カテゴリー
自動車部品 電子部品 電機

【勝ち組?】古河電気工業の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

古河電気工業は、自動車電装部品・光ファイバ・通信機器・電子ワイヤ・送配電用電線などを手掛ける自動車部品・非鉄金属メーカー。1884年に古河グループ源流企業である古河鉱業の溶銅所部門として創業、1920年に分離独立を果たした。横浜ゴム富士電機UACJなど、現在の古河グループの中核企業群を生みだしてきた名門企業でもある。非鉄金属・電気通信をコア技術として事業展開しており、全世界に127社以上のグループ会社を擁する。光ファイバでは米コーニングに続いて世界シェア2位を誇る他、海底電力ケーブル・発泡ポリオレフィン・ヒートパイプ式ヒートシンクなどで世界的シェア上位。

POINT

・古河グループの中核企業、光ファイバ・ワイヤハーネスで世界的大手
・売上高・利益いずれも停滞気味で苦戦、財務体質は改善が進んでいる状況
・平均年収678万円で家賃補助もないが、平均勤続年数は20年に迫る高水準

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:62(中堅上位)

大手企業の中でも中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。入社できればサラリーマンとして、かなり安定した人生が得られるだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用人数は年間100名~110名と多めだが、うち事務系採用枠は25名程度。古河グループ中核企業だが、一般知名度がそれほど高くはないため極端な高倍率にはなりにくい。
採用大学:【国公立】大阪大学・九州大学・岡山大学・静岡大学・信州大学・三重大学・電気通信大学・豊橋技術科学大学・国際教養大学など、【私立】早稲田大学・明治大学・中央大学・法政大学・南山大学・日本大学・東京理科大学・豊田工業大学・工学院大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

古河電気工業の売上高は長年に渡って8,100億~9,900億円レベルで推移していたが、2022年には売上高1兆円台を約14年ぶりに回復した状況*1。営業利益は2017年のピークから低下傾向*2にあるが、営業黒字は維持し続けている。
*1:当社は2008年に記録した売上高1.17兆円を最後に売上高が伸び悩んでおり、過去15年間は成長も衰退もない業績の横這いか続いている。
*2:2017年から営業利益が減少している原因は、①光ファイバ市場の競争激化による価格低迷、②COVID-19以降の新車生産台数の減少による自動車部品の販売減少、③スマートフォン需要の停滞による半導体製造用テープの販売縮小、などが主要因。

✔セグメント別の状況

古河電気工業は、インフラ事業(光ファイバ・光半導体デバイス・電力ケーブル・送配電部品・産業用レーザーなど)、電装エレクトロニクス事業(自動車用ワイヤハーネス・コネクタ・センサ、自動車用バッテリー・特殊金属材料など)、機能製品事業(ケーブル管路材・発泡製品・半導体製造用テープ・電解銅箔など)、サービス・開発等事業(水力発電・不動産賃貸など)、の4事業を有する。
当社は売上高の約61%を電装エレクトロニクス事業が稼いでおり、自動車用ワイヤハーネスなどの自動車部品によって売上高の半分以上を稼いでいる。利益においてはインフラ事業が2023年は赤字転落しており、電装エレクトロニクス事業・機能製品事業が全社利益を支えている状況。

✔最終利益と利益率

古河電気工業の純利益は2018年に291億円を記録したが、同年以降は減少。2020年からは純利益60億~160億円ほどで推移している。営業利益率は2018年までは4%レベルで推移していたが、2020年からは1%台での低空飛行が続いている。

✔自己資本比率と純資産

古河電気工業の自己資本比率は長年に渡って微増傾向が続いており、2023年には自己資本比率33.3%に到達。大手メーカーとしては標準的な水準である。純資産は右肩上がりで増加しており、2023年には純資産3,582億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

古河電気工業の平均年収は2019年まで720万~730万円前後の水準で推移していたが、2020年からは670万~690万円に後退している。総合職の場合、30歳で500万~600万円、課長クラスで900万~1,050万円ほどが目安。

✔従業員数と勤続年数

古河電気工業の単体従業員数は増加傾向にあり、直近の2022年には4,350人に到達。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は5.27万人ほど。平均勤続年数は19.7年前後とかなりの高水準にあり、従業員の定着は良好である。

総合評価

企業格付け:CCC

古河グループ中核4社の一角に数えられる名門企業であり、横浜ゴム富士電機UACJなどの大手企業を分社化・創業してきた歴史を持つ。住友電気工業フジクラと並んで電線御三家とも称される。業績は良くも悪くも停滞しており、売上高・利益いずれも過去10年間に渡って安定的に推移。2018年をピークに営業利益が減少傾向にあるが、COVID-19感染拡大と光ファイバ市況悪化という外部環境の逆風によるもの。2023年には光ファイバーの販売不振によってインフラ事業が赤字転落しており、利益を押し下げている。電線御三家において格下だったフジクラに2021年から営業利益・純利益で抜き去られており、当社の苦戦が際立つ。財務体質は自己資本比率33.3%(2023年)と大手メーカーとしては凡庸だが、2008年の自己資本比率16.8%から地道な改善を進めてきたことは評価できる。主力製品の自動車用ワイヤハーネスは自動車に搭載されるあらゆる電装品への電源供給・情報伝送を担う部品であり、自動車の血管や神経とも例えられる。電気自動車・ハイブリッド車の普及が追い風となる重要部品であり、将来性は見込めるか。

就職格付け:CC

光ファイバ・自動車用ワイヤハーネスを主力製品とする古河グループの自動車部品・非鉄金属メーカー。かつて古河グループ源流企業である古河鉱業(現・古河機械金属)の一部門であったが、同社から分離独立してから100年以上も経過している。給与水準は平常時であれば平均年収730万円レベルであるが、直近数年は利益率の低迷により平均年収680万円ほどへ後退。電線御三家において住友電気工業(平均年収820万円)・フジクラ(平均年収845万円)と比べると、かなりの大差がついてしまった状況である。福利厚生は財閥系大手メーカーのイメージに反して凡庸であり特筆するポイントはない。独身寮・社宅は格安で入居できるが、家賃補助制度はなし。他従業員との共同生活が苦でなければ問題にならないが、プライベート空間を確保したい場合には全額自己負担となるのは痛いか。しかしながら、平均勤続年数は19.7年とかなりの高水準である為、給与水準・福利厚生制度には現れない居心地の良さがある模様。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!

出典:古河電気工業株式会社(有価証券報告書)