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半導体製造装置メーカー

ディスコの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

ディスコは、半導体業界向け精密加工装置・精密加工ツールを展開する半導体製造装置メーカー。1937年に広島県呉市で砥石メーカーとして創業したが、1970年代に半導体分野へと転向。現在では半導体メーカー向け切断・研削装置を展開しており、シリコンウエーハを切断するダイシングソー・レーザーソー、シリコンウエーハを磨くグラインダ・ポリッシャーが主力。半導体業界における世界シェアは傑出しており、ダイシングソーは世界シェア70%以上、グラインダ・ポリッシャは世界シェア60%以上を誇る。

POINT

1.半導体向け切断・研削装置で世界シェア首位、ニッチトップ企業
2.売上高・利益いずれも好調、無借金経営で財務手堅い
3.平均年収1,329万円と極めて高め、社内通貨などの独自施策も

業績動向

✔売上高と営業利益

ディスコの売上高は長年に渡って右肩上がりの成長が続いており、2022年には過去最高となる2,841億円をに到達*1。営業利益は2020年ごろから急増傾向にあり、直近では1,104億円まで到達。
*1:業績が伸びている要因は、①スマホ・パソコン・電気自動車における半導体需要の増加、②半導体業界における世界的な投資意欲の活況、③為替レートの円安推移による為替効果、など。

✔セグメント別の状況

ディスコは、精密加工システム事業(半導体加工用ダイシングソー・レーザーソー・グラインダ・ポリッシャ・ウエーハマウンタ・ダイセパレータなど)のみの単一事業会社である。
製品別に内訳をみると、製品群がバランスよく分布している。半導体を切断するブレードダイサ・レーザーソー、シリコンウエーハの表面を高精度に研磨する薄化DGP・薄化以外DGPが主力製品。販売地域別に売上高を分解すると、中国市場が約31%を占めており主力市場であるが同国以外での販売も好調。

✔最終利益と利益率

ディスコの純利益は2020年頃から急激に増加しており、直近の2022年には純利益829億円に到達*2。営業利益率は平常時でも20%を上回っており、直近では38%と利益率が高い。
*2:2022年は世界的な電気自動車の販売好調によってパワー半導体需要が特に急増。パワー半導体メーカー向けの取引が利益を大きく伸ばした。

✔自己資本比率と純資産

ディスコの自己資本比率は長年に渡って80%レベルの超高水準で推移しており、実質無借金経営を達成。有利子負債に頼らない財務基盤を完成させている。純資産は右肩上がりで増加しており、直近の2022年には純資産3,480億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ディスコの平均年収は業績に連動して増加傾向にあり、直近で1,329万円に到達。半導体業界の中でもトップクラスの給与水準であるが、賞与比率が高いため安定性は高くない。大卒総合職は30歳で年収1,100万~1,200万円ほど、課長職レベルで年収1,500万~1,900万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

ディスコの単体従業員数は増加傾向が続いており、直近の2022年には3,900人規模に到達*3。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は4,500人ほど。平均勤続年数は直近で11.1年とやや短めの水準。
*3:ディスコは採用強化により従業員数を増やしているため、平均勤続年数が伸びにくい事情がある。

総合評価

企業格付け:AAA

シリコンウエーハの切断・研削において世界屈指の技術力を有するニッチトップ企業。70年以上に渡って「切る・削る・磨く」技術を磨き続けた結果、マイクロメートルレベルの超精密加工が求められる半導体の世界において世界屈指の存在に。2020年頃から業績も絶好調であり、売上高・利益いずれも過去最高を連続更新。スマートフォン・パソコン向け半導体製造装置は販売鈍化しているものの、電気自動車の需要拡大による車載向けパワー半導体が業績拡大の大きな追い風となっている。財務体質においても模範的であり、自己資本比率80%・実質無借金経営を達成済み。半導体業界は好不況の浮き沈みが激しいため昨今の業績拡大はいずれ失速するであろうが、仮に不況期が到来しても余裕で耐え凌げる財務基盤である。

就職格付け:AA

広島県呉市で創業した半導体製造装置メーカー。創業直後は技術力の不足で東京への本社移転を強いられる弱小企業であったが、70年間に渡る技術蓄積で世界トップクラスの技術集団へと変貌した立志伝中の企業である。給与水準は極めて恵まれており、高給企業が多い半導体業界においてもトップクラス。大卒総合職なら30代で年収1,000万円は優に上回るが、社内通貨「ウィル」によって給与が決まる独特のシステム。高い成果をだすと多額の「ウィル」が与えられるため、中には年収4,500万円に到達する社員すらある。福利厚生も企業規模の割にかなり恵まれており、子育て中の社員には月額2万円を支給している。強いて言えば、直近での賞与支給が平均20か月分にも及んでいる点が不安要素。賞与比率が極めて高いために業績次第で平均年収が落ち込むリスクがそれなりにある点はしっかり理解しておきたい。

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