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不動産

【勝ち組?】京阪神ビルディングの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

京阪神ビルディングは、京阪神地域を地盤にオフィスビル・データセンタービル・商業施設・物流施設などを展開する不動産会社。1948年に阪神競馬場・ウインズの管理運営を主力事業として創業。当初は京阪神急行電鉄(現・阪急電鉄)の子会社であったが、1970年に住友銀行グループへ譲渡。現在は三井住友銀行が大株主に名を連ねる銀行系不動産会社である。旗艦物件には京阪神御堂筋ビル・京阪神淀屋橋ビルなどがあり、関西圏オフィスビル市場では大きな存在感を放っている。2023年における保有物件数は全27棟。

POINT

・京阪神地域を地盤にオフィスビルなどを展開する中堅不動産会社
・売上高・利益いずれも安定的、利益率・財務体質もかなり優良
・平均年収1,116万円で在阪企業トップ級、ただし採用人数が極めて少ない

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:69(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

従業員数が100名に満たない企業であるため、採用人数は年間0~3人と極端に少ない。総合職の出身大学は意外にもトップレベル大学は少なく、恵まれた待遇の割には穴場となっている。
採用大学:【国公立】神戸大学・大阪公立大学など、【私立】同志社大学・中央大学・関西学院大学・関西大学・立命館大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

京阪神ビルディングの売上高は長年に渡って140億~150億円規模で推移していたが、2021年から増加傾向に転換*1。直近の2023年には過去最高となる売上高193億円に到達。営業利益は50億円レベルで推移しており、景気後退局面にも安定した利益確保ができている。
*1:2021年から売上高が増加した理由は、新鋭物件の竣工ラッシュである。2020年には東京都・虎ノ門駅から徒歩2分の好立地に京阪神虎ノ門ビルが新たに竣工、2021年には都市型データセンターの京阪神OBPビルが竣工。

✔セグメント別の状況

京阪神ビルディングは土地建物賃貸事業(オフィスビル・データセンタービル・ウインズ・商業施設・物流施設の建設・賃貸)のみの単一事業会社である。
当社の主力事業は自社所有物件を建設して賃貸する不動産賃貸業である。2023年における保有物件は全27棟(オフィスビル8棟・データセンター8棟・ウインズビル4棟・商業施設7棟)となっている。阪神競馬場の管理運営会社として創業した歴史的経緯から、現在においてもウインズビル(日本中央競馬会が主催する競馬レースの投票券を競馬場外で販売する施設)も運営している。

✔最終利益と利益率

京阪神ビルディングの純利益は長年に渡って30億~40億円ほどの水準で安定的。2020年前後は純利益が急増したが、これは一過性の要因による*2。営業利益率は28~35%の高水準で安定推移している。
*2:2020年には純利益80億円に到達したが、これはダイキン工業株を部分売却したことが主要因。大阪地盤の上場企業との関係円滑化の為、ダイキン工業・きんでん大和ハウス工業・レンゴー・ニチハ・能美防災・三精テクノロジーズなどと株式を相互保有してきた経緯がある。

✔自己資本比率と純資産

京阪神ビルディングの自己資本比率は直近で44.9%と高水準*3。純資産は緩やかな増加傾向にあり、直近の2023年には748億円に到達している。高利益体質のみならず堅牢な財務体質をも両立している。
*3:京阪神ビルディングは大手総合デベロッパーと比較すると自己資本比率が著しく高い。巨額投資を長期借入金で賄う大手総合デベロッパーと異なり、自社物件の賃貸に特化した業態であるが故。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

京阪神ビルディングの平均年収は2018年までは平均年収800万円台であったが、同年以降は急増傾向。直近の2023年には平均年収1,116万円となっている。総合職は30歳前後で年収700万~830万円ほど、課長職レベルで年収1,300万~1,500万円が目安。平均年齢が48歳程度での平均年収ではあるが、在阪企業としては上位級。

✔従業員数と勤続年数

京阪神ビルディングの単体従業員数は2021年から急増傾向にあるが、直近でも60人ほどの少数精鋭の組織体制となっている。平均勤続年数は直近でも9.3年となっており、人材の流動性が高い不動産業の企業としてもやや短め。

総合評価

企業格付け:AA

京阪神地域に地盤をもつ中堅不動産会社。創業当時は競馬場運営に特化した企業であったが、1950年代からオフィスビル・商業施設など多角化を推進。現在では大阪市内でもオフィスビル需要が強い御堂筋・淀屋橋などに中規模オフィスビルを多数展開。1990年代からデータセンター事業にも進出しており、大阪府内に8棟のデータセンタービルを保有している。業績は売上高・利益いずれも極めて安定的かつ、2021年からは新鋭物件の竣工ラッシュにより増加傾向が続いている。COVID-19の感染拡大によるリモートワークの普及でオフィスビル需要が冷えた2020年にも空室率を超低水準で抑制することに成功。保有物件の競争力が高いが故に、空室率を抑えて高い利益率を維持することができていると評価できるだろう。財務体質も負債が増えがちな不動産会社でありながら自己資本比率45%以上を確保しており、かなりの堅実志向となっている。

就職格付け:A

関西圏特化・BtoB特化の不動産会社ゆえに一般知名度は絶望的に低く、業界人・投資家ほどにしか知名度がない。業界においても売上高190億円規模ゆえに中堅企業であり、良くも悪くも関西ローカルの中堅不動産会社というイメージが強い。が、業績と財務体質は非常に堅実であり、まさしく隠れ優良企業の一社。平均年収は2018年頃まで800万円台であったが、それでも在阪企業の代表格であるパナソニックダイキン工業などと互角級であった。そのうえ、現在では平均年収1,116万円(2023年)に到達しており、在阪企業としてトップクラスの給与水準となっている。東京の大手不動産デベロッパーには敵わないが、大阪であれば居住費・物価いずれも首都圏よりも低いため実質生活レベルにおける優位性が高い。とはいえ、僅か50人規模の超少数精鋭の組織であるが故に、新卒採用・中途採用いずれも極めて狭き門。採用人数は毎年0人~3人ほどと少なく、入社難易度の高さが最大のネックとなっている。

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出典:京阪神ビルディング株式会社(有価証券報告書)