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【勝ち組?】日立建機の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

日立建機は、油圧式ショベル・道路機械・ダンプカー・マイニング設備などを展開する大手建設機械メーカー。終戦直後に発足した日立製作所の建設機械部門を源流とし、1969年に日立製作所から分離独立。1960年代に日本企業として初めて油圧ショベルの量産化に成功。高度経済成長における建設ブームを支えた他、優れた信頼性で海外輸出を伸ばしたことでグローバル建機メーカーとして躍進。現在では世界113ヵ国以上への輸出実績を持ち、建機メーカーとして世界シェア上位8位。

POINT

・日立Gの大手建機メーカー、海外売上高比率80%以上のグローバル企業
・売上高・利益は2022年から好調期に突入、財務体質は普通レベル
・平均年収774万円で住宅補助が手厚い、転勤リスクの低さも魅力

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:65(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。給与・待遇は大手企業の中でも上位クラス、満足度の高い人生を安定して歩むことができる可能性が高い。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用数は年間60人~75人ほど。グローバル企業だが建機業界という取っ付きにくさもあって倍率は程々。採用大学も幅広く、学歴にも寛容。待遇の割りには穴場企業かもしれない。
採用大学:【国公立】名古屋大学・筑波大学・金沢大学・岡山大学・岐阜大学・香川大学・長崎大学・電気通信大学・室蘭工業大学・豊橋技術科学大学など、【私立】東京理科大学・立教大学・法政大学・関西大学・立命館大学・龍谷大学・東京理科大学・東京都市大学など(出典:マイナビ2027

業績動向

✔売上高と営業利益

日立建機の売上高は2021年まで0.8兆~1.0兆円レベルで推移していたが、同年以降は増加傾向。2023年には過去最高となる1.4兆円を記録*1。営業利益は2020年に282億円に下落*2したが、同年以外は700億円以上を確保。2023年には営業利益1,626億円に到達している。
*1:2022年の業績好調の要因は、①世界的な資源価格の高騰による建機・鉱山機械の需要拡大、②販売済機器の稼働率増加によるアフターセールス部品販売やオーバーホールの増加、③為替レートの円安推移による為替効果、など(参考リンク)。
*2:2020年に営業利益が急落した理由は、COVID-19感染拡大期における販売急落が主要因(参考リンク)。建機業界は建設業界・資源業界を顧客とするため、景気動向による浮き沈みが激しい特徴がある。

✔セグメント別の状況

日立建機は、建設機械ビジネス事業(油圧ショベル・超大型油圧ショベル・ホイールローダー・道路機械などの製造販売、アフターセールス販売)、スペシャライズド・パーツ・サービス・ビジネス事業(マイニング設備・アフターセールス販売・その他事業など)、の2事業を有する。
売上高・利益いずれも約90%以上を建設機械ビジネス事業で確保しており、ショベルや道路機械などの建設機械が事業の柱。スペシャライズド・パーツ・サービス事業に含まれるマイニング設備の存在感は大きくはない。

✔最終利益と利益率

日立建機の純利益は2020年のみ103億円に急落したが、同年以降は700億円以上に増加。2023年には純利益932億円に到達している。営業利益率は9%~11%で推移しており、機械メーカーとしては良好な水準。景気後退局面では営業利益率3%台まで後退するが、黒字圏はしっかりと維持できている。

✔自己資本比率と純資産

日立建機の自己資本比率は長年に渡って40%~45%レベルで推移しており、そこそこ高めの水準を維持している。純資産は2020年から右肩上がりで増加しており、2024年には8,579億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日立建機の平均年収は2018年から700万円台へと上昇しており、同年以降は700万~740万円で安定的。2024年には平均年収774万円に上振れ。業績変動による浮き沈みは僅かであり、安定性が強い。総合職の場合、30歳で年収600万~650万円ほど、課長職レベルで年収900万~1,100万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

日立建機の単体従業員数は2019年に急増*3しており、2024年には5,991人規模の組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2.61万人ほど。平均勤続年数は15.5年(2024年)と大手企業の標準的水準。
*3:2019年に単体従業員数が増加したのは、川崎重工業から買収したKCMを2019年に吸収合併したため(参考リンク)。

総合評価

企業格付け:B

日立製作所からスピンオフした建設機械メーカー。戦後創業の新興企業でありながら油圧ショベルを初めて国産化し、小松製作所に次ぐ日系2位の建機メーカーに登り詰めた。業績においては2021年から売上高・利益いずれも好調。とりわけ世界的な資源価格の上昇によって、大型鉱山機械の販売好調とアフターサービス拡大が追い風。当社は海外売上高比率80%以上のグローバル企業ゆえに為替レートの円安推移もフル享受。景気の波に業績を左右されやすい建機業界にありながら、COVID-19感染拡大期や中国経済混乱期にも最終黒字でしっかり軟着陸できている点は評価されていい。財務体質においては自己資本比率40%台で推移しており、高くも低くもない平凡な水準。2022年には日立製作所が保有株式の約半分を売却したことで、同社の連結対象からは外れて持分法適用会社へと移行(参考リンク)。日立製作所はグループ企業の取捨選択を強烈に進めているが、日立建機については完全売却までには至らずに落ち着いた。が、いつ売却話が再燃するかは以前不透明であり、将来的に日立の名前が社名から外れる可能性も少なからずある。

就職格付け:B

茨城県を地盤とする大手建機メーカーであり、海外売上高比率80%を超えるグローバル企業。ライバル企業には小松製作所コベルコ建機住友重機械工業があるが、業界2位の地盤は揺るぎない。給与水準においては平均年収774万円(2024年)と大手機械メーカーなりの水準。総合職の場合、30歳で年収600万~650万円ほど、課長職レベルで年収900万~1,100万円が目安となるだろう。福利厚生においては相当に恵まれており、独身者であれば借上げ社宅は最大6.5万円まで会社負担。結婚後においても同額の家賃補助がしっかり支給されるため、従業員のライフプランにも配慮が行き届いている。小松製作所と比較した場合に当社が優れる点は、主力事業所が一部を除けば茨城県に集中している点(小松製作所は大阪・兵庫・滋賀・湘南・栃木など全国各地に分散)。総合職であっても転勤苦に陥らないうえ、茨城県という立地は住宅コストを抑えつつも都心アクセスを確保できる点においても秀逸。関東近郊への永住を希望する場合であれば、小松製作所よりも優先して志望することも道理に適っている。

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出典:日立建機株式会社(有価証券報告書)