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【勝ち組?】ニコンの就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

ニコンは、カメラ・レンズ・顕微鏡・半導体露光装置などを主力とする光学機器メーカー。1917年に東京計器から分離独立して創業。戦前は日本軍向けの狙撃眼鏡や測距儀などが主力製品であったが、戦後には民間向け事業に転換。以降はカメラやレンズを主力事業としており、デジタル一眼レフカメラ・ミラーレス一眼レフカメラで世界シェア上位級。1980年代には半導体露光装置にも進出して第二の柱に。

POINT

・かつてキヤノンと双璧を為した日本カメラ産業の祖、一眼レフカメラに強い
・カメラ市場の衰退による業績悪化から回復傾向、非カメラ事業が成長中
・平均年収862万円に上昇、ジョブ型の人事制度を導入して脱年功序列を図る

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:66(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関

総合職の採用数は年間60人~80人と、やや採用数は少なめ。カメラ分野の大手企業だけあって一般知名度が高く、採用倍率は高めになりやすい。
採用大学:非公開(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

ニコンの売上高は2020年まで右肩下がりで推移*1していたが、同年以降は回復傾向。直近では売上高7,172億円まで回復することに成功*2。営業利益は安定しないが、2008年頃の営業利益1,351億円と比べると衰退は否めない。
*1:2013年には売上高1兆円を越えていたが、同年をピークに売上高が右肩下がりに。これは①スマートフォンの爆発的普及によるコンパクトカメラ市場の消滅。②ミラーレス一眼レフの急成長による一眼レフカメラの市場縮小、が主要因。
*2:2020年以降に売上高が回復した理由は、①COVID-19感染拡大によるカメラ市場の冷え込みからの回復、②非カメラ分野における事業拡大の成功、などが主要因。

✔セグメント別の状況

ニコンは、映像事業(一眼レフ・コンパクトカメラ・レンズなど)、精機事業(半導体露光装置・FPD露光装置など)、ヘルスケア事業(生物顕微鏡・観察装置・検眼眼鏡・細胞受託生産サービスなど)、コンポーネント事業(光学部品・FPDフォトマスク基盤など)、デジタルマニュファクチャリング事業(工業用顕微鏡・X線/CT検査システムなど)その他事業の4事業を有する。
当社はかつてカメラで市場を席巻したが、スマートフォンの爆発的普及とミラーレス一眼レフカメラへの出遅れによって衰退。現在ではカメラ製品を有する映像事業は売上高の約38%に過ぎない。最近では非カメラ分野の売上高・利益が成長しており、カメラ市場の縮小後の生き残りを模索している。

✔最終利益と利益率

ニコンの純利益は、売上高の回復に反して伸び悩んでおり、▲344億円から665億円のレンジで推移している。2018年のみ純利益665億円と好調であるが、これには他社から受け取った訴訟和解金190億円が含まれており一過性*3。
*3:蘭ASML・独カールツァイスがニコンの露光装置・デジタルカメラに関連する特許を侵害したとして提起した訴訟(参考資料

✔自己資本比率と純資産

ニコンの自己資本比率は緩やかな増加傾向が続いており、直近では59.6%とかなり高めの水準。過去の蓄積が幸いして財務健全性は優良である。純資産は2020年頃から微増傾向にあり、直近では6,851億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ニコンの平均年収は直近で862万円とかなり高めの水準。大卒総合職であれば30歳前後で年収650万~750万円ほど、課長職レベルになると年収1,100万~1,300万円になる。平均年齢は直近で43.3歳と大手企業の標準的な水準。

✔従業員数と勤続年数

ニコンの単体従業員数は右肩下がりで減少し続けており、直近では4,100人前後の組織体制。2016年には構造改革による事業整理と早期希望退職を募集したことで、従業員数を約1,000人以上も減らした*4。平均勤続年数は16年前後とやや長め。
*4:2016年には業績不振によって約1,000人規模の早期退職者を募集。会社の先行きを案じた従業員が多かったこともあり、想定を上回る1,143人が応募して会社を去った(参考リンク)。

総合評価

企業格付け:B

■業界ポジション
キヤノンと並んで日本のカメラ産業を長年に渡って支えてきた著名企業としてブランドイメージは上々。ただ、直近10年ではコンパクトデジタルカメラ市場の縮小により、売上高は右肩下がりで縮小。牙城の一眼レフカメラ市場においてもミラーレス一眼レスブームに乗り遅れ、ソニーを筆頭とする新興組にシェアを奪われる状況。

■業績動向
回復基調。2013年から2020年までは売上高・利益が右肩下がりで減少、2020年には純損失344億円を計上する悪夢のような状況が続いていたが、2020年を底に業績は回復傾向に転換しつつある。カメラ分野の売上高縮小が止まったことも大きいが、非カメラ領域における事業育成が軌道に乗ったことは(カメラ市場の将来性が読めない現状においては)大きな安心材料である。

■財務体質
良い。自己資本比率は直近で60%前後と高く、負債に依存しない事業運営がしっかりできている。2000年代にデジタルカメラで一世を風靡した時代において過剰投資に陥ることなく蓄財した甲斐あって、財務体質は今なお堅実。将来において再び業績悪化があろうとも、現在の財務基盤があれば相当に耐え凌げるだろう。

就職格付け:B

■給与水準
給与水準は直近で平均年収862万円であり、大手電機メーカーに勝るとも劣らない給与水準を提供している。大卒総合職であれば30歳前後で年収650万~750万円ほど、課長職レベルになると年収1,100万~1,300万円になる。2022年にはジョブ型の人事制度への変更と共に従業員の給与水準を20%引き上げを宣言(参考リンク)。

■福利厚生
まずまず。若手社員向けには独身寮・家賃補助制度が整備されており、給与水準が低いうちの住宅コストの負担を抑えている。ただし30歳以降には独身寮・家賃補助制度はなくなるのは惜しい。事業所は関東一円に集結しておりアクセスもそこそこ良い。僻地転勤リスクがないのは同業他社に対する大きな強みであろう。

■キャリア
事務系総合職・技術系総合職の2職種制。新卒採用・中途採用いずれも職種確約が前提となっている。基本的には入社した部門・職種にて経験を蓄積していくキャリアが主であるため、部門間・職種間を跨ぐローテーションはそれほど多くない。専門性を高めていくことで転職価値も維持しやすいだろう。

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出典:株式会社ニコン(有価証券報告書)