カテゴリー
電機メーカー

テルモの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

テルモは、カテーテル・人工心肺装置・人工血管・注射筒・血糖測定システムなどを製造する大手医療機器メーカー。1921年に北里柴三郎らが体温計国産化を目指して創業。使い切り注射器や体温計など数々の製品の国産化に成功、1970年代には海外市場にも日本製医療機器の輸出を開始。現在では心臓・血液分野において世界的なシェアを有しており、世界160ヶ国以上で事業展開。日系医療機器メーカーとしてトップクラスの規模を誇る。

POINT

1.日系医療機器メーカーでは首位級、カテーテルで世界的な存在感
2.売上高の成長が続いており利益安定、財務体質も極めて良好
3.平均年収765万円で業界上位級、人事制度改定で脱年功序列を模索

業績動向

✔売上高と営業利益

テルモの売上高は長年に渡って緩やかな成長が続いており、2022年には8,202億円に到達して過去最高を更新*1。営業利益は980億~1,100億円レベルで安定的に推移しており、景気後退局面にも利益をしっかりと確保。
*1:最近のテルモは世界的に底堅いカテーテル需要に支えられて業績が伸長。カテーテル分野の最大市場であるアメリカの需要拡大がテルモの業績を底支えしている。

✔セグメント別の状況

テルモは、心臓血液カンパニー(カテーテル・人工心肺装置・人工血管など)、メディカルケアカンパニー(注射筒・輸血ポンプ・血糖測定システム・電子血圧計・製剤製造受託など)、血液・細胞テクノロジーカンパニー事業(血液バッグ・成分採血システム・細胞増殖システムなど)、の3事業を有する。
テルモは家庭用・業務用を問わず多種多様な医療機器を展開するが、心臓・血液分野における競争力が極めて高い。売上高・利益いずれも心臓・血液分野が大半を占めており、テルモの業績を支えているのは心臓血液カンパニーの存在と断言できる。

✔最終利益と利益率

テルモの純利益は2017年に過去最高となる913億円を記録した後、770億~890億円ほどの水準で横這い。営業利益率は2018年をピークにやや下落傾向だが、それでも営業利益率14~17%の高水準をキープしている。

✔自己資本比率と純資産

テルモの自己資本比率は緩やかな増加傾向が続いており、2022年には69.3%台に到達。利益が安定しているのみならず、財務体質も極めて良好である。純資産も長期的な増加傾向が続いており、直近の2022年には1.11兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

テルモの平均年収は長年に渡って720万~760万円ほどの水準で安定的に推移。医療機器メーカーとしては上位クラスだが、高い利益率の割には普通の水準。大卒総合職は30歳で550万~680万円、課長職レベルで1,000万~1,100万円ほどが目安。

✔従業員数と勤続年数

テルモの単体従業員数は2017年頃から増加傾向にあり、直近では5,400人ほどの規模感。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.92万人ほど。平均勤続年数は直近で16.3年と大手企業の標準的な水準。

総合評価

企業格付け:BBB

日系医療機器メーカーとしては最大規模の1社であり、売上高において業界首位のオリンパスと互角クラス。体温計などの身近な医療機器のイメージが強いが、売上高の約60%を心臓血液カンパニーで稼ぐ程には高度医療機器に強い。業績は極めて堅調であり、売上高は過去最高を更新中。ただし利益はいまいち伸び悩んでおり、最大市場である米国におけるインフレが販売費・物流費を押し上げている点がやや辛い。そうはいっても、営業利益率14%とかなりの高利益率を依然として誇るため特段の問題にはならない。財務体質も自己資本比率70%に迫る程には優良であり、純資産も1兆円以上と盤石。強いて言えば、利益の約80%を心臓血液カンパニーが稼いでいるため、同事業が失速した場合には一気に業績が揺らぐ危険があることだろうか。

就職格付け:BBB

北里柴三郎が発起人となり創業した医療機器における古参名門企業であるため、業界最大手のオリンパス以上に医療機器メーカーとしての知名度は高い。この手の医療機器メーカーは一般知名度が低くなりがちだが、テルモはBtoC製品にも強いため知名度において物足りなさを感じることはないだろう。給与水準はそれほど傑出しておらず平均年収は765万円ほど、同業のオリンパスが平均年収900万円を上回ることを思うとやや物足りなさを感じるか。福利厚生においても意外と普通であり、家賃補助制度は2万~最大6万円/月ほど。企業としての業績は卓越しているとはいえ、従業員の待遇に還元されている印象はあまりない。2022年に人事制度が大幅改定され、若手の抜擢人事が可能に。以前までは課長クラスへの昇進は40代以降が中心であったが、20代からでも課長クラスへの登用を可能とした。年功序列制度の転換を強く模索しているため、実力主義が浸透する可能性も。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!