計・施工・補修、炭鉱開発・石炭調達、バイオマス燃料製造など)、海外事業(海外発電事業、発電エンジニアリング・コンサルティングなど)、その他(廃棄物発電・情報通信・石炭販売など)、の4事業を有する。
電源開発のコア事業は電力事業であり、国内における発電・電力託送が売上高の約80%を占めている。海外事業は売上高では約13%に過ぎないが、利益では約30%を占めている。

✔最終利益と利益率

電源開発の純利益は年度により好不調が分かれるものの、景気後退局面を含めて純利益はキッチリと確保*3。営業利益率も10%前後で安定的に推移しており、大手電力会社としてはトップクラスの利益率を誇る。

✔自己資本比率と純資産

電源開発の自己資本比率は緩やかな増加傾向が続いており、直近の2022年には自己資本比率30%に到達。大手電力会社としては中部電力に並んでトップクラスの自己資本比率を誇る*4。
*4:経済産業省の有識者審議会は一般電気事業の適切な自己資本比率を30%と掲げており、電源開発は中部電力と並んで同水準をクリアする数少ない大手電力会社である。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

電源開発の平均年収は700万円台以上での推移で安定的、直近の2022年には平均年収793万円に到達。大手電力会社と遜色ない給与水準を誇る。平均年齢は40歳前後での安定的に推移。

✔従業員数と勤続年数

電源開発の従業員数は7,000人規模で長年に渡って安定的に推移している。平均勤続年数は20年前後の高水準で安定推移しており、従業員の定着がよい企業であることが伺える。

総合評価

企業格付け:A

■業績動向
安定的かつ直近は業績好調。平常時は売上高7,000億~9000億円で安定しているうえ、2022年には売上高1.8兆円まで倍増。炭鉱権益が世界的な資源高によって利益を伸ばしたことによる一過性の急増とはいえ、目覚ましい伸びっぷりである。営業利益率も長期的に8%~10%で安定しており、利益創出力においても優れる。

■財務体質
業界トップクラスに優良。大手電力会社で自己資本比率30%以上を確保できているのは、当社と中部電力・沖縄電力のみ。他の大手電力会社は一般消費者向けの広告宣伝・営業活動にコストを要するが、当社は発電事業が主力であるため余計な販売コストが少ない特徴も。

■ビジネス動向
長期ビジョン「BLUE MISSION 2050」を2021年に発表。今後は「国内外における再エネ発電の加速」と「既存発電所への新技術導入」を主力としつつ、2050年までに発電事業の実質CO2排出量ゼロを目指すと宣言。2008年から工事が長期化している大間原子力発電所の稼働開始は2030年以降にずれこむ見込み。

就職格付け:A

■給与水準
直近では平均年収798万円と大手電力会社に近しい待遇。さすがに業界上位3社には敵わないが、業界4位の東北電力に並ぶ水準。大卒総合職で能力があれば、40歳前後には課長級に昇進して年収1,100万円は超える。大卒・院卒の昇進スピードが速い制度設計であるが、高専卒・高卒であっても年収800万円には到達可能。

■福利厚生
各拠点に社宅・独身寮を完備しており費用も格安(ほとんど住宅費用がかからないレベル)。ただし、家賃補助制度はないために、住宅費ゼロに近い水準で社宅・寮にずっと住み続けるか、自己負担100%で自由に家を選ぶかという究極の選択が求められる。

■キャリア
入社後は発電所・事業所の勤務となるが、日本全国に拠点が分散しているため転勤範囲が広大。辺境に位置する発電所が多数あるため僻地勤務も覚悟が必要。家族帯同での転勤を前提にする場合には夫婦共働きは難しいため、世帯年収という点では不利。

■社会的名声
地盤エリアを持たないうえ一般消費者向けの電力小売には進出していないため、一般的知名度は極めて低い。わかる人には当然わかる大企業ではあるものの、大手電力会社が地方社会において得ている圧倒的な知名度・名声と比べると口惜しさを感じる。

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