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不動産会社

ヒューリックの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

ヒューリックは、東京都心部のオフィスビル開発・賃借を得意とする不動産会社。1957年に当時国内首位級のメガバンクであった富士銀行が不動産部門を分離した日本橋興業として設立され、2007年に現社名のヒューリックに社名変更。独自色が強い不動産会社であり、①保有物件の殆どが東京都内の一等地に集中、②主要テナントはみずほフィナンシャルグループ、③中規模オフィスビルを機動的に運用、などの戦略で成長。主要株主には旧芙蓉グループの大手企業が多数。

POINT

1.旧芙蓉グループ系の不動産デベロッパー、中規模オフィスビルが得意
2.営業収益・経常利益は過去8年で約3倍に増加、独自戦略が成功
3.平均年収は1,900万円以上の超高待遇、ただしプロパー入社での出世は鬼門

業績動向

✔営業収益と経常利益

ヒューリックの営業収益は過去8年間に渡って成長基調を維持、直近では2014年比で約3倍に急成長*1。経常利益も成長を続けており、こちらも204年比で約3倍の増加を示している。
*1:ヒューリックは2014年に策定した中期3ヵ年計画によって不動産バリューアッド戦略を掲げて積極攻勢を展開。時代ニーズに応じた改装・改築によって物件価値を向上。価値向上後の出口戦略としての長期保有・売却を巧みに組み合わせて事業規模を急拡大させることに成功(参考リンク)。

✔セグメント別の状況

ヒューリックは不動産事業(不動産賃貸・不動産開発・アセットマネジメントなど)、保険事業(保険代理店業務など)、ホテル旅館事業(ホテル・旅館の運営)、その他事業の4事業を有する。
ヒューリックのコア事業は都心部の中規模ビルを取り扱う不動産事業だが、他事業も展開。保険事業を扱う子会社のヒューリック保険サービスが旧芙蓉グループ企業に保険サービスを提供する他、ホテル事業では”ゲートホテル”や”ふふ旅館”などを展開。2019年には日本ビューホテルを完全子会社化。

✔最終利益と利益率

ヒューリックの純利益は営業利益の成長に連動する形で右肩上がりで増加。COVID-19の感染拡大を経ても尚、純利益の増加は鈍化することなく2023年には過去最高益を更新*2。
*2:ヒューリックの主力事業である中規模オフィスビルはCOVID-19感染拡大を経ても賃料にほぼ打撃を受けなかった。解約予告があった場合にも都心部の好立地ゆえ早々に次テナントが入居。2020年もCOVID-19関連の特別損失は15億円に留めた。

✔自己資本比率と純資産

ヒューリックの自己資本比率は直近で29.5%とやや少なめだが、これは大手総合不動産デベロッパーとしては標準的な水準*3。純資産は2020年の急増*4を経て直近では7,693億円に到達。
*3:不動産デベロッパーは投資額が巨額に及び、投資期間も長期に渡るためため長期借入金などの資金調達で賄うことが多く、自己資本比率は高まりにくい傾向がある。
*4:ヒューリックは2020年に開発・建替資金の調達を目的とした新株発行で約1158億円を調達。これにより純資産が急増している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ヒューリックの平均年収は直近で1,907万円と極めて高水準であり、財閥系の総合不動産デベロッパーにも引けを取らない待遇を確立。平均年齢は39歳前後の水準で横ばい推移しており、従業員の高齢化も抑制できている。

✔従業員数と勤続年数

ヒューリックの単体従業員数は増加傾向にあるものの、単体従業員数は200名ほどに過ぎず、かなり小規模な組織体制である。平均勤続年数は6.3年と短いが、これはグループ間の出向・転籍者が多い事情もある*6。
*5:ヒューリックは2019年に日本ビューホテルを完全子会社化、同年はこれにより社員数が急増。
*6:ヒューリックは母体のみずほフィナンシャルグループとの人材交換が多いうえ、単体従業員数が200名に過ぎないため平均勤続年数が短くなっている。

総合評価

企業格付け:AA

不動産業界において都心部の中規模オフィスビルに注力して業界上位へ食い込む新興勢力。バリューアッド戦略をはじめとする独自路線で業界上位5社に食い込む。過去8年間で営業収益を約3倍に拡大させるなど業績は絶好調、急拡大を遂げつつも財務体質も概ね良好。社員数200人規模であるが故に意思決定のスピード感は卓越しており、2017年4月に120億円で取得したGINZA SIXの区分所有権を2か月後には米投資ファンドに200億円以上で売却する荒業を披露したことも。

就職格付け:S

日系企業最高峰の給与水準で知られるが、今なお平均年収は増加傾向、直近では平均年収1,904万円に到達。財閥系の総合不動産デベロッパーに勝るとも劣らない超高待遇が実現できるのは、事業規模に対する社員数の少なさ故。2022年の従業員1人あたり売上高は3.8億円・1人あたり経常利益は9100万円。不動産業界における超優良企業の三菱地所でさえ、1人あたり売上高は1.3億円・1人あたり経常利益は2500万円であるから、まさに少数精鋭で圧巻の利益率を叩き出している。ただし、旧芙蓉グループ、特にみずほフィナンシャルグループの影響力の強さには注意。現在の代表取締役・代表取締役副社長・副社長・非業務執行取締役会議長はすべてみずほ系の出身者。プロパー入社での出世する難易度は極めて高い。

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