企業概要
メルカリは、フリマアプリ「メルカリ」やフィンテックサービスを提供するメガベンチャー。2013年に山田進太郎が創業、設立からフリマアプリ「メルカリ」を主軸として事業展開。不用物を再利用するシェアリングエコノミーと使いやすいアプリ設計で急成長とを遂げ、現在では月間利用者数2,000万人を超える。フィンテック領域にも積極的であり、決済・融資サービスなども展開。2019年には強豪サッカーチーム・鹿島アントラーズを日本製鉄から買収、スポーツ領域にも進出した。
・元日本唯一のユニコーン企業、フリマアプリで急成長
・売上高は増加傾向だが利益は不安定、財務体質も不安定
・平均年収1,035万円とメガベンチャー首位級、福利厚生も手厚い
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:68(上位)
かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。給与・待遇は大手企業の中でも上位クラス、満足度の高い人生を安定して歩むことができる可能性が高い。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関上位級
新卒・中途採用いずれも即戦力を採用する方針。新卒であればインターンシップでの活躍度合いと提出ポートフォリオ、中途であれば前職経験が重要視される。
採用大学:非公開(出典:メルカリキャリア)
業績動向
✔売上高と営業利益
メルカリは過去8年間で売上高を10倍以上に伸ばしており、直近では1,719億円に到達。今ではメガベンチャーの雄と評される企業規模に到達している。営業利益はまったく安定しておらず、2019年に巨額赤字を計上した一方で2023年には大幅黒字を記録*1。
*1:2019年の巨額赤字は、新サービス「メルペイ」や北米事業に向けた先行投資の急増が主要因。2023年の大幅黒字は日本市場における「メルカリ」アプリの好調が主要因。
✔セグメント別の状況
メルカリは、日本事業(フリマアプリ「メルカリ」運営、フィンテック)、北米事業(北米地域におけるフリマアプリ運営)、その他事業(スポーツビジネスなど)、の3事業を有する。
日本事業における「メルカリ」の成功事例をアメリカに持ち込む挑戦を続けており、売上高に占める北米事業の割合は既に25%以上にまで達している。しかしながら、北米事業は広告宣伝費などのコストが重く、利益を確保するまでには至れていない。
✔最終利益と利益率
メルカリの純利益は長期的な赤字傾向が継続*2していたが、2021年・2023年には純利益を確保。営業利益率は2020年には▲25.3%とマイナス圏に沈んでいたが、2021年以降は上昇傾向。
*2:当社に限らず、成長フェーズにあるベンチャー企業は事業拡大に向けた先行投資を優先して将来のデファクトスタンダード化を目指すことが定石であるため黒字確保が難しい事情がある。
✔自己資本比率と純資産
メルカリの自己資本比率は2018年にIPOによって41.8%まで急増*3したが同年以降は下降傾向。直近でも自己資本比率13.8%とかなりの低水準に留まる。純資産も方向性がない不安定な推移が続いているが、直近では557億円に到達。
*3:当社は2018年に東京証券取引所に新規上場を果たしており、この際に公募による新株式発行をしたことで純資産が急増した(参考リンク)。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
メルカリの平均年収は右肩上がりでの上昇傾向が続いており、2023年には平均年収1,000万円の大台を突破してメガベンチャーにおけるトップクラスの水準に。エンジニア職・ビジネス職いずれも個々人の能力・スキルに応じた賃金設定がされ、年功序列に基づく給与設定はない。
✔従業員数と勤続年数
メルカリの単体従業員数は長期的な増加傾向にあり、直近では1,315人ほどの組織規模。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2,100人ほど。平均勤続年数は直近で3.4年と短めだが、メガベンチャーは平均勤続年数が伸びない業界であるため仕方がない。
総合評価
企業格付け:B
2020年代において最も華々しい成長を遂げたメガベンチャーの1社。2018年に東京証券取引所へ上場するまでは日本唯一のユニコーン企業と評価されており、上場後の2021年には時価総額1兆円を達成するに至った。売上高は右肩上がりでの増加が続いており、成長性は抜群。利益は不安定であるものの、2023年には営業利益170億円まで急回復を遂げている。進出から10年以上が経過している北米事業は依然として苦戦しているが、将来の成長トリガーとして諦めない姿勢を堅持。北米市場の攻略に向けて2024年には同業他社に逆行して手数料無料化を宣言。アメリカで成長を掴めるかの勝負は続く。
就職格付け:BBB
メガベンチャーとしてはトップクラスの知名度と待遇を両立しているテック業界の著名企業。平均年収は業績成長にあわせて右肩上がりで推移しており、2023年には平均年収1,000万円を突破。かつては平均年収500万円台であったが、企業としての成長を構成員たる従業員にもキッチリ還元している。ベンチャー企業には珍しく福利厚生にも力を入れており、妊活費用補助200万円/子•認可外保育所費用補助10万円/月•0歳児保育費用補助10万円/月•全社員対象死亡保険(死亡時に遺族に数千万円単位で支払い)など大企業顔負けの福利厚生が整備されている。安定した終身雇用を期待できる会社ではないが、在籍期間を通して十分以上の待遇を享受できるだろう。