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【勝ち組?】ヤクルト本社の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

ヤクルト本社は、乳製品・清涼飲料・食品・化粧品・医薬品などを展開する大手飲料メーカー。1930年に代田稔が乳酸菌シロタ株の培養に成功、1935年に乳酸菌飲料『ヤクルト』の製造販売を開始した。1960年代からは台湾を皮切りに海外諸国へ次々と進出。現在では世界40ヶ国で事業展開するグローバル企業であり、全世界で年間3,000万本以上の乳製品を販売している。1970年には産経新聞からプロ野球球団を買収、現在まで『東京ヤクルトスワローズ』として経営権を掌握する。

POINT

・乳酸菌飲料で断トツ首位、世界40ヶ国以上に展開するグローバル企業
・売上高は増加傾向で利益は高位安定、財務体質も極めて良好
・平均年収838万円だが年功序列色が強め、福利厚生はそれなりに良好

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:69(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職の採用人数は年間40名~80名と企業規模なりだが、超有名企業ゆえに倍率が高め。地方支社での採用枠は入社しやすいが、本社採用とは待遇が異なるので注意。
採用大学:【国公立】京都大学・名古屋大学・九州大学・北海道大学・広島大学・横浜国立大学・静岡大学・名古屋工業大学・大阪公立大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・同志社大学・明治大学・立教大学・立命館大学・日本大学・東京理科大学・順天堂大学・東京薬科大学など(出典:マイナビ2027

業績動向

✔売上高と営業利益

ヤクルト本社の売上高は2021年まで3,800億~4,150億円ほどで安定していたが、同年以降は増加傾向に転換。2023年には過去最高となる売上高5,030億円に到達している*1。営業利益は2022年に過去最高となる660億円に到達したが、同年以降はやや減少。
*1:2022年から売上高・利益が増加した理由は、①日本市場での『ヤクルト1000』の大ヒット、②為替レートの円安推移による海外事業の増収、が主要因。海外事業は原材料費の高騰でやや減益に沈んだが、国内市場での増益がカバーした。『ヤクルト1000』は単価130円(税別)と、従来品の2倍以上の価格であるため業績貢献が大きい。

✔セグメント別の状況

ヤクルト本社は、日本事業(乳製品・麺類・清涼飲料の製造販売)、米州事業(乳製品の製造・販売)、アジア・オセアニア事業(乳製品の製造・販売)、ヨーロッパ事業(乳製品の製造・販売)、その他事業(化粧品・抗がん剤の製造・販売、プロ野球球団『東京ヤクルトスワローズ』の運営)、の5事業を有する。
当社は世界40ヶ国以上に事業展開するグローバル企業であり、現在では売上高の約52%を海外市場で稼ぐまでに至っている。とりわけアジア地域では大きな成功を収めており、売上高の約26%を同地域で稼いでいる。インドネシアにおいては日当たり700万本を販売するほどにシェアを伸ばしており、1万人以上のヤクルトレディを現地で雇用している(参考リンク)。

✔最終利益と利益率

ヤクルト本社の純利益は長期的な微増傾向が続いており、2023年には過去最高となる510億円に到達している。景気後退局面にも純利益の変動は少なく、利益体質は大いに安定している。営業利益率は長期的に10%~13%ほどで安定しており、飲料メーカーとしてはトップクラスの利益率を誇る。

✔自己資本比率と純資産

ヤクルト本社の自己資本比率は2021年まで増加傾向にあったが、同年以降は65%~66%ほどで横ばい。利益が安定しているうえに負債依存度も低く、財務体質は極めて良好である。純資産も長期的な増加傾向が続いており、2024年には6,295億円に到達している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ヤクルト本社の平均年収は2021年まで770万~790万円ほどの水準で安定していたが、同年以降は830万~900万円レベルにに急上昇している。大卒総合職の場合、30歳で年収530万~650万円、課長職レベルで年収980万~1,150万円ほどが目安。平均年齢は41.8歳(2024年)と大手企業の標準的な水準。

✔従業員数と勤続年数

ヤクルト本社の単体従業員数は長期的に2,700人~2,870人レベルで推移している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2.92万人ほど。平均勤続年数は17.9年(2024年)と大手企業の標準的な水準を上回るが、恵まれた待遇の割には長くはない。

総合評価

企業格付け:A

乳酸菌飲料分野におけるトップ企業として知られ、同分野におけるブランド力においては業界屈指。1963年から女性販売員『ヤクルトレディ』による独自販売網を構築してきた歴史があり、大手小売企業に依存しない販売流通を実現しているのも強み。『ヤクルトレディ』からの販売については定期購入顧客の基盤も厚く、当社にとって安定的な収入源ともなっている。海外進出においても先駆者であり、海外売上高比率は約52%にも及ぶ(飲料メーカーとしてはサントリーアサヒに並ぶ高さである)。業績においては売上高・利益いずれも安定的であるうえ、2022年には『ヤクルト1000』の大ヒットで華々しい増収増益を確保。営業利益率は10%~13%で安定しており、飲料メーカーとしてはトップクラス。財務体質においても極めて健全であり、自己資本比率66.4%(2024年)と大いに高水準。事業規模においては大手飲料メーカーに及ばないが、高利益率を安定的に確保し続ける優良企業であることに疑いの余地はない。

就職格付け:BB

日本人ならば祖父母の代からお世話になってきたであろう乳酸菌飲料『ヤクルト』の製造元たる企業。説明不要の超有名企業であり、日本人ならば知らぬ者はいないだろう。給与水準においては平均年収は830万~900万円レベルと、大手飲料メーカーには若干及ばないが飲料メーカーとしては上位クラスである。大卒総合職の場合、30歳で530万~650万円、課長職レベルで980万~1,150万円ほどが目安となるだろう。強いて言えば、年功序列色が強い給与制度であるため、給与を伸ばすには勤続年数を重ねる必要がある。高い利益率を誇る割には給与水準が卓越しないのはやや惜しい。福利厚生においては大手企業なりの制度は揃うが、住宅補助は転勤者が主な対象。若手社員向けの家賃補助制度は独身者1.5万円/月・既婚者4万円/月と大手メーカーなり。企業ブランドはトップクラスに良好であるため、従業員の待遇が更に底上げされれば大人気企業に化けるだろうか。

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出典:株式会社ヤクルト本社(有価証券報告書)