企業概要
豊田通商は、自動車部品・エネルギー・素材・食料・アパレル・都市開発などを手掛けるトヨタグループの総合商社。1936年の創業から長きに渡ってトヨタグループの商社機能を果たしており、自動車部品・素材の流通を主力としてきた。2006年には大手総合商社のトーメンと合併、同社の電子部品・工作機械・化学薬品などの商権を多数獲得。現在では五大商社の一角である住友商事をも上回る売上高に到達。アフリカ54カ国にグループ158社を展開、同地域で売上高の約15%を稼いでいる点も特徴的。
・トヨタグループ・愛知県本社の総合商社だが、グループ外取引が60%以上
・売上高・利益は右肩上がりで増加、財務体質は安定的
・平均年収1,262万円で愛知県下では最高峰、福利厚生も手厚い
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:74(最上位)
日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関上位級
総合職の採用人数は年間70人~120人ほど。昨今の商社人気の高まりによって応募者のレベルは上昇傾向にあり、財閥系の総合商社との併願者も多いため競争は熾烈である。
採用大学:【国公立】名古屋大学・東北大学・九州大学・北海道大学・神戸大学・筑波大学・千葉大学・岡山大学・横浜国立大学・東京外国語大学・国際教養大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・上智大学・同志社大学・中央大学・関西大学・立命館大学・近畿大学・東京理科大学など(出典:マイナビ2027)
業績動向
✔売上高と営業利益
豊田通商の売上高は2020年までは6兆円レベルで推移していたが、同年以降は増加傾向。2024年には過去最高となる売上高10.3兆円に到達している*1。営業利益は2020年までは1,820億~2,130億円で推移していたが、同年以降は増加傾向。2024年には過去最高となる営業利益4,971億円に到達。
*1:2021年から業績好調となった理由は、①北米・欧州における自動車事業の好調、②アフリカ事業の継続的な成長、③親会社・トヨタ自動車の周辺ビジネスの受注活況、④為替レートの円安推移による為替効果、など。
✔セグメント別の状況
豊田通商は、メタル+事業(鋼材・レアメタル・レアアース)、サーキュラーエコノミー事業(資源開発・包装材・金属リサイクル)、サプライチェーン事業(部品物流・航空部品・物流サービスなど)、モビリティ事業(自動車・商用車・二輪車の流通販売など)、グリーンインフラ事業(風力・水力・地熱発電、電力・空港など)、デジタルソリューション事業(ICT製品・ソフトウェア)、ライフスタイル事業(穀物・水産品・繊維・医療品)、アフリカ本部(アフリカにおける事業)、その他事業、の9事業を有する。
かつての当社はトヨタグループの関連ビジネスが主であったが、2006年にトーメンと合併したことで、総合商社として多種多様に渡る事業を獲得。強いて言えばトヨタグループに関わる自動車・自動車部品が主力であるが、売上高に占めるトヨタグループの割合は約35%ほど(2023年)。アフリカ地域には特に強く、アフリカ全54ヵ国すべてに事業展開している(参考リンク)。
✔最終利益と利益率
豊田通商の純利益は2021年から長期的な増加傾向が継続しており、2024年には過去最高となる3,625億円に到達している*2。営業利益率は2%~4%程度と高くはないが、事業規模の大きさによって利益を稼ぐ構造であるため問題ではない。。
*2:当社は売上高こそ丸紅・住友商事を上回る規模を誇るが、純利益では五大商社に及ばない。純利益ベースでは五大商社で最下位の丸紅でも純利益5,430億円があり、かなりの差がある。
✔自己資本比率と純資産
豊田通商の自己資本比率は2022年から緩やかな増加傾向にあるが、2024年でも37.2%とそれほど高くはない*3。純資産は2020年から右肩上がりで増加しており、2024年には2.74兆円に到達。
*3:総合商社は規模・信用を活かして多額の資金を調達して事業に投資するビジネスモデル。常に新たな事業への投資を模索しているため、自己資本比率は高まりにくい業態。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
豊田通商の平均年収は平均年収990万円~1,100万円ほどの水準で安定的だが、2013年には1,262万円に上振れている。大卒総合職なら大卒総合職は30歳で年収900万~980万円ほど、課長職レベルで年収1,500万~1,700万円が目安。平均年齢は41.4歳(2023年)となっており、長期的な微減傾向がみられる。
✔従業員数と勤続年数
豊田通商の単体従業員数は2019年に2,751人に到達したが、同年をピークに微減傾向がみられる。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は6.95万人ほど。平均勤続年数は17.1年(2023年)となっており、大手企業としては標準的な水準。
総合評価
企業格付け:AAA
トヨタグループの総合商社として知られる大手商社。2006年に総合商社・トーメンと合併したことで、同社の事業ポートフォリオを獲得。現在においても知名度・名声・利益率では五大商社には及ばないが、売上高では五大商社に匹敵する規模にまで成長している。業績においては、2021年から売上高・利益を大きく伸ばしており、2023年には売上高10兆円を突破。2015年には資源価格の低迷でオーストラリアで展開していたガス事業で多額の特別損失を計上して純損失440億円を計上するなど不振期もあったが、それも昔の話となっている。五大商社と比べれば利益水準は見劣りするが、それでも一流企業に相応しい利益額はキッチリと確保し続けている。とりわけアフリカ地域においては日本企業としてトップクラスの地盤があり、アフリカ全54ヵ国すべてに事業展開。2017年にはアフリカ関連事業をまとめてアフリカ事業として再編、更なる注力を進める体制を整えている。アフリカが将来的に成長することができれば、当社もまた大きく成長できるポテンシャルがある。
就職格付け:AAA
愛知県に本社を置く企業としては、親会社・トヨタ自動車を抜き去って最高峰の給与水準を誇る企業。愛知県内ではトヨタ自動車の名声があまりに圧倒的であるために「トヨタ自動車のグループ会社」のイメージが根強いが、当社はトヨタグループに属しながらもグループ外との取引が約60%以上と圧倒的に多いため、資本関係を除けば上下関係には最早ないとすら言えるだろう。給与水準においては、大卒総合職であれば30代前半には平均年収1,000万を優に上回り、課長職レベルで年収1,500万~1,700万円が目安となる。総じて、トヨタ自動車の給与水準を上回る給与体系と言えるだろう。海外駐在ともなれば駐在手当が加算され、年収ベースで数百万円は上振れてくる。福利厚生においても手厚めであり、家賃補助制度・借上げ社宅制度は当然のこと、海外駐在先での住居費も会社負担である。世界を駆け巡るビジネスマンを志すのであれば、是非目指したい1社である。