企業概要
リクルートホールディングスは、人材紹介・人材派遣・マッチング事業・ITソリューションなどを展開とする大手人材サービス会社。1960年に江副浩正が東京大学在学中に起業、1970年代には就職・転職・住宅・教育などの専門誌を展開して急成長。1988年には政財界での数々の贈収賄が発覚(リクルート事件)、1990年代にはバブル崩壊で経営危機に陥った。が、2000年代には業績回復を遂げ、2012年には米ニューヨークタイムズ社からIndeedを買収。現在では海外売上高55%を超えるグローバル企業に躍進。
・人材業界で世界3位・国内首位、海外売上高比率55%以上のグローバル企業
・売上高・利益いずれも2021年から急伸して絶好調、財務体質も優良
・30歳で年収650万~790万円ほど、人材輩出企業としても知られる
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:74(最上位)
日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関上位級
採用人数は年間100人~200人だが、年度によって採用人数の振れ幅が大きい。有名大学からの採用が多くを占めるが、特定大学に偏重せず幅広く採用している。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・一橋大学・大阪大学・名古屋大学・東北大学・筑波大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・上智大学・明治大学・中央大学・立教大学・青山学院大学・関西学院大学・関西大学・学習院大学・日本大学・明治学院大学など(出典:大学通信オンライン)
業績動向
✔売上高と営業利益
リクルートホールディングスの売上高は2020年まで2兆円レベルでの推移が続いていたが、同年以降は急増傾向に転換。2024年には過去最高となる売上高3.55兆円に到達*1。営業利益も2020年から急伸しており、2024年には過去最高となる4,905億円に到達している。
*1:2020年以降の業績急伸は、アメリカにおける採用需要の急増が主要因。COVID-19終息後の急激な経済回復に伴う採用需要の急伸に加えて、為替レートが円安で推移したことも恩恵。
✔セグメント別の状況
リクルートホールディングスは、HRテクノロジー事業(オンライン求人プラットフォーム・求人広告・採用ソリューションなど)、マッチング&ソリューション事業(リクナビ・タウンワーク・SUUMO・ホットペッパー・じゃらん・スタディサプリなど)、人材派遣事業(人材派遣サービス・リクルートスタッフィングなど)、の3事業を有する。
当社は人材紹介・派遣の大手企業として知られるが、現在においては極めて広範なマッチング・ITサービスを展開している。具体的には、住宅(SUUMO)・飲食(ホットペッパー)・旅行(じゃらん)・結婚(ゼクシィ)・自動車(カーセンサー)・学習(スタディサプリ)などが挙げられる。2000年代からは海外展開にも注力しており、特に『indeed』はアメリカにおいてトップシェアを誇る。
✔最終利益と利益率
リクルートホールディングスの純利益は2021年から増加傾向にあり、2024年には過去最高となる4,085億円に到達している。営業利益率は2021年までは7%~8%程度であったが、同年以降は10%~13%に上振れている。
✔自己資本比率と純資産
リクルートホールディングスの自己資本比率は長期的に50%前後の水準で推移しており、大いに優良な水準。負債に依存することなく業績拡大ができており、健全な成長である。純資産は2023年に2.01兆円まで増加したが、2024年には1.62兆円に後退している*2。
*2:2024年に純資産が減少した理由は、同年において自己株式の取得に約6,000億円を投入した点にある(参考リンク)。過剰な資本を削ることで資本効率の向上と株主還元の強化を図っている事情がある。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
リクルートホールディングスの平均年収は1,119万円(2023年)と高水準だが、これは持株会社の119名のみの平均年収。総合職の場合、30歳で年収650万~790万円ほど、課長職レベルで年収1,000万~1,200万円レベル。みなし残業制度により給与には月45時間分の残業代が含まれている。
✔従業員数と勤続年数
リクルートホールディングスの単体従業員数は119人(2024年)となっており、殆どの従業員は事業会社に所属している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は5.13万人ほど。平均勤続年数は5年~8年ほどで推移しており、従業員の入れ替わりは多い。
総合評価
企業格付け:AA
人材業界を代表する企業であり、業績においても業界内で断トツ首位。業界2位のパーソルホールディングスを売上高で約3倍近くまで引き離しており、他の追随を許さない。全世界を見渡しても当社を上回る人材会社は、蘭ランスタッド・瑞アデコグループの2社のみ。業績においては2021年から急増傾向にあり、売上高・利益いずれも過去最高圏で推移している。とりわけ2021年からはアメリカにおいてIndeedが大いに好調であり、為替レートの円安推移も相まって業績拡大を牽引している。財務体質においても自己資本比率58.3%(2024年)と高水準にあり、安定した利益体質を加味すれば不安要素は極めて少ない。どちらかと言えば過剰資本が課題となっており、2024年には総額6,000億円もの自社株買いを実行。手厚すぎる資本を削ることで、資本効率の向上を目指す状況となっている。
就職格付け:AA
日本人ならば就職・転職・旅行・マイホーム購入など、人生の様々なシーンでお世話になるであろう企業。人材業界の企業のイメージが強いが、本質的には”マッチング”をコアビジネスとする企業であるが故に、SUUMO・ホットペッパー・じゃらんなどを展開してきた。給与水準においては平均年収1,119万円(2023年)と高水準であるが、これはあくまでも持株会社の従業員の平均年収に過ぎない。事業会社の場合、総合職・30歳で年収650万~790万円ほど、課長職レベルで年収1,000万~1,200万円には達する。ただし、実力次第で早々に課長職レベルに出世できるため、年収1,000万円を若くして目指せる企業である。優秀なビジネス人材を輩出してきた企業としても知られ、同社出身者の経営者・起業家が非常に多いことでも知られる(通称・元リクルート)。マッタリ高給や終身雇用を期待する場合にはまったく向かないが、将来的にビジネス世界で名を上げたい野心家にはお勧めできる企業であろう。