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【勝ち組?】三菱倉庫の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

三菱倉庫は、三菱グループに属する倉庫業・物流業・不動産業を主力とする大手物流会社。1887年に三菱為替店の倉庫業務を継承して創業、1918年に現社名の三菱倉庫へ社名変更。顧客から預かった物品を必要な時に必要なだけ供給する倉庫業を中心としつつ、物流ルート策定・税関申請・貨物輸送などロジスティクス全般に事業展開。三菱グループでも最古参の企業という歴史的経緯から優良不動産を多数保有、横浜ベイクォーターや日本橋ダイヤビルディングなど延べ50棟以上を保有。

POINT

・三菱G最古の企業の1社に数えられる物流企業、倉庫業界で首位級
・売上高・利益は安定的かつ直近はCOVID-19影響で絶好調、財務も堅い
・平均年収938万円と物流業では最上位級、入社難易度は高い

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:69(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職・エリア総合職を合算しても、採用数は年間30人~40人と非常に少ない。総合職はハイレベル大学からの採用が主だが、エリア総合職は女子大学からの採用が今なお多い。
採用大学:【国公立】京都大学・大阪大学・神戸大学・広島大学・信州大学・大阪市立大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・同志社大学・東京理科大学・フェリス女学院大学・津田塾大学・武庫川女子大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

三菱倉庫の売上高は2020年まで2,000億円レベルで安定していたが、2022年には過去最高となる3,005億円まで増加*1。同年以降は伸び悩んでいるが、売上高2,500億円以上で推移している。営業利益は2021年から増加傾向にあり、2022年には過去最高となる230億円に到達。
*1:2021年以降の三菱倉庫は世界的なサプライチェーン混乱による恩恵を享受。物流の混乱を受けて製品貯蔵の需要が急増、海上運賃・航空運賃の高騰による増収増益効果も。歴史的に得意とする医薬品輸送にCOVID-19ワクチン輸送の特需も。

✔セグメント別の状況

三菱倉庫は、物流事業(倉庫保管・荷役・陸上運送・港湾荷役・国際運送など)、不動産事業(ダイヤビルディング・横浜ベイクォーター・神戸ハーバーランドumieモザイクなど)、の2事業を有する。
三菱倉庫は売上高の約90%を物流業で稼ぐが、利益では不動産事業が約43%を支えている。三菱倉庫がかつて倉庫を構えていた不動産を活用、オフィスビル・商業施設などを多数展開している。都市部の優良不動産から得られる安定収益が業績をしっかりと下支えしている。

✔最終利益と利益率

三菱倉庫の純利益は2020年に過去最高となる392億円に急増*2、同年以降は一時下落を経つつも増加基調が続いている。営業利益率は5%〜7%と、物流業としてはかなり高めの水準かつ安定性が高い。*2:2020年の純利益には名古屋駅周辺に保有していた不動産をリニア中央新幹線の新駅開発用地としてJR東海に売却した特別利益366億円が計上されており一過性の要素が強い(参考リンク)。

✔自己資本比率と純資産

三菱倉庫の自己資本比率は長期的に60%前後で推移しており、負債に依存しすぎない事業運営ができている。安定的な利益体質を加味すれば、財務の健全性は大いに良好と評価できる。純資産は2023年に4,117億円に到達したが、2024年はやや微減。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三菱倉庫の平均年収は2021年まで800万円前後で推移していたが、2023年には938万円まで上振れ。総合職であれば、30歳で年収650万〜720万円、課長職レベルで年収1,100万〜1,300万円が目安となる。物流業・倉庫業としては最高峰の水準。平均年齢は40.5歳(2023年)と、大手企業としては標準的な水準。

✔従業員数と勤続年数

三菱倉庫の従業員数は緩やかな増加傾向が続いており、直近の2022年には1,014人に到達。平均勤続年数は2014年をピークに減少傾向が続いており、直近の2022年には15.7年に低落。

総合評価

企業格付け:BBB

三井倉庫住友倉庫と共に倉庫業界のリーディングカンパニーとして知られる企業。三菱グループにおいても最古参の企業の一角であり、本社があった江戸橋倉庫ビルは1930年代の建築物として東京都歴史的建造物として指定されている。業績においては2021年頃から売上高・利益を拡大しており、かなりの好調ぶり。COVID-19感染拡大期における物流混乱のみならず、オフィスビルを中心とした不動産市況の好調が追い風となっている。当社は戦前から倉庫業を営んできた歴史的経緯から都市部に多数の優良不動産を保有しており、これらが安定的な利益源として機能している。財務体質においても自己資本比率60%以上で安定しており、大いに健全。強いて言えば、売上高2,000億円&従業員数1,000人規模と企業規模は中堅メーカーにも及ばない小規模である点には注意。業界トップ3社に数えられる名門企業とはいえ、倉庫業界の市場規模自体がせいぜい3兆円規模に過ぎず、『小さな業界のトップ企業』という見方もできるだろう。

就職格付け:A

財閥系倉庫という立ち位置からニッチながらも底堅い人気を誇る企業。低賃金・長時間労働のイメージが色濃く残っている物流業界において数少ない安定&ホワイト企業であり、物流・ロジスティクスに関心がある求職者からは憧れの存在である。そのうえ不動産部門も強いため、不動産デベロッパーの志望者にとっても選択肢となりうる。給与水準においては2021年までは平均年収800万円であったが、2023年には平均年収938万円まで上振れ。総合職であれば、30歳で年収650万〜720万円、課長職レベルで年収1,100万〜1,300万円が目安となる。福利厚生においては家賃補助制度・独身寮など大手企業なりの制度が整備されている。独身寮はかなり手厚く、ほぼ無償で居住できるうえに光熱費も会社負担。ただし、会社規模が従業員1,000人規模と小さいため、入社はかなり狭き門。新卒採用でも年間20名程度と非常に限られるため、入社難易度は相当に高いと覚悟は必要。

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出典:三菱倉庫株式会社(有価証券報告書)