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【勝ち組?】マキタの就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

マキタは、インパクトドライバ・チェンソー・グラインダ・サンダ・充電式家電などを製造販売する大手電動工具メーカー。1915年に牧田茂三郎がモーター修理業者として創業、1958年に電気カンナの開発に成功して以降は電動工具メーカーとして発展。世界180ヶ国でmakitaブランドの電動工具を販売、出荷台数の90%以上を海外生産するグローバルメーカー。現在では電動工具業界で世界シェア2位を確立、国内シェアは約60%で断トツ首位。世界中どこでも3日で修理する「修理3日体制」を標榜。

POINT

・世界180ヶ国以上で展開するグローバル電動工具メーカー、世界シェア2位
・売上高は頭打ちだが過去最高益まで急回復、完全無借金経営で財務健全
・平均年収700万円前後で福利厚生も普通、本社・工場は愛知県に集中

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:62(中堅上位)

大手企業の中でも中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。入社できればサラリーマンとして、かなり安定した人生が得られるだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:中難易度

総合職の採用数は年間140人~190人とかなり多め。メーカーとしては珍しく、事務系採用枠が約半分を占めており文系にも優しい。中部地方出身者が多い。
採用大学:【国公立】名古屋大学・九州大学・信州大学・静岡大学・信州大学・岐阜大学・三重大学・福井大学・名古屋市立大学・名古屋工業大学・豊橋技術科学大学など、【私立】青山学院大学・立命館大学・日本大学・南山大学・名城大学・芝浦工業大学・金沢工業大学など(出典:マイナビ2027

業績動向

✔売上高と営業利益

マキタの売上高は2022年まで右肩上がりの増加*1が続いていたが、同年以降は横ばい傾向。2024年は売上高7,531億円となっている*1。営業利益は2022年は282億円に急落*2したが、同年以降は回復傾向。2024年には過去最高となる営業利益1,070億円に到達している。
*1:2022年まで売上高の拡大が続いた理由は、①バッテリー式電動工具から派生した掃除機・園芸・アウトドア領域への事業拡大、②為替レートの円安推移による為替効果、など。
*2:2022年は人民元高・ユーロ安の同時進行により、中国生産品を欧州で販売する当社のビジネスモデルが逆風に。欧州事業の採算悪化により大幅減益に沈んだ。

✔セグメント別の状況

マキタは、日本事業、欧州事業(ドイツ・英国・ロシア・フランス・フィンランドなど)、北米事業(アメリカ・カナダなど)、アジア事業(中国・タイなど)、その他事業(上記以外の国・地域)、の5事業を有する。
当社は世界180ヵ国以上で事業を展開するグローバル工具メーカーである。最大の稼ぎ頭は欧州市場であり、売上高の約49%を同市場で稼いでいる。北米市場でもそれなりのシェアを持つが、電動工具で世界シェア1位のブラック・アンド・デッカー社の御膝元であるだけに競争は激しい。

✔最終利益と利益率

マキタの純利益は2022年には人民元高・ユーロ安による為替レートの不利により大幅減益に沈んだが、同年以降は回復傾向。2024年には過去最高となる純利益793億円に到達している*3。営業利益率は2022年・2023年を除けば10%以上の水準で安定推移、大手メーカーとしてはやや高めの水準。
*3:2024年に純利益が増加した理由は、①調達コスト・物流コストの削減による採算改善、②地盤の欧州市場における景気回復、③為替レートの円安・ユーロ高による為替効果、など(参考リンク)。

✔自己資本比率と純資産

マキタの自己資本比率は長期的に70%~85%台で推移しており、負債に依存しすぎない事業運営ができている。大手メーカーとしては卓越して高い水準*4であり、安定した利益体質を加味すれば財務健全性は十分以上。純資産は右肩上がりで増加しており、2024年には9,324億円に到達。
*4:当社はサービス性向上に継続投資をすることが顧客満足の観点から重要であるとし、業績悪化した局面でもサービスに安定投資を続けられる自己資本の蓄積を重視している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

マキタの平均年収は700万円前後で推移しているが、2023年には前年の利益急減によって647万円までの後退を強いられている。大卒総合職の場合、30歳で年収480万~550万円ほど、課長職レベルで年収750万~850万円ほど。平均年齢は39.9歳(2024年)と大手企業の標準的な水準を下回る。

✔従業員数と勤続年数

マキタの単体従業員数は2022年まで緩やかな増加傾向がみられたが、同年以降は横ばい傾向。2024年は3,431人ほどの組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.76万人ほど。平均勤続年数は16.5年(2024年)と大手企業の標準的水準。

総合評価

企業格付け:CCC

日系電動工具メーカーとしては断トツ首位の規模感を誇り、優れたブランディングと製品ラインナップによりグローバルブランドへの躍進を遂げた企業。国内のライバルは京セラと工機ホールディングス(旧・日立工機)があるが、ブランド力と販売規模で他社を圧倒。業績においては、2022年までは売上高が右肩上がりで推移していたが、同年以降は売上高7,400億~7,600億円ほどで横ばい傾向。利益面では2022年に人民元高・ユーロ安によって急減益を強いられたが、2024年には過去最高益を更新するまでに立て直している。総じて当社の業績拡大を支えているのは欧州市場をはじめとする海外での躍進であり、為替レートの変動によって業績を左右される性質が強まりつつある。財務体質においては自己資本比率83.7%(2024年)と傑出した健全性を誇っており、『完全無借金経営』としても知られている。安定した利益体質を加味すれば事業継続に何ら不安はなく、多少の業績悪化であれば余裕で耐え凌げる余裕がある。

就職格付け:CCC

グローバルな電動工具メーカーであり、愛知県が誇る優良メーカーの一角。給与水準においては平均年収690万~700万円台で横ばいが続いており、大手メーカーには劣る。大卒総合職の場合、30歳で年収480万~550万円ほど、課長職レベルで年収750万~850万円ほどが目安となるだろう。強いて言えば、2022年に急減益を強いられた翌年には賞与が削られたことで平均年収647万円(2023年)に後退しているのは惜しい。高利益率・無借金経営ながらも給与水準が抑制的なうえ、業績悪化時には躊躇なく従業員の収入が落ちるのは残念(せっかく普段から財務余力を蓄えているのだから一時的な業績悪化であれば給与水準を維持して欲しいと思う社員は多いだろう)。福利厚生においては住宅手当はない点は微妙だが、結婚・転勤などを機に社宅・寮を提供する制度はある。社員食堂は1食300円~500円程度。着目すべきは本社・工場が愛知県に集中する点。本社の所在する愛知県安城市は、名古屋にも近く居住コストも安いため平均年収の低さは物価の安さでカバーできるだろうか。2000年から20年で株価20倍を達成した為、持株会を地道に続けていた社員はひと財産を築いた筈。

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出典:株式会社マキタ(有価証券報告書)