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【勝ち組?】日本車輌製造の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

日本車輌製造は、鉄道車両・建設機械・特装車などを製造・販売する輸送機器メーカー。1896年に日本初の民間資本による車両メーカーとして創業。創業直後は大八車などを製作していたが、1918年には自社設計の蒸気機関車を完成させた。1927年には日本初となる地下鉄電車を製造し、鉄道車両メーカーとしての基礎を固めた。現代においては新幹線車両製造数で国内首位、バルクローリーや大型杭打機などでも国内トップシェアを独走。橋梁建設も手掛けており、全国3,000基以上の架橋実績がある。2008年にはJR東海が発行済み株式数の約50.1%を取得、同社の連結子会社入りを果たした。

POINT

・JR東海が筆頭株主の鉄道車両メーカー、建機や橋梁なども展開
・売上高・利益は業績悪化から回復、財務体質は最悪期から復活を遂げた
・平均年収630万円と業界中位クラスの待遇、福利厚生はそこそこ

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:61(中堅上位)

サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用実績は年間50名~60名ほど。一般知名度は極めて低いが、名古屋圏においては相当の知名度を誇るために同エリアからの志望者は少なくない。鉄道ファンからの応募は多い。
採用大学:【国公立】名古屋大学・名古屋工業大学・横浜国立大学・信州大学・静岡大学・三重大学・岐阜大学・富山大学・愛知県立大学・豊橋技術科学大学など、【私立】早稲田大学・明治大学・青山学院大学・関西大学・南山大学・金城学院大学・芝浦工業大学・東京工科大学(出典:MONOWEB

業績動向

✔売上高と営業利益

日本車輌製造の売上高は2013年の1,243億円をピークにやや後退、過去8年間は880億~990億円レベルでの横ばい推移が続いている*1。営業利益は2015年頃までは赤字が続いた*2が、2017年以降は45億~90億円ほどでの推移が続いている。
*1:2010年代前半まではアメリカ・カナダ・ベネズエラ・台湾など海外向け鉄道車両の積極受注により売上高を拡大したことで売上高1,000億円超えを達成。しかし、後述する業績悪化の元凶となったことで2010年代後半からは海外事業を縮小したため売上高は減少。
*2:当社は2012年にカリフォルニア州交通局から鉄道車両130両を受注したが、開発・製造が難航したことで2014年~2016年にかけて業績悪化に陥った。2018年には開発自体を断念してアメリカ市場から撤退するに至った(参考リンク)。

✔セグメント別の状況

日本車輌製造は、鉄道車両事業(電車・気動車などの製造販売)、輸送用機器・鉄構事業(貨車・タンクローリ・大型陸上車両などの製造販売、道路橋・鉄道橋の製造架設)、建設機械事業(杭打機・全回転チュービング装置などの製造販売)、エンジニアリング事業(鉄道事業者向け機械設備・営農プラントなど)、その他事業、の5事業を有する。
当社は鉄道車両メーカーとして知られるが、売上高に占める鉄道車両事業の割合は約46%ほどに留まる。橋梁・タンクローリ・杭打機など、鉄道車両以外の分野の売上高もかなりの存在感。とりわけ建設機械事業は利益率が高く、全社利益への貢献度においては鉄道車両事業以上に高くなっている。

✔最終利益と利益率

日本車輌製造の純利益は2017年まで海外事業の失敗による損失計上が相次いだが、2018年からは黒字転換。同年以降は純利益30億~90億円ほどで推移している。営業利益率は4%~7%ほどで長期的に推移しており、機械・鉄道業界としてはやや高めの水準となっている。

✔自己資本比率と純資産

日本車輌製造の自己資本比率は2017年には16.4%と低水準に陥っていたが、同年以降は右肩上がりの増加傾向が続いている。2024年は自己資本比率49.3%に到達しており、良好な水準にまでの回復を果たしたと評価できる。純資産は2017年から増加傾向が続いており、2024年には646億円に到達している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日本車輌製造の平均年収は600万~640万円前後で推移しており、業界中位クラスの給与水準となっている。大卒総合職の場合、30歳で年収450万~550万円、課長職レベルで780万~880万円ほど。平均年齢は39.1歳(2024年)と、輸送機器メーカーとしてはやや若め。

✔従業員数と勤続年数

日本車輌製造の単体従業員数は2021年まで増加傾向が続いていたが、同年以降はやや減少傾向。2024年は2,158人ほどの組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2,263人ほど。平均勤続年数は14.9年(2023年)となっており、大手企業の標準的な水準。

総合評価

企業格付け:CCC

JR東海グループの鉄道車両メーカーであり、新幹線車両の製造実績では国内首位級。国内におけるライバルとしては、日立製作所・川崎車両・総合車両製作所・近畿車両などが挙げられる。かつて2010年にアメリカ・イリノイ州に鉄道車両工場を新設して海外市場への積極攻勢を仕掛けたものの、カリフォルニア州から受注した新型鉄道車両の開発・製造に失敗。仲介役であった住友商事などに解決金372億円を支払って開発自体を断念する屈辱的な事態に陥った。2018年にはアメリカの新設工場も売却して、国内市場へと再び注力する道を選択した経緯がある。業績においては2017年まで赤字決算が続いたが、海外市場における混乱が落ち着いた2018年から安定化。、売上高こそ海外市場からの撤退で減少したものの、利益を安定的に確保できる体質へと立ち直った。財務体質においては自己資本比率16.4%(2017年)から49.3%(2024年)まで回復。2021年にテレビ東京が当社を取材した「知られざるガリバー~エクセレントカンパニーファイル~(日本車輌製造)」は必見。

就職格付け:CC

日系鉄道車両メーカーとしては最も歴史が古い企業であり、日本初の地下鉄電車やモノレールなどを製造してきた業界の名門。JR東海の連結子会社として同社と蜜月の関係であるが、JRグループ全体との距離が近いわけではない。JR東日本は完全子会社の総合車両製作所と蜜月関係にあり、JR西日本は資本業務提携関係にある近畿車輛をパートナーとしている。これ以外にも、鉄道車両で世界シェア4位の日立製作所や、川崎重工業を後ろ盾とする川崎車両もライバルであり、日本国内だけでも競争環境は意外と激しい。給与水準においては平均年収は630万円(2024年)と業界中位級。大卒総合職の場合、30歳で年収450万~550万円、課長職レベルで780万~880万円ほど。年功序列を重視した給与制度であるため、給与を上げるためには勤続年数を重ねる必要がある。福利厚生においては企業規模なりの制度が整っており、名古屋市内・豊川市内に社員寮・社宅が整備されている。社員寮は格安で入居できるため生活コストは節約できるが、築年数が古めであるため期待しすぎは禁物。有給休暇が初年度から20日付与される点は有難いか。

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出典:日本車輌製造株式会社(有価証券報告書)