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三菱商事の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

三菱商事は、金属資源・天然ガス・石油・食料・自動車・素材などを幅広く展開する三菱グループの総合商社。三菱グループの源流である三菱社から1918年に営業部が独立して創設。戦前から日本を代表する総合商社として発展、戦後はGHQに分割解体されたが1954年に復活を遂げた。1970年代から資源開発を積極的に手掛け、1980年代には食料品・自動車・コンビニ分野を開拓。現在では国内外1,700社ものグループ会社を率いており、日本を代表する巨大コングロマリットである。

POINT

1.三菱Gの総合商社、グループ会社1,700社超の巨大コングロマリット
2.売上高・利益は資源価格高騰で好調、財務体質も良好な水準
3.平均年収1,939万円で日系企業首位級、超人気企業ゆえ就職難易度も最難関級

業績動向

✔売上高と営業利益

三菱商事の売上高は2018年までは10兆円を下回っての推移が続いていたが、2018年以降は売上高が急増*1。2022年には売上高21.6兆円に到達して過去最高を更新*2。営業利益は年度により好不調が分かれるが、2022年には営業利益0.95兆円に達している。
*1:2018年の売上高の急増は国際会計基準IFRS第15号の適用による影響。売上高の認識基準の違いから売上高が急増したものであり、業績自体に変化が生じたわけではない。
*2:2022年の業績好調は、①世界的な資源価格高騰が主力事業の資源・ガス・石油事業の販売価格を大きく押し上げた点、②為替レートの円安推移による為替効果、③世界的な景気回復による各事業の販売好調、などが主要因。

✔セグメント別の状況

三菱商事は、天然ガス事業(天然ガス・原油開発など)、総合素材事業(鉄鋼製品・セメント・生コン・炭素材など)、石油化学事業(原油・石油製品・LPG・エチレンなど)、金属資源事業(銅・原料炭・鉄鉱石・アルミなど)、産業インフラ事業(産業プラント・建設機械・工作機械・船舶など)、自動車事業(乗用車・商用車の販売・販売金融など)、食品事業(食料・生鮮品など)、コンシューマー事業(小売流通・医療・衣料など)、電力ソリューション事業(発送電・電力トレーディング)、複合都市開発事業(都市開発・不動産・企業投資・リースなど)、その他事業、の10事業を有する。
三菱商事の事業領域は極めて広範であるが、最大の強みとなっているのは金属資源事業である。同事業は売上総利益・利益のいずれにおいても存在感が大きいため、資源価格の上昇・下降が三菱商事の業績に及ぼす影響は大きい。

✔最終利益と利益率

三菱商事の純利益は年度により好不調が分かれるが、2021年以降は純利益1兆円前後にまで躍進。2022年には過去最高となる純利益1.18兆円を確保した。営業利益率は長期的に1%~6%と低めだが、事業規模の大きさによって巨額の利益を得られる構造。

✔自己資本比率と純資産

三菱商事の自己資本比率は長期的に30%台で推移しており高くはないが、総合商社は自己資本比率が高まりにくいビジネスモデルであるため問題はない*3。純資産は長期的な増加傾向が続いており、直近の2022年には純資産9.12兆円に到達。
*3:総合商社は規模・信用を活かして多額の資金を調達して事業に投資するビジネスモデル。常に新たな事業への投資を模索しているため、自己資本比率は高まりにくい業態。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三菱商事の平均年収は長年に渡って1,400万~1,600万円ほどの水準で推移してきたが、2022年には業績好調が賞与に反映されたことで1,939万円まで急伸。業績によって給与水準が大幅に変動するが、大卒総合職は30歳で1,200万~1,600万円、課長職レベルで2,500万~3,000万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

三菱商事の単体従業員数は2018年に大きな減少が発生しており、同年以降は従業員数4,300人前後で推移。ビジネス規模を考えれば極めて従業員数は少ない。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は7.97万人ほど。平均勤続年数は直近で18.5年とかなり長めである。

総合評価

企業格付け:SSS

まさに5大商社の筆頭格として長年に渡って君臨してきた企業であると共に、三菱重工業・三菱UFJフィナンシャルグループと並んで三菱グループ御三家を形成する超名門企業。5大商社の中では比較的バランス型の事業構造ではあるが、金属資源分野においては頭一つ抜けており、同社の大きな強みとなってきた。2020年以降の世界的な資源価格高騰を追い風に、業績は売上高・利益いずれも絶好調。過去最高となる純利益1兆円の突破も果たし、我が世の春を謳歌。財務体質は自己資本比率30%ほどと一見すると低めにも映るが、資金調達と事業投資を繰り返す総合商社のビジネスモデルからすれば至極当然。そもそも純資産9兆円を擁する巨大グループであるうえ、事業投資で多くの資産を有していることからすれば財務基盤はまったく堅実といえる。強いて言えば、資源価格に業績を左右されやすい点がネックであり、資源価格が急落した場合には業績への悪影響が痛烈なものとなりがち。実際、1990年代には資源価格下落とバブル崩壊の二重苦によって”商社冬の時代”と呼ばれる時期も過ごしたこともある。総じて非の打ち所がない優良企業であるが、いかなるスーパー企業であっても最初から最後まで順風満帆な事業運営ができるわけでもないのだろう。

就職格付け:SS

昨今の日系企業においては最難関中の最難関の企業のうちの1社であり、まさしく就職活動における東大理Ⅲのような立ち位置。かつてテレビ局などが就職戦線の頂点に君臨した時代もあったが、2020年代における大手日系企業の最高峰は当社であろう。給与水準は平均年収1,939万円と日本企業トップクラス…だが、そもそも給与水準だけを目当てに目指す企業ではない(稼ぐだけなら更に高い平均年収の会社もあれば、サラリーマン以外での稼ぎ方もある)。当社は石油・ガス開発から資源・食料トレーディングなど、日本経済を根底から支える重大使命を担う企業であり、ゆえに「我こそは日本経済をビジネスの観点から牽引したい」と志す逸材こそに目指してほしい。入社後には海外駐在が発生する可能性が高いことは当然、入社からしばらくして三菱商事本体で出世の道から外れた場合であっても数多のグループ会社のどこかで経営の陣頭指揮に立つ可能性が高い。相応の責任を果たす覚悟を持って入社することが必要だろう。

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