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【勝ち組?】日本銀行の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

日本銀行は、日本銀行法に基づき設立・運営されている中央銀行(特別法に基づく認可法人)。1882年に日本銀行条例によって設立され、我が国唯一の中央銀行として140年以上に渡って日本経済を支えてきた。日本銀行法に基づき「物価の安定」と「金融システムの安定」を至上命題としており、金融環境の変動によって国民生活が脅かされることがなきよう金融政策を運営している。政府からの独立性を確保するため東京証券取引所へ株式上場しており、民間個人であっても株主になることができる。

POINT

・我が国唯一の中央銀行、総資産735兆円以上の巨大金融機関
・経常収益・経常利益いずれも過去最高を連続更新、財務基盤は鉄壁
・平均年収814万円と意外と安いが、群を抜く社会的地位・栄誉

✔就職偏差値:総合職=80(頂点)

総合職:サラリーマン社会の頂点。誰もが羨望する圧倒的な待遇・地位が約束されるスーパーエリート。入社できるのは同世代の極一握りに限られ、超人的な能力・努力・運がすべて必要となる。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:最難関級

新卒採用数は年間150人前後だが、これは総合職・特定職・一般職すべて含んだ数。総合職は東京大学・慶應義塾大学・早稲田大学レベルで固められており、国内最高峰レベルの人材が集結。
採用大学:【国公立】東京大学・一橋大学・京都大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・立教大学・青山学院大学・東京女子大学など(出典:東洋経済オンライン

業績動向

✔経常収益と経常利益

日本銀行の経常収益*1は年度による上下変動が大きく、2020年以降は急激な増加傾向*2。経常利益についても2020年から右肩上がりで増加しており極めて好調。
*1:日本銀行の収益源には、①通貨発行益(国債利息・貸出金利息)、②金銭信託運用益(保有するETFによる収益)がある(参考リンク)。
*2:保有する国債の利息収入が安定しているうえ、2020年以降は株高・円安によって保有するETF運用益や外貨建て資産の評価益が急増。いずれも運用規模が巨大であり、ETFからの分配金だけでも年間1兆円以上の収入となっている。

✔セグメント別の状況

日本銀行は、中央銀行サービス事業(金融政策運営、日本銀行券発行・管理、金融機関向け決済サービス、対政府取引・国際業務など)のみの単一事業組織である(参考リンク)。
日本銀行は我が国唯一の中央銀行として、日本の金融システム・通貨価値の安定化に取り組んでいる。行是となるのは日本銀行法であり「物価安定を通じて国民経済の健全な発展に資すること」を理念とする。金融環境を操作するために公開市場操作を通じて長短金利誘導・ETF買い入れなどを実施する。

✔最終利益と利益率

日本銀行の純利益は過去6年間に渡って増加傾向が続いており、直近では純利益2兆円を突破。自己資本利益率は長期的に増加傾向にあるうえ、直近では37.7%と相当な高水準にある。

✔自己資本比率と純資産

日本銀行の自己資本比率は9.81%と低めだが、銀行業であれば健全な水準。銀行業は顧客から預金・有価証券を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がるため自己資本比率が低くなりやすい。純資産は2020年以降の利益急増を受けて増加傾向にあり、直近では5.83兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日本銀行の平均年収は長期的に横ばいであり、直近の2022年では平均年収814万円ほど。日本銀行法に基づいて民間企業の給与水準を勘案して決定される*3。大卒総合職・30歳でも年収650万~750万円ほど、課長職レベルで年収1,100万~1,300万円レベル。
*3:日本銀行の役職員の報酬については「行政改革の重要方針」(平成17年12月24日閣議決定)に基づき、公式ホームページにて公開されている(参考リンク)。

✔従業員数と勤続年数

日本銀行の単体従業員数は微減傾向が続いているものの、概ね3,800人ほどの組織体制。平均勤続年数は総合職男性16.7年・総合職女性13.3年となっており、銀行業としては長めの部類。人事データは極めて詳細に公表されている(参考リンク)。

総合評価

企業格付け:SSS

■業界ポジション
日本銀行法に基づき日本国の金融政策を一手に担う、わが国唯一の中央銀行。ゼロ金利政策を始めとする金融政策を通じて、日本国の物価・金融市場の安定化に取り組んでいる。2023年には歴代最長となる在任期間10年間でアベノミクスを主導した黒田総裁が退任。東京大学名誉教授の植田新総裁を迎え入れて新体制へと移行している。

■業績動向
好調。最近の株高・円安を追い風に業績は絶好調であり、経常収益・経常利益いずれも2020年から右肩上がり。改正日銀法が施行された1998年以降では最高となる業績を叩き出している。保有する国債の利息収入が安定的に利益に貢献している他、円安によって日本銀行が保有する外貨建て資産の評価益が増加。堅調な日本経済を追い風に保有するETFの分配金も増加、まさしく絶好調である。

■財務体質
鉄壁。総資産は735兆円にも達しており、圧巻の一言。そもそも日本銀行自体が通貨を発行できるため、資金繰りで困ることは理論上ありえない。政府からの独立性を保っているとはいえ日本国の根幹を支える金融機関であるから、現行政府が革命によって倒される事態でも起こらない限りは存続できて当然である。

就職格付け:SSS

■給与水準
給与水準は平均年収800万円前後。給与体系は国家公務員総合職をベンチマークしており、大卒総合職・30歳でも年収650万~750万円ほど。30代中盤に主査へと昇格すれば年収800万~1,000万円となる。給与水準においては決して傑出しているとは言えず、事実上の事務方トップである理事となっても2,100万円ほど。日銀総裁でも年収3,550万円ほど。…が、そもそも当行は給与を目当てに目指すこと自体が誤り。金融政策を通じて日本経済の安定を支えて平穏な国民生活を守る、崇高なる社会的使命を果たすために目指す組織である。

■福利厚生
国家公務員に準じており、都内一等地に独身寮・家族寮がしっかり整備されている。ただし、築年数が古い物件も多々混在しており、世間がイメージするほど贅沢な暮らしができるわけでもない。…が、そもそも当行は福利厚生を目当てに目指すこと自体が誤り。金融政策を通じて日本経済の安定を支えて平穏な国民生活を守る、崇高なる社会的使命を果たすために目指す組織である。

■キャリア
総合職・特定職・一般職の3職種制。総合職は金融政策・決済業務企画・リサーチなどを職域とし、特定職は決済業務・発券業務・調査業務・文書業務を職域とする。行内で順当に出世した場合にはしっかりと再就職先が確保できる点においても優れており、直近でも名だたる金融機関・民間企業に高い役職で迎え入れられる(参考リンク)。一般職は総合職・特定職のサポート役となることを期待されるものの、昇進・昇格はほとんど期待できない。かつては財務省出身者・日銀出身者が日銀総裁職に交互に就任する慣行があったが、最近では日銀出身者が連続就任することも多々。

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出典:日本銀行(決算等について)