企業概要
日本ハムは、ハム・ソーセージ・加工食品などを主力とする大手食品メーカー。1942年に大社義規が徳島県で食肉加工場として創業。終戦後の食肉ブームを追い風に急成長を果たし、1966年には皮なしウインナー『ウイニー』がヒット。1969年には顧客層である主婦を集めて『奥様重役会』を発足、顧客目線での商品開発を加速させた。1973年には国内シェア首位に到達、プロ野球チーム『日本ハムファイターズ』を発足。現在では国内食肉業界で首位、自社農場150か所以上を有する食品業界の大手企業の一角である。
・食肉業界首位で国内シェア20%を誇る大手企業、プロ野球チームも保有
・売上高・利益いずれも横ばいで成長性は薄い、財務体質は健全
・平均年収822万円で福利厚生も良好、借上げ社宅制度は最長10年間
就職偏差値
✔就職偏差値:68(上位)
かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。給与・待遇は大手企業の中でも上位クラス、満足度の高い人生を安定して歩むことができる可能性が高い。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関
食品メーカーのトップ企業・味の素よりは倍率・難易度は一歩下がる…が、さすがに食肉業界のトップ企業だけに倍率は高い。総合職の採用人数は年間30人~40人と知名度の割に少なく、やはり難関企業である。
採用大学:【国公立】一橋大学・東京工業大学・大阪大学・神戸大学・筑波大学・岩手大学など、【私立】早稲田大学・関西学院大学中央大学・東京農業大学・日本大学・専修大学など(出典:マイナビ2025)
業績動向
✔売上高と事業利益
日本ハムの売上高は長期的に1.1兆~1.3兆円レベルで横ばい。食品メーカーとしては味の素に続く業界2位に位置する。事業利益*1は2022年に256億円まで後退*2したが、2023年には海外事業の好調によって449億円まで回復している。
*1:当社は2019年から国際会計基準IFRSを導入、事業利益の算出は同年以降のみとなっている。
*2:2022年の利益後退は、①世界的な原材料価格・燃料費の高騰によるコスト増加、②主力ブランドの値上げ対応による販売数量の減少、が主要因。
✔セグメント別の状況
日本ハムは、加工事業(国内におけるハム・ソーセージ・加工食品・乳製品の製造・販売)、食肉事業(国内における牛・豚・鶏の生産飼育、食肉生産・販売など)、海外事業(海外子会社におけるハム・ソーセージ・加工食品・食肉の製造・販売)、その他事業(新規事業・ボールパークなど)、の4事業を有する。
当社は生産飼育~処理~加工~物流~販売までを自社一環で網羅するビジネスモデルを構築。国内外に150か所以上の自社農場を有することで安定した生産能力を確保している。主力のハム・ソーセージ以外にも、水産品・乳製品・調味料・チーズ・健康食品なども幅広く手掛けている。
✔最終利益と利益率
日本ハムの純利益は長期的に160億~370億円ほどで推移しているが、2021年のみ純利益480億円に到達*3。営業利益率は2022年を除けば2%~4%ほどで横ばい。
*3:2021年の純利益の増加は、水産事業を手掛けていた子会社・マリンフーズを双日に事業売却したことによる特別利益88億円が加わった影響。
✔自己資本比率と純資産
日本ハムの自己資本比率は長期的に50%以上で安定的、直近の2023年は55%となっている。純資産は長期的な増加傾向にあり、直近では純資産5,275億円に到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
日本ハムの平均年収は2017年に870万円に達したが、直近の2023年には822万円に後退*4。大卒総合職ならば30歳で年収650~780万円、課長職レベルは1,100万~1,250万円ほど。
*4:当社の平均年収は食品業界でも最上位クラスだが、これは製造部門・販売部門などを子会社化していることが主要因。当社本体の従業員の殆どが、グループ管理・事業企画などに従事するホワイトカラーであるため平均年収が高くなりやすい。
✔従業員数と勤続年数
日本ハムの単体従業員数は2019年から1,250人~1,330人ほどで横ばい。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.54万人ほど。平均勤続年数は17年~18年ほどで推移しており、従業員の定着はかなり良好である。
総合評価
企業格付け:BB
食品業界において味の素に次いで業界2位の規模を誇る巨人であり、食肉業界においては1973年から約40年以上に渡って業界首位に君臨し続ける巨大企業。国内外150カ所以上の自社農場を保有しており、牛・豚・鶏いずれも日本国内へと安定供給できる強靭なサプライチェーンを構築している。売上高は長年に渡って1.1兆円~1.3兆円で横ばいであるが、これは国内市場の少子高齢化・人口減少による逆風が大。当社は世界15ヵ国以上に進出しているものの、売上高の約80%は依然として国内市場によるものであるために逆風は強い。財務体質においては自己資本比率55%レベルを安定的に確保できており、多少の業績悪化であればまったく問題ない水準をしっかりと維持できている。強いて言えば、業界2位の伊藤ハム米久HDは売上高9,556億円(2023年)まで迫っており、圧倒的な業界首位の座を守り抜けるかが問われる。
就職格付け:BB
日本国内における食肉販売シェア20%以上を確保する食肉メーカーであり、プロ野球チーム『北海道日本ハムファイターズ』を保有する球団オーナー企業。代表的製品には『シャウエッセン』『ウイニー』の他、お中元ギフトを中心とした贈答用高級ハムなども多数。給与水準は食品メーカーとしてはトップクラスであり、平均年収は長年に渡って800万円以上で安定的。直近の2023年には平均年収822万円となっており、大卒総合職・30歳で年収650~780万円、課長職レベルとなれば1,100万~1,250万円ほどには達する。ただし当社は製造・販売部門を子会社化しており、この平均年収は本体の従業員1,200人程度の平均値であることには注意が必要(グループ全体の1.54万人のうちの1,200人の平均年収である)。福利厚生もかなり恵まれており、独身寮は光熱費込み5,000円/月、借上げ社宅制度では最長10年間に渡って家賃額の80%が会社負担となる。年間休日日数も126日と大手メーカー並みに多く、さすがに食肉業界の頂点に君臨する企業であるだけの待遇が用意されている。