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ブラザー工業の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

ブラザー工業は、プリンタ・複合機・ミシン・工作機械などを製造する電機メーカー。1908年に安井兼吉がミシン修理を目的に創業した安井ミシン商会を源流とし、創業者の死去後に安井ミシン兄弟商会として改組。1928年に”BROTHER”ブランドでの自社製ミシン販売を開始。1950年代から事業多角化を強烈に進め、現在ではプリンタ・複合機・ミシン・工作機械・歯車・カラオケ機器など幅広い製品ラインナップを誇る。海外売上高比率が85%にも達するグローバル企業でもあり、世界40ヶ国以上で事業展開。

POINT

1.ミシン・プリンタにおいて世界的大手の電機メーカー、事業多角化にも熱心
2.売上高・利益は横ばいだが優良な利益率を誇り、財務体質も極めて盤石
3.平均年収784万円で業界上位級だが、福利厚生は大手の割には微妙レベル

業績動向

✔売上高と営業利益

ブラザー工業の売上高は長年に渡って6,300~7,100億円ほどで推移してきたが、2022年には8,153億円に到達して過去最高を更新*1。営業利益は420億~720億円レベルで安定的に推移しており、景気後退局面にも利益をしっかりと確保。
*1:2022年の売上高の拡大は、①為替レートの円安推移による増収効果、②2021年に直面した世界的な半導体不足の解消による挽回生産、が主要因。

✔セグメント別の状況

ブラザー工業は、プリンティング・アンド・ソリューション事業(プリンタ・複合機・スキャナー・タイプライターなど)、マシナリー事業(工作機械・工業用ミシンなど)、ドミノ事業(英ドミノ社の産業用プリンティング機器など)、ニッセイ事業(減速機・歯車など)、パーソナル・アンド・ホーム事業(家庭用ミシン)、ネットワーク・アンド・コンテンツ事業(業務用カラオケ機器)、その他事業、の7事業を有する。
ブラザー工業は創業以来の社是として自前主義・多角化を重要視しており、極めて広範な事業展開を進めている点が特徴的。かつてはオートバイ・テレビ・掃除機・洗濯機・オルガンなども製造していたが、不採算事業からは早々に撤退を進めている。新規事業創出と撤退の見極めが巧である。

✔最終利益と利益率

ブラザー工業の純利益は長年に渡って400億~600億円レベルで安定的。2020年のみCOVID-19感染拡大の影響により減益に沈んだが、2021年には過去最高となる純利益610億円まで回復*2。営業利益率は長期的に9%~12%ほどで推移しており、電気メーカーとしては優良な水準。
*2:2020年にはCOVID-19感染拡大による在宅勤務の世界的普及により、多くのプリンタ・複合機メーカーが大打撃を受けた。その時期にもブラザー工業は純利益を確保しており、底堅い利益確保力がある。

✔自己資本比率と純資産

ブラザー工業の自己資本比率は長期的に増加傾向が続いており、2022年には70.2%に到達。利益が安定しているのみならず、財務体質も極めて良好である。純資産も長期的な増加傾向が続いており、直近の2022年には純資産5,967億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ブラザー工業の平均年収は長年に渡って740万~780万円ほどの水準で安定的に推移。愛知県内の電機メーカーとしてはトップクラスだが、高い利益率の割には普通の水準。大卒総合職は30歳で550万~650万円、課長職レベルで950万~1,100万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

ブラザー工業の単体従業員数は長年に渡って3,800人ほどで推移しており、増加も減少もしない横ばい推移。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は4.1万人ほど。平均勤続年数は直近で14.5年と大手企業の標準的な水準。

総合評価

企業格付け:BB

日系プリンタ大手8社の一角であり、世界シェアは5%ほど。キヤノン・セイコーエプソン・リコーなどがライバルであるが、レーザープリンタにおいては当社が傑出した存在。祖業のミシンでも依然として世界シェアは首位級であり、事業多角化を進めつつも業界上位まで登りつめる手腕が巧。業績は売上高・利益いずれも長期的に横這い傾向が強いが、営業利益率は9%~12%ほどと大いに優良。無理な業績拡大をせずとも潤沢な利益を確保し続けられるため十分であろう。財務体質は自己資本比率70%を上回っており、極めて堅牢な財務基盤を有する。高い利益率により実質無借金経営を達成しており、企業としての長期的な持続性は盤石。デジタル化・ペーパーレス化の世界的潮流によって主力事業のプリンタ・複合機の将来的衰退が危ぶまれる部分はあるが、当面は安泰であろう。

就職格付け:BB

愛知県を代表する電機メーカーであり、同県ではよく知られた存在。かつてミシンメーカーとして名古屋で創業したが、創業以来の自前主義・多角化によりミシンに囚われない歴史を歩んだことで、世界的な電気・機械メーカーに躍進した名門メーカーでもある。高い利益率の割には給与水準はそこそこ普通であり、平均年収は740万~780万円ほどの水準。やや物足りなさもあるが、そこは愛知県に主力事業所が集中している点を加味すれば妥協できる範疇か。愛知県内であれば物価・居住コストがかなり安いため、首都圏で同額の給与を貰うよりも実質的幸福度はかなり高く持てるだろう。福利厚生はそこまで傑出しておらず、評判はあまり良くない。独身寮は5年間のみ1万円・家賃補助制度は最大2万円/月であり、大手メーカーとしてはやや低め。総じて愛知県の優良企業であることは疑いの余地はないが、同県には待遇が良い自動車関連企業が集積しており相対的な不満が起こるのはやむを得ないか。平均勤続年数が15年弱と待遇の割に伸び悩んでいるのも、そういった背景がありそう。

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