企業概要
東京海上ホールディングスは、損害保険事業を主力とする大手金融グループ。1879年に日本初の保険会社として発足、社名に三菱を冠していないが三菱グループの構成企業の1社である。東京海上日動火災保険・日新火災海上保険・イーデザイン損害保険・東京海上日動あんしん生命保険、などのブランドを持つ巨大保険グループであり、国内三大損保の一角を占める。
・損害保険業界トップ企業、日本における保険会社の始祖でもある
・経常収益・利益いずれも急増傾向、海外事業の急成長と円安効果が恩恵
・グローバル総合職は30歳で年収1,000万円以上、住宅補助が手厚い
就職偏差値
SPEC:77(頂点)
総合職:74(最高峰)
■SPEC採用
日本企業における頂点であり、まさしくトップクラスの勝ち組。誰もが羨望する圧倒的な待遇・地位が約束されるスーパーエリート。しかしそれゆえ、入社できるのは同世代の極一握りに限られ、超人的な能力・努力・運がすべて必要となる。
■総合職
日本企業における最高峰クラスの1社であり、誰もが勝ち組として認めるレベルの待遇・名声が得られる類稀な企業。入社するためには相当の能力・努力が必要であることは当然、運も必要である。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
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業績動向
✔売上高と経常利益
東京海上ホールディングスの経常収益は5兆円規模で安定していたが2021年頃から急増。直近の2023年には7.42兆円に到達。経常利益は2020年を底に増加傾向にあり、2023年には過去最高益を更新*1。
*1:2021年以降の業績好調の理由は、①保険商品の料率・商品改定による値上げ効果、②米長期金利の上昇による運用環境の改善、③為替レートの円安推移による為替効果、など。
✔セグメント別の状況
東京海上ホールディングスは国内損害保険事業(火災・海上・傷害・自動車保険)、国内生命保険事業(個人保険・個人年金保険・団体保険・団体年金保険)、海外保険事業(火災・海上・傷害・自動車保険)、その他事業()の3事業を有する。
当社は国内三大損保のなかでも海外進出が最も進んでいる。海外比率は売上高の約47%・利益の約54%にも達しており、海外売上高比率は相当に高い。国内市場における保険需要が頭打ちとなっている中でも、海外市場での成長に成功している。
✔最終利益と利益率
東京海上ホールディングスは純利益は、2020年を底に急増傾向。直近の2023年には純利益6,936億円に到達*3。自己資本利益率は7%前後で安定していたが、2021年以降は10%以上に急伸。
*3:2023年の純利益は前年比+2,675億円もの増加となったが、うち2,183億円は海外事業における利益増加である。前年度には台湾でのCOVID-19流行やロシアによるウクライナ侵攻による保険金支払いがあったが、2023年は大型支払案件が少なかったことも追い風となった。
✔自己資本比率と純資産
東京海上ホールディングスの自己資本比率は直近で16.9%と低めだが、損害保険会社であれば健全な水準。損害保険会社は顧客から保険料を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がるため自己資本比率が低くなりやすい。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
東京海上ホールディングスの平均年収は直近で1,430万円と高水準だが、これは持株会社の971名のみの平均年収。グローバル総合職は30歳で年収1,000万~1,200万円に到達し、課長職レベルならば1,500万~1,900万円に達する。ただし、地域総合職はグローバル総合職の65%~75%の給与水準。
✔従業員数と勤続年数
東京海上ホールディングスの単体従業員数は増加傾向が続いており、直近で971名。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は4.32万人ほど。平均勤続年数は17~19年前後の水準だが、これは持株会社の971名のみの平均勤続年数である点には注意が必要。
総合評価
企業格付け:AA
■業界ポジション
日本の損害保険業界のリーディングカンパニー。日本に初めて保険の概念を持ち込んだ「保険業界の始祖」ともいえる存在だが、現代に至るまで業界トップランナーとしての地位を維持し続けている。とりわけ海外展開では業界屈指の先駆者であり、経常収益・利益における海外比率は約50%前後にも達する。
■業績動向
急拡大。経常収益・利益いずれも2021年から右肩上がりで増加しており、業績は過去最高圏で推移している。昨今における為替レートの円安推移は、海外比率が高い当社にとっては追い風であり、海外事業の経常収益・利益が為替効果で急拡大。株高・金利上昇という金融環境も運用ビジネスにとって大きな追い風となっている。
■財務体質
良好。自己資本比率は直近で16.9%と低めだが、損害保険会社は顧客から保険料を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がるため自己資本比率が低くなりやすいため仕方がない。有利子負債は2,200億円前後に過ぎず、事業規模を考えれば負債依存度は極めて少ないのは長所。
■ビジネス動向
新中期経営計画を策定。海外では、①ニッチ領域に特化した商品展開による顧客ロイヤルティの工場、②住宅・自動車・教育・福祉領域などに事業領域を分散することで事業安定性を向上、させる方針。国内においては主力商品である自動車・火災保険の収益改善によって利益拡大を図る。
就職格付け:総合職SPEC=AA/総合職=A
■給与水準
業界トップの待遇。グローバル総合職は30歳で年収1,000万~1,200万円に到達し、課長職レベルで年収1,500万~1,900万円には到達する。地域総合職の場合には給与水準はやや低下するが、それでも30歳で年収750~850万円にはなる。が、損保業界には「取引先の新車購入・数年おきの買替」の慣習があるため、自動車の維持コストには覚悟が必要。
■福利厚生
手厚い。若手社員には独身寮・借上げ社宅が付与され、自己負担は殆どない。住宅補助は住宅補助は独身者で最大8万・既婚者は最大14万と金額も大きい。持ち家を購入した場合にも住宅ローン補助として月額4.6万円が55歳まで支給されるため、自己物件を買いたい場合にも極めて柔軟である。2026年までに社員の同意がない転勤を廃止すると発表しているが、出世を目指す社員が会社の意向を拒否できるかは依然不透明。
■キャリア
総合職・エリア総合職の2職種制。総合職のなかでも4コースに分かれており、グローバルコース・営業コース・損害サービスコース・オープンコースがある。特にグローバルコースは将来のトップマネジメントを目指すローテーションが約束され、経営企画・海外企画・商品開発などの花形部門を横断しながら将来の経営層を目指していく。
■総合職SPEC採用
新卒初任給は総合職と同額だが、配属先にアクチュアリー・グローバル・金融IT部門などの花形部門を確約。東京都内の事業所がメインの部門を確約されるため、大手損保就職のリスクである「営業ドサ周りと転勤リスク」を抑制できる点は魅力。採用数が少ないブレイン採用であるため、学生時代に専門性・語学スキルを磨く必要があるが、高年収とネームバリューとキャリアパスをすべて抑えられるため国内トップクラスの就職先として評価される。