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海運会社

NSユナイテッド海運の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

NSユナイテッド海運はは、日本製鉄グループに属する中堅海運会社。戦後の財閥解体をうけて1950年に日本製鐵の海運部門が分離独立して創業。1962年に同業の東邦海運と合併、2010年に同業の日鉄海運との合併を機に現社名のNSユナイテッド海運へ社名変更。創業以来、日本製鉄をはじめとする鉄鋼会社との取引が中心であるため、鉄鉱石・石炭などを輸送する撒積船を船隊の主力とする。2019年には日本初となる40万トン級の鉱石運搬船を就役させた。日本製鉄グループに属しながらも、第2位の大株主が日本郵船である関係から日本郵船グループにも属している。

POINT

1.日本製鉄G・日本郵船Gに属する中堅海運会社、ばら積み船が主力
2.売上高・利益いずれも2021年から急増、財務体質も大いに健全化
3.平常時は平均年収880万円前後、業績好調なら1,000万円以上

業績動向

✔売上高と営業利益

NSユナイテッド海運の売上高は長年に渡って1,200億~1,500億円のレンジで推移してきたが、2021年以降は売上高が急増*1。2022年には過去最高となる売上高2,508億円に到達。営業利益は60億~80億円ほどで安定していたが、2021年以降は大幅な増益*2。
*1:海運業界は極めて市況変動が激しい業界であり、市況高騰と低迷を歴史的に繰り返している特徴がある。2020年以降には歴史的な海運バブルが10年ぶりに到来、海運各社は大幅な増収増益を遂げた。
*2:2021年はCOVID-19感染拡大によるサプライチェーンの混乱で海運市況が大幅高騰。NSユナイテッド海運が主力とするばら積み船の運賃も市況改善。大口顧客の日本製鉄の業績好転も追い風に。

✔セグメント別の状況

NSユナイテッド海運は外航海運事業(ばら積み船による鉄鉱石・石炭・鉄鋼製品の輸送、タンカーによるLPG輸送、船舶貸渡など)、内航海運事業(国内水域でのばら積み船による鉄鉱石・石炭・鉄鋼製品の輸送、国内水域でのタンカーによるLPG輸送)の2事業を有する。
NSユナイテッド海運は外航海運・内航海運いずれも手掛けるが、売上高の約89%を外航海運事業で稼いでいる。外航海運事業の運航船舶127隻のうち80隻前後をばら積み船が占めており、鉄鉱石・石炭などの輸送を主力としている。日本製鉄などの大口顧客との長期輸送契約を安定的な収益源としつつ、運賃市況が高騰した際にはスポット契約での受注を得ている。

✔最終利益と利益率

NSユナイテッド海運の純利益は2020年まで30億~60億円ほどで推移していたが、2021年以降は急増。2022年には純利益276億円に到達して過去最高を更新。営業利益率は平常時であれば4%前後で推移しているが、業績好調時には10%を上回る。

✔自己資本比率と純資産

NSユナイテッド海運の自己資本比率は30%台での推移が続いていたが、2021年以降は業績好調で増加傾向。直近の2022年には49.8%に到達、大いに健全な水準。純資産は増加傾向が続いており、直近の2022年には純資産1,376億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

NSユナイテッド海運の平均年収は850~900万円前後での推移が続いているが、直近の2022年は業績好調により1,073万円へと急増。大卒総合職であれば30代で500~700万円ほど、大手海運会社と比べると劣るが、他業界と比べると高めの給与水準。

✔従業員数と勤続年数

NSユナイテッド海運の従業員数は232人に過ぎず、少数精鋭の組織となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は657人ほど。平均勤続年数は13.8年前後であり、大手企業としてはやや短めの水準。

総合評価

企業格付け:BBB

日本製鉄グループの中堅海運会社。日系海運会社としては売上高で大手海運3社に続く4位に位置しているが、業界3位の川崎汽船が売上高9,426億円であるため圧倒的な差はある。業績が不安定になりがちな海運会社でありながら、業績はそこそこ安定的。営業利益・純利益を安定的に確保できている点は海運業界では稀有な長所。海運大手3社が急激な業績悪化に見舞われた2010年頃の海運大不況期においても、NSユナイテッド海運は2011年に純損失9億円を計上したのみであった。財務体質においても安定的であり、最近の業績好調で2022年には自己資本比率49.8%にまで増加。海運業界は好況・不況が極端に分かれる業界事情があるため、安定的な財務基盤を確保したことは将来的な企業存続にとって大きな追い風となるだろう。

就職格付け:BBB

かつて日本製鉄の海運部門であったが、戦後の財閥解体により分離独立させられた企業。同業の中堅海運会社との合併を経て、現代では再び日本製鉄グループへと回帰している。給与水準は平均年収880万円台前後と高めであり、業績好調なら平均年収1,000万円を越える。海運業自体が平均年収が高めの業界であるため、大手3社に及ばない中堅海運会社であっても他業界の大手並みの給与を得られる。福利厚生は特筆する点はないが、独身寮が世田谷区に所在しているため利便性は悪くない。ただし家賃補助制度はないため、独身寮から離れた場合には自己負担での生活となる。大卒総合職は入社10年以内に約半数が海外駐在を経験する為、海外生活への覚悟は入社にあたってはマスト。日系海運会社で4位の規模感の割には一般社会における知名度は壊滅的に低いため、ネームバリューがない点だけは惜しい。

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