企業概要
日鉄ソリューションズは、日本製鉄グループに属するシステムインテグレーター(SIer)である。1980年に日本製鉄が設立した日鐵コンピュータシステムを源流としており、1988年には日本製鉄の情報システム部門を吸収。最近ではグループ外とのビジネス拡大に注力、現在では売上高の約80%を日本製鉄以外から獲得している。大手企業・官公庁などを相手に、情報システムの企画からソフトウェアの開発、ハードウェア等機器の選定及びシステムの運用や保守等、総合的なサービスを提供。NS-Solとも呼ばれる。
・日本製鉄系のSIerだが、売上高の大半をグループ外から獲得
・売上高・営業利益いずれも成長基調、財務体質も極めて健全
・平均年収886万円、規模で上回る同業他社よりも平均年収は厚い
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:67(上位)
日本企業における中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:やや難関
総合職の採用人数は年間150人~190人レベルと会社規模の割には採用人数が多い。経験者採用にも積極的であるため、IT業界で一定の経験を積んでいれば中途入社の可能性もある。
採用大学:【国公立】北海道大学・神戸大学・名古屋工業大学・横浜国立大学・首都大学東京・電気通信大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学・立教大学・東京理科大学など(出典:マイナビ2025)
業績動向
✔売上高と営業利益
日鉄ソリューションズの売上高は緩やかな増加基調で推移しており、2023年には過去最高となる3,106億円に到達*2。営業利益も2023年に過去最高となる350億円に到達。緩やかな成長が長年に渡ってしっかりと継続している。
*1:日鉄ソリューションズが上場した2003年の売上高は968億円であったから、約15年間で売上高は2倍以上に成長している。
✔セグメント別の状況
日鉄ソリューションズは情報サービス事業(情報システムの企画・ソフトウェア開発・ハードウェア機器選定・システムの運用や保守など)のみの単一事業会社である。
2021年時点での日本製鉄向けの売上高は552億円となっており、売上高の約20%となっている。売上高の約80%は大手企業・官公庁となっており、日本製鉄グループへの依存度は低い。
✔最終利益と利益率
日鉄ソリューションズの純利益は、売上高の成長に比例して増加傾向にあり直近では242億円に到達。営業利益率は概ね10%前後で極めて安定しており、システムインテグレーターとしては標準的な利益率である。
✔自己資本比率と純資産
日鉄ソリューションズの自己資本比率は直近で63.2%と高水準であり、安定的な利益体質もあわせて考えれば非常に堅実な財務体質といえる。純資産は堅調な増加を継続しており、直近では2,448億円に到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
日鉄ソリューションズの平均年収は直近で886万円と日系システムインテグレータとしてはかなり高め。総合職であれば30歳で年収750万~850万円、課長職レベルで年収1,000万~1,200万円に到達する。平均年齢は40歳を上回っており、システムインテグレータとしては高年齢層が厚め。
✔従業員数と勤続年数
日鉄ソリューションズの単体従業員数は緩やかな増加傾向にあり、2023年には3,758人規模に到達。平均勤続年数は13年前後と大企業としてはやや短めの水準に留まっている。
総合評価
企業格付け:BB
日系SIerでは業界10位台だが、ユーザー系SIerに絞れば業界5位前後に位置する大手SIerの1社。情報システムの需要拡大を追い風に成長基調が続いており、業績・財務も大いに優良企業。ただし、業界大手のSIerに追いつけるほどの成長力ではない為、将来的にも現在の立ち位置が続くと推定される。顧客の幅は製造業・流通業・金融・官公庁など幅広いものの、同社でなければならない独占的な領域は特段見当たらない点はネックか。
就職格付け:BBB
ユーザー系SIerとしては知名度が高く、業績・財務は極めて堅実で成長力もある優良企業である。売上高3,000億円レベルで業界大手と比較するとやや小柄だが、平均年収は業界上位に位置しており社員の待遇は厚い。大手製造業のグループ企業であることから、SIerでありつつも安定した終身雇用を期待できる点は高く評価できる。強いて言えば、①SIer業界はNTTデータや富士通などの大手企業・著名企業なども多いため比較されやすい点、②社名から「日本製鉄の子会社」の印象が強い点、がネックであり、誰もが羨むような世間体はない点が惜しい。