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化学メーカー

フジミインコーポレーテッドの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

フジミインコーポレーテッドは、研磨材・研削材の製造販売を主力とする化学材料メーカー。1950年に越山照次が人工研磨剤の生産を目指して創業。国産初となる人工研磨剤の量産化に成功し、約70年に渡って同分野を牽引してきた。1967年にはシリコンウエーハ向け研磨剤の生産を開始し、超精密領域での表面加工技術を確立。現在では半導体メーカー向け超精密研磨剤では世界シェア90%にも迫る最大手である。世界の大手半導体メーカーを顧客としており、海外売上高比率は77%にも達する。

POINT

1.愛知県地盤の人工研磨剤メーカー、半導体向け超精密研磨剤で世界首位
2.売上高・利益いずれも絶好調で成長基調、財務体質も驚異的な健全性
3.平均年収1,086万円と愛知県下トップクラス、福利厚生もそこそこ良好

業績動向

✔売上高と営業利益

フジミインコーポレーテッドの売上高は長年に渡って成長基調が続いており、2022年には売上高584億円に到達して過去最高を更新*1。営業利益は過去8年間で約4倍にも増加しており、2022年には132億円に到達。
*1:フジミインコーポレーテッドの業績が成長している理由は、①5G通信やデータセンターの需要拡大による最先端半導体向け製品の販売好調、②2020年頃の世界的な半導体不足による価格交渉力の増大、③為替レートの円安推移による為替効果の享受、など。

✔セグメント別の状況

フジミインコーポレーテッドは、日本事業(日本国内における研磨材・研削材の製造、加工及び販売など)、北米事業(アメリカ)、アジア事業(中国・台湾・マレーシアなど)、欧州事業(ドイツなど)、の4事業を有する。
フジミインコーポレーテッドは売上高の約77%を海外向け販売で稼いでいるが、主力事業所は愛知県周辺に集中。その結果、売上高・利益いずれも日本事業の比率が高くなっている。

✔最終利益と利益率

フジミインコーポレーテッドは純利益も2020年から急増しており、直近の2022年には純利益106億円に到達して過去最高を更新。営業利益率は右肩上がりで推移しており、直近では22%と高水準。ただし半導体業界の好不況に利益率を左右されるため安定性には乏しい。

✔自己資本比率と純資産

フジミインコーポレーテッドの自己資本比率は長期的に85%前後の超水準で推移しており、有利子負債にまったく依存しない財務体質を確立。高い利益率だけではなく、財務健全性も極めて優良である。純資産も緩やかな増加傾向が続いており、直近では690億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

フジミインコーポレーテッドの平均年収は右肩上がりで増加しており、直近の2022年には平均年収1,086万円に到達。業績好調による増益を従業員へしっかり還元しているが、賞与比率が高いため年収は不安定。大卒総合職は30歳で年収650万~750万円、課長職レベルで年収1,000万~1,500万円レベル。

✔従業員数と勤続年数

フジミインコーポレーテッドの単体従業員数は2018年頃から増加傾向にあり、直近では730人規模。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数も1,100人ほどであり、企業規模は小さめである。平均勤続年数は直近で14.0年と標準的な水準。

総合評価

企業格付け:A

半導体メーカー向け人工研磨剤におけるリーディングカンパニーであり、超精密加工向け研磨剤において日系断トツ首位。いわゆるニッチトップ企業である。昨今の半導体業界の好況によって業績は絶好調そのものであり、売上高・利益いずれも過去最高を連続更新中。高い競争力を武器に利益率は右肩上がりで向上しており、直近では営業利益率20%の大台を突破。財務体質においても模範的であり、自己資本比率85%と極めて高い水準を長年に渡って維持し続けている。実質無借金経営を達成しており、高い利益率も相まって倒産とは当面無縁の優良企業。10年前までは愛知県の優良中堅メーカーに過ぎなかったが、現在では日本の半導体業界・化学業界を見渡しても当社の傑出したビジネスモデルと技術力は大いに評価されている。

就職格付け:BBB

愛知県を代表する急成長企業であり、過去10年間における業績拡大で一気に知名度を高めた企業。人工研磨剤におけるリーディングカンパニーであり、半導体向けの超精密加工における卓越した技術力によって世界企業へと躍進した。給与水準は2022年に平均年収1,000万円を突破しており、愛知県の象徴たるトヨタ自動車すら優に上回る水準に到達。業績絶好調をしっかりと給与水準に反映することで、半導体業界でも日系企業では上位10社に入る平均年収を実現。が、半導体業界の浮き沈みの激しさには要注意であり、歴史的にも極端な浮き沈みを繰り返してきた業界である。当社の給与水準の高さも賞与に支えられる部分が大きく、景気低迷期が再来した時にどうなるかは未知数。福利厚生は企業規模の割には恵まれており、通勤1.5時間を上回る社員には最大4万円/月を支給している。総じて愛知県トップクラスの優良企業であるが、売上高600億・従業員1,000人レベルの中堅企業であるため、トヨタ自動車などの超大企業レベルの安定までは期待しない方が良いか。

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