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【勝ち組?】大和証券の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

大和証券グループ本社は、国内第2位の大手証券会社グループ。大和証券を中心として大和総研・大和アセットマネジメント・大和ネクスト銀行などが揃い、国内五大証券会社の一角を占める。発祥は1902年創業の藤本ビルブローカー銀行であり、1943年に日本信託銀行と合併して大和證券となった。国内支店数100以上・従業員数1万3千人を誇り、預かり資産額は50兆円を優に上回る。

POINT

・野村證券に続く証券業界2位、創業1902年の老舗証券会社
・最近は業績拡大の傾向、株式市場の活況による投資ブームが追い風
・総合職は30歳で年収650万~900万円、営業成績で年収が大きく変化

✔就職偏差値:エキスパート職=78(頂点) 総合職=66(上位)

エキスパート職:サラリーマン社会の頂点。誰もが羨望する圧倒的な待遇・地位が約束されるスーパーエリート。ただし、超人的な能力・努力・運がすべて必要。
総合職:かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業として上位級の待遇を得られる。入社するには相応の能力が必要だが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。

詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:中堅級~最難関級

新卒採用数は年間400人前後と門戸は広いが、うちエキスパート職は5名のみ。総合職は人間性を重視、エキスパートは博士課程出身者など高度専門性を重視。
採用大学:【国公立】東京大学・一橋大学・大阪大学・神戸大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学・同志社大学・青山学院大学など(出典:ダイヤモンドオンライン

業績動向

✔営業収益と経常利益

大和証券グループの営業収益は2021年から増加傾向に転換、2023年には1.27兆円まで急伸*1。経常利益は700億~1,700億円のレンジで安定的に推移している。
*1:営業収益が急伸している理由は、①世界的な株高を受けた投資意欲の活況による顧客取引高の増加、②従来の手数料型ビジネスから資産管理型ビジネスへの転換の成功、③ホールセール部門におけるM&A関連収益の増加、など。

✔セグメント別の状況

大和証券グループはリテール事業(個人・法人向け資産運用コンサルティング)、ホールセール事業(株式・債券・為替・デリバティブ・M&A・IPO)、アセットマネジメント事業(資産運用・投資信託)、投資事業(不動産投資・ベンチャー投資・事業再生ほか)の4事業を有する。
売上高ではリテールとホールセールが高シェアを占めるが、利益面ではリテール・ホールセール・アセットマネジメントが均衡。特定事業に依存しすぎないバランス型の利益構造は強み。

✔最終利益と利益率

大和証券グループ本社は純利益を安定的に確保しており、過去8年間は600億~1,200億円で安定的。最後に赤字転落したのは2011年である*2。自己資本利益率は4%~8%ほどで安定的に推移している。
*2:2011年は欧州債務危機と株式市場低迷によって業績が悪化して純損失394億円を計上。当社に限らず、証券会社は金融市場が混乱すると業績悪化しやすい傾向がある。

✔自己資本比率と純資産

大和証券グループ本社の自己資本比率は直近で4.8%と低いが、これは証券会社の特殊性が理由であり問題はない*3。純資産は2020年から増加傾向にあり、直近で1.79兆円に到達している。
*3:顧客から預金・有価証券を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がるためである

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

大和証券グループ本社の平均年収は直近で1,223万円と高水準だが、これは持株会社の606名のみの平均年収。事業会社の場合は大卒総合職・30歳で年収650万~900万円ほど、課長職レベルで1,200万円~1,400万円ほど。ただし、営業成績によって給与水準が大きく変動する。

✔従業員数と勤続年数

大和証券グループ本社の単体従業員数は直近で606人に過ぎず、従業員の殆どは事業会社に所属している。平均勤続年数は直近で14.7年となっているが、これは持株会社の606名のみの平均勤続年数である点には注意が必要。

総合評価

企業格付け:BBB

■業界ポジション
証券業界では野村證券に続く規模を誇る大手証券グループ。あまりにも野村證券が傑出しているため影は薄いが、日系5大証券会社における第2位の地位は盤石。個人向けビジネスは破格の手数料を武器に顧客を集めるネット証券の勃興で形勢不利とされるが、大手証券会社が対面営業をかけるのは富裕層・事業法人などがメインであるため悲観する必要はそこまでない。

■業績動向
好調。2021年以降の世界的な株高による投資ブームが業績の追い風となっており、顧客取引高が大幅に増加。当社が従前から掲げてきた資産管理型ビジネスへの移行にも成功しており、売買手数料で稼ぐ旧来型ビジネスモデルからも脱却しつつある。ファンドラップ手数料や投資信託信託報酬などの収益拡大も順調に進捗。

■財務体質
良好。自己資本比率は直近で4.8%と低いが、これは証券会社は顧客から預金・有価証券を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がる事情によるもの。連結総自己資本規制比率は22.4%と十分に健全な水準を保っている(参考リンク)。純資産は2020年から増加傾向が続いており、直近では1.79兆円(2023年)に到達している。

就職格付け:AA/BBB

■給与水準
給与水準は1,223万円と高水準だが、これは持株会社の従業員のみの平均年収。事業会社においては大卒総合職・30歳で年収650万~900万円ほど、課長職レベルで1,200万円~1,400万円ほど。30歳前後で課長代理職へと昇格すると年収900万円を超えられるため、早期に収入を上げたい場合には課長代理職への早期昇進を目指したい。

■福利厚生
良い。若手社員には独身寮・借上げ社宅が与えられ、自己負担は月額1万円以下。年収が低い時期における住宅コストの負担を大幅に抑えてくれる。結婚後も家賃補助制度により最大10万円/月までが補助される。殆どの総合職は全国約120店において定期的な転勤を強いられるため、定期的転居と家庭を両立していく苦労には理解が必要。

■キャリア
総合職・エキスパート職・カスタマーサービス職の3職種制。総合職の殆どはウェルスマネジメント部門に配属され、個人・法人向けの営業活動に従事する。大学名・性別に関わらず実力で評価が決まるため、一般職から支店長クラスまでの昇格例もザラである。営業適性があれば破格の収入を得られる反面、営業成績が振るわない場合の精神的負荷はそれなりに高い。エキスパート職は高度金融(クオンツ)部門もしくはIT部門への配属を確約され、初任給は40万円以上。証券会社特有のドサ周り営業を経験せず、本社部門へ直行できるキャリアを歩める。

■大和証券・日の出証券事件
2012年には成績の振るわない社員を”追出部屋”で退職させようとした事件が発生。営業成績が振るわなかった社員をパソコン1台とパイプ机・椅子の部屋へと追い込み、歓送迎会や部内の会議にも呼ばれず、1日100件の飛び込み営業のノルマを課されたという。組織的に特定社員を追い詰める手法については、最高裁判所から賠償命令が下されるに至っている(参考リンク)。

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出典:株式会社大和証券グループ本社(有価証券報告書)